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株式会社雷銀映像 ディレクター佐藤正浩さん・株式会社magokorofactory結城真司さんインタビュー

株式会社雷銀映像 ディレクター佐藤正浩さん・株式会社magokorofactory結城真司さんインタビュー

December 25, 2025 10:00

インタビュー

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エンターテインメントを裏で支える人たちにスポットを当てたインタビュー。今回は、アイドルからバンドまで様々なアーティストの密着映像や、音楽チャンネル「MUSIC ON! TV(エムオン!)」の番組で堂珍嘉邦、BUDDiiS、トライセラトップスなどのライブ撮影を手掛けた、株式会社雷銀映像のディレクター佐藤正浩氏と、「MUSIC ON! TV(エムオン!)」での同アーティストのライブ撮影。「BanG Dream! It's MyGO!!!!!」や『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage、スガシカオや一青窈ライブ、「アニサマ」MVなど多数の映像作品を手掛けた株式会社magokorofactoryの結城真司氏に、ご自身が映像の世界に入ったきっかけや仕事内容について伺ってみた。


ー 今回のインタビューは、堂珍嘉邦さん出演のミュージカル『キルバーン』を観に行った際に映像プロデューサーからの紹介がきっかけでしたが、お二人は堂珍さんとの撮影はいつ頃からですか?

佐藤:僕は2023年からですが、結城さんはもう少し前でしたよね。

結城:そうですね。ちょうどコロナ禍でライブが出来なくなった2020年に、堂珍さんのマネージャーから「無人ライブの配信をやろうと思うんだけど、映像を手伝ってくれませんか?」というお話があり、それなら信頼できるチームにお願いしようと思って携わるようになったのがきっかけでした。


ー 堂珍さんとはどういうお話をするんですか?

結城:撮影をしているので現場で堂珍さんとあまりお話はしないんですが、とにかく彼の歌声は魅力がありますよね。

佐藤:今年のBillboard Live Tourも凄かったね。後に語り継がれるような素晴らしいライブだと思いましたし、堂珍さん自身の高揚感も感じられました。

結城:確かに。結構普段はクールなんだけど、終演後もライブの手応えを感じていたようなテンションでしたね。


ー 佐藤さんと結城さんが映像の世界に入るきっかけを教えてください。

佐藤:大学は理系だったんですが、何か物を作りたいという思いはずっと持っていたんです。でも大学卒業後はフリーターをして、その後バックパッカーとしてヨーロッパを回ってたんですが、その時に閃いたというか、自分が観ている世界を誰かに伝えたいと思い、帰国後に制作会社に入り、そこからキャリアをスタートしました。


ー そうだったんですね。結城さんはいかがでしょうか。

結城:元々私は音の勉強をしていたんです。と言ってもミュージシャンではなく、ラジオのミキサーの仕事に就きたい思っていて専門学校に行っていたんです。でもあまりそういう就職先がなくて。ただ卒業も近づいてくるのでどうしようか考えていく中で映像の世界に目を向けて、テレビ朝日の報道取材部の子会社に就職して、報道カメラ部署でキャリアをスタートしました。元々小さい頃から映画や報道のスクープが好きだったんですよね。海外の紛争や戦争を撮っているカメラマンはすごいと思っていましたし。


ー そういう経歴を経て、株式会社magokorofactoryを立ち上げたきっかけは?

結城:報道を8年ぐらいやっていたんですが、グループ会社のエンタメ部署への異動辞令があったんです。そこではCMや映画、ドラマ、ライブ映像などを撮っていたんですが、報道部だった頃は海外の戦地に出向いて目を覆いたくなる場面を幾度となく見てきましたので、本当にまるで違う世界で。

yuki120251224.jpeg結城真司さん


ー 確かにエンタメでは大きく違いますよね。戦地で身の危険を感じたことはなかったんですか?

結城:なくはないですね。普段、報道関係者であることが分かるようにプレスビブスをつけるんですが、あまりにも危ない時はつけないんです。

佐藤:逆に?

結城:そう、襲われちゃうから。だからプレスビブスを外して何食わぬ顔でシレッと撮ったり。あとカメラが盗まれたこともあって、翌日闇市に行ったら普通に売られていて買い戻したり(笑)。だからエンタメ部署の仕事が楽しくなっちゃって、報道に戻ってきなさいと言われても戻らず……(笑)

佐藤:(笑)

結城:色々な人と出会い、会社では出来ないこと、観たいこと、知りたいことをやるのならフリーになった方が良いかなと思って何年かフリーを続けたんですが、一人だとつまらないと感じてきて。結局撮影は団体行動というか、色々な人との関わりがあって成立するものなので、どうせなら仲間と一緒にやりたいと思い会社を立ち上げて、今は6〜7人の仲間とやっています。


ー 佐藤さんは、株式会社雷銀映像の立ち上げメンバーですか?

佐藤:そうです。現在、僕を入れて5人が所属しているのですが、元々全員フリーランスでそれぞれが色々な活動をしていたんです。そんな中2023年、5人一緒にソニーの自動撮影プロジェクトに絡んでいたんです。


ー 自動撮影というと?

佐藤:ソニーの一環の事業というか研究というか。人がついていなくてもプログラムしたものでライブ撮影出来る研究を、ライブハウスのZeppなどでしていたんです。そこに関わってる人たちで会社にしようかってことで、雷銀映像が生まれました。僕たちは元々、音楽チャンネル「MUSIC ON! TV」というチャンネルで知り合った仲間です。


ー ちなみにお二人の子供の頃の夢は?

結城:小さいころは仮面ライダーになりたいと思っていましたが(笑)中学の頃はテニス部だったので、ただただ部活に明け暮れてあまり将来のことは考えていなかったですね。

佐藤:僕は漫画『NARUTO -ナルト-』が流行っていて、お恥ずかしながら忍者になりたいというちょっと夢見がちな少年でした(笑)


ー えっと、それは小学生の頃ですよね……

佐藤:いや、中学生の頃ですね(笑)


ー 厨二病全開じゃないですか(笑)

佐藤:そうそう(笑)印を結びながら登校していました。

結城:でもレースやモータースポーツに関わりたいと思っていたことを思い出しました。


ー 大分、現実味が出てきて良かったです(笑)。では、お二人が影響を受けた人や作品などを教えてください。

佐藤:ヴェルナー・ヘルツォークというドイツの映画監督が手掛けた映画『フィツカラルド』(1982)は好きですね。映画のスケール感と言うか、労力をかけて映像を作ったら凄いもの出来ることがとても伝わってくる作品です。あとベルギーの「ローザス」というコンテンポラリーダンスカンパニーの映像作品は何度観てもハッとするっていうか、影響を受けますね。

結城:僕は学生の頃から映像の他に写真も好きだったんですが、クリス・ナッシュという舞台やダンサーをメインで撮影している写真家の作品が好きで。その中でも特に好きな写真があり、写真でありながらどちらかというと映像的な観点で凄さを感じたんです。専門学校時代に音の世界に進むか映像の世界に進むか考えた時に、自分が影響を受けたものがクリス・ナッシュの写真というビジュアル的なものなら、映像も良いかもと。それが始まりかもしれないです。


ー 佐藤さんはディレクター、結城さんは撮影監督ですが、具体的にはどういう感じで仕事を進めていくのでしょうか。

佐藤:例えば僕ら二人が同じライブ現場で仕事をしたとして、どういう風に撮ろうかまず撮影監督である結城さんと打ち合わせをします。予算や会場のキャパなども踏まえ、世界観や撮りたいイメージを結城さんに伝えて、結城さんがカメラマンに伝え、ポジショニングなどを決めていきます。

結城:撮影監督は、この会場でこういうバンドの人たちがいるならどういう機材を使ってカメラは何台でどういう風に撮りましょうというのを決めるポジションですね。

佐藤:撮影当日は、少し大きな収録だとモニタリングしながら二人でカメラマンに指示を出します。「このタイミングでこの部分を撮ってください」とか「ここはアップで」とか。まぁ最終的にはリハーサルを観てから具体的な部分を詰めていくんですが。もし小規模な会場なら結城さんも僕もカメラを回したりします。それでその素材を編集してプレビューを何回か繰り返して色調補正して納品。そこまでがディレクターの仕事です。

結城:もっと大規模になるとシステム周り、例えば中継車が必要かどうかなども僕が考えたりします。まぁ映画もドラマもCMも撮影監督、つまりDP(Director of Photography)になるのでジャンルによってやることも違ってきますが、音楽ライブだとして、アーティストサイドから「この曲のこの部分で私の顔をアップで撮ってください」みたいに具体的な指示もありますし、こういうイメージのトーンで全体を仕上げてくださいというオーダーが来る時もあります。

佐藤:もしくはあまりカメラを寄りすぎず引きの画を多めにして欲しいとか、顔の右側から撮って欲しいとか。でもたまに右側から撮って欲しいって言われたのに、編集段階で顔の右側NGみたいなこともあって(笑)

結城:それは焦るよね(笑)


ー 冷や汗が出ますね(笑)。でもその時その時で撮り方や見せ方のイメージを考えるのも大変ですよね。

DY20251224.jpeg堂珍嘉邦 LIVE 2024 "Now What Can I see?" ~Drunk Garden~
Photo by 落合由夏


佐藤:例えば堂珍嘉邦さんの場合は、東京・日本橋三井ホールでのライブが定番になっていますが、その中で堂珍さんが毎回違う魅力を感じさせてくれるのと同じように、撮影も定番らしさを出しつつ、その時々で今回はどう撮ろうか考えるのが楽しいですね。