高橋優、「どれだけ悲しいことがあっても、奏で続ける覚悟を持っていたい。」15周年記念ベストアルバム『自由悟然』インタビュー!
December 10, 2025 18:30
高橋優
2010年7月21日に1st シングル『素晴らしき日常』でメジャーデビューし、今年デビュー15周年を迎えた、高橋優。故郷・秋田をこよなく愛し、リアルタイムシンガーソングライターとして自身が感じる怒りや疑問、喜びなどを歌にし、ギターをかき鳴らしてきた。そんな高橋優の音楽は、聴く人の心に強く、深く刻み込まれる。そんな高橋優のデビュー日である7月21日に、メジャーデビュー15周年記念配信シングル「エンドロール」をリリースし、原点札幌・狸⼩路でAIR-Gʼとのラジオ公開収録。8月29日には初のライブ⾳源『基礎からの⾼橋優【バンド式】』『基礎からの⾼橋優【弾き語り式】』を2枚同時リリース。10⽉15⽇にはフジテレビ『奇跡体験!アンビリバボー』新エンディングテーマソング「未刊の⾏進」を配信リリースするなど、精力的にリリースを重ね、12⽉10⽇には、“混沌の時代にもがきながらも是非を見極め、然るべき自由を求め唄い続けた15年”という意味が込められた15th ANNIVERSARY BEST『⾃由悟然(じゅうごねん)』をリリース。愚直なまでに歌と向き合ってきた、高橋優の15年とは?
ー デビュー15周年おめでとうございます!
ありがとうございます!
ー デビュー日のことって覚えていますか?
デビュー日というかその期間、プロモーションでめちゃくちゃ忙しかったのを覚えてますね。それでデビュー日は『笑っていいとも!』のテレフォンショッキングに箭内道彦さんが出たんですよ。
ー まさか、箭内さんから友達の輪で……
いや、呼ばれなかったです(笑)。もしかしたら箭内さんが僕の話してくれるかなと思ったんですが全然しなくて。でもその頃は今ほどまだ親しくもなかったから、“あぁそうだよな、俺なんて『笑っていいとも!』で名前を出されるほどの存在でもないよな……”とか、テレビの前で色々考えていました(笑)。その後テレフォンショッキングには2013年に出ることが出来ましたが。
ー それは良かった(笑)。では改めて15周年アニバーサリーイヤーの動きをなぞっていきますが、デビュー日である7月21日に配信シングル「エンドロール」をリリース。ミュージックビデオ(以下:MV)ではライブやMV映像、その他懐かしい映像が色々と散りばめられていましたが、ご自身でご覧になっていかがでしたか?
あれは僕よりスタッフが感動していましたね。それこそ箭内さんとか、15年以上ずっと一緒にやっているマネージャーとか。15年間歩んできたな……みたいに感慨深い雰囲気でMVの撮影をしていました。それと「そんなに変わっていない」と言われたのは嬉しかったですね。昔の映像が映る前で今の本人が歌うわけですから、言葉悪いかもしれないけれど、めっちゃ劣化してたらちょっとアレじゃないですか……(笑)。
ー アレだね(笑)。
「エンドロール」の前にリリースした「リアルタイムシンガーソングライター」では、デビュー当時着ていたような革ジャンを着て、当時のようなコンセプトでアーティスト写真を撮ることになったんですが、当時と同じぐらいのサイズで全然大丈夫だったんですよ。
ー それはすごい!勿論昔の映像を観ると懐かしいけど、良い年齢の重ね方をしているし実際、それほど変わってないですからね。
ありがとうございます。体型維持含めて、そういう風に変わっていないと言われたのは嬉しかったです。
ー 「エンドロール」の歌詞には、“「ダメな⽅に変わった」なんて⾔われたり「もう少し変われ」と⾔われたり”とありますが、この15年間で優さん自身そう言われることは結構ありましたか?
自分もそう思ったことはあったけど、この歌詞を書こうと思ったのは「そう言われた経験ってない?」という皆さんへの投げかけでもあるんです。心理学の観点からすると基本的に人って安心したいから、前の方が良かったと言いたいそうなんですよ。安心するためには、今慣れてるものがベストだと思いたいらしく。だから良いか悪いかの判断ではなく変わってしまったことに対して、既にマイナスの気持ちを抱きがちなんですよ。
ー 優さん自身も?
多分僕も深層心理の中にはそういう部分があると思います。ただ物を作ったり発信する人間は思考を変えないと駄目じゃないですか。今まで作ってきたイメージに寄り添いすぎると同じような曲しか生まれてこないし。僕もアーティストとして新しいものを作りたいから新しいものに触れようとするし、なにかチャレンジをしている人のことを見るとやっぱりワクワクするというか、“だよね!”って応援したくなる。だから僕自身は変化することはすごく素敵なことだと捉えています。だけどみんながみんなそうではないし、前の方が良かったということもよくあって。勿論僕だって「前の方が良かった」と言われたこともあるし、新しいチャレンジをする時、良かれと思ってそれを言ってくれる人もいるわけだから、そういう意味も含め「エンドロール」の歌詞を書きました。
ー 良し悪しは別として、自分で変わったと思うところは?
健康志向になりました。
ー サプリメント飲んだりね。
そうそう。前から走ることはしていたけど、食事制限や食べるもの自体に気を遣ったり、ツアー中はお酒飲むのを控えたり、歌い方に気を付けたり。デビュー当時はもっと感情そのままに叫ぶように歌っていたし、ジャンクフードやお菓子が大好きでビッグカツなんて何枚でも食べちゃう(笑)。でも目的の為に色々気を付けるようになったし、その目的とは良い声で良い歌を歌いたい、その一言に尽きるんですよ。それが時間を割いてお金を払ってライブを観に来てくださる皆さんに対して、僕が唯一出来ることだから。それに僕自身、楽しんで歌うことはすごく大切なのでそのためには食事や生活習慣、体作りなど取捨選択することが必要だと思っています。でもそれ以外はほとんど変わっていないんじゃないかな。制作への取り組み方もそうだし、未だに世の中に対して疑問だらけだし。
ー そういうブレない部分は、歌詞を通じてずっと感じています。それと「エンドロール」の歌詞やアウトロに「駱駝」の一部が散りばめられているのがニヤッとしちゃいました。
嬉しいですね、それに気付いてくれるのはずっと聴いてくれている方の感想だから。この15年に関して言うと、僕にとって「駱駝」という曲はやっぱり始まりの曲なんです。その前から路上ライブはしていたけど「駱駝」を作ったのは2006年とか2007年くらいで以前所属していた事務所のアミューズに入るきっかけになった曲でもあるし、その当時からずっと歌ってきた曲でもあるし、初めてMVを作ったのも「こどものうた」と「駱駝」だったし。そういう意味でも僕のスタート地点の曲なんです。あの曲には、“大人はバカだから”、“世間体なんてカスだから”という歌詞があるんですが、今年42歳の大人になった僕は、大人はバカだからと言われる側になっているかもしれないけれど、幸か不幸か今もその言葉にすごく気持ちが乗るんです。感情があの時のままだったりするのでそこを表現したかったんです。言えばもう一回「駱駝」みたいな曲を書きたいって。でもあの時の衝動はあの時しか出せないものだから、今の気持ちを書こうって思って「エンドロール」を書いたんですが曲の中に自分のスタート地点のエッセンスを加えることで、15年の一つの節目となる曲になるんじゃないかなと思って。デビュー日のリリースだったし。
ー そこも大きいかもしれないですよね。そして8月29日、「基礎からの高橋優」【弾き語り式】と【バンド式】の2タイトルで初のライブ音源を同時リリース。(ポップシーンのサイトで)レビューも書かせてもらったんですが、これはライブアルバムではなくライブそのものです!
ありがとうございます!このライブアルバムは、15th ANNIVERSARY BEST『⾃由悟然』に繋がっていってる気がするんですよね。12月からアルバムを引っ提げたツアーが来年の7月まで続きますが、スタッフもこの15周年イヤーをみんなで盛り上げて楽しい感じにしたいと色々考えてくれていて。だからこれを機に初のライブ音源をリリースしたり、その他今までやっていなかったことをやることで、最終的に高橋優のライブに行ってみたいと思ってもらえたり、高橋について改めて興味を持ってもらえる機会になるんじゃないかなと思っています。
ー このライブアルバムのレビューもそうでしたが、考えてみると私自身、優さんのライブや音源、言葉に心動かされてペンを取ることが結構ある気がしてます。
いやぁ、すごく嬉しいです!でもそういうことってありますよね。僕にとってもそういう存在がいて。箭内道彦さんとTHE BACK HORNの松田晋二さんがやられてる“ゆべしス”というアートポップユニットがまさにそれ!その二人の音源を聴いたりライブを観に行くと、こうしちゃいられないみたいな衝動に駆られてめっちゃ曲が書きたくなるんですよ、僕!それは鍵盤のはっちゃん(平畑徹也)も同じらしく「“ゆべしス”のライブに行かないとこういう気持ちにはならない」と言っていました。でもそういう気持ちって大切ですよね。
ー 大切!
昔から憧れてた人のライブに行くと、憧れのままに観て圧倒されて感動して終わりってなりがちだし勿論それはそれで良いんだけど、でもちょっと仲の良い人とか、(自分と筆者を指さし)こうやって繋がっている人が、“ああやって言うんだ”とか、“今度はこういう曲を書いているんだ”って思う感覚は、まるで直接会話したような刺激に似ていて掻き立てられるみたいな。秋山さんもそういう感じですよね。
ー まさにそうです!こうしちゃいられないってペンを取る。
そうだとしたらやっぱり嬉しいです。自分も誰かにとってそういう表現が出来ているのかなって思ったら、めちゃくちゃ光栄なことですし。
ー 今年は『秋田CARAVAN MUSIC FES』をお休みし、9月27日(土)、28日(日)に故郷・秋田県での弾き語りワンマンライブ “高橋優15th ANNIVERSARY SPECIAL LIVE IN AKITA 「~弾き語り続ける人間展2025~」” を開催。いかがでしたか?
めちゃめちゃ楽しかったですね!曲数を含めやることは多いんですが、元々弾き語りの人間なので、やっぱり楽しい気持ちの方が圧倒的に強いですね。それしかないと言ったらネガティブに聞こえるかもしれないけど、それをずっとやってきた自分にとっての功績も何もかもが弾き語りだと思うんですよね。まぁ「~弾き語り続ける人間展2025~をやるよ」って言った時に「バンドじゃないならいいや」って言って、4000人以上入る会場で3、4人しかいなかったら、思うこともあったけど(笑)。
ー 3、4人って!(笑)
弾き語りだろうが何だろうが高橋優を観に来てくれた人たちからしたら、きっと一番、高橋優らしいものを観たら見応えあると思うんです。その高橋優らしいものって何かといったらそれは弾き語りなんですよね。
ー バンドスタイルも好きだけど、やっぱり優さんの弾き語りは特別な魅力がありますから。秋田といえばYouTubeで、「DOCUMENTARY "15th Anniversary”(故郷・秋田密着)」を観させてもらいました。優さんの親戚が営んでる「村さ来亭」でファンの皆さんがメッセージを書かれている手書きのノート、良いですね。
嬉しいですよね、ああいうのは。お盆と正月に秋田に帰ったら、叔父さんがあのノートを家に持ってくるんですよ、「優、書いておいてね」って。実はあの叔父さんもプロのミュージシャンを目指していてレコードも出してたんですよ。
ー あ、そうだったんですか!
高橋家はね、歌を歌いたい人達が沢山いる家系だから(笑)。僕の父は民謡を歌っているし。
ー 優さんより先に武道館のステージに立ってるしね。
そうそうそう(笑)。その父親の弟があの叔父さんなんだけど、プロミュージシャンを目指していたもんだから、もうシンガー目線で見てくるんですよ。デビュー当時や、それこそ武道館公演の時は「何か、喉の調子悪かったんじゃないの?」って言ってくるし(笑)。それを『行列のできる法律相談所』(現:『行列のできる相談所』)に出演させてもらった時にネタにして再現映像を出したらすごい嫌だったみたいで(笑)。
ー そうだったんだ(笑)。
でもそうやってテレビに出ることで叔父さんの店にお客さんが増えたら結果オーライかなと思ったし、実際沢山のお客さんも来てくださったし、僕のファンの人たちの聖地巡礼地みたいになってああいうノートをみんなが書いてくれているわけだから。ただ何というか、親戚というのはよかれと思ってやったことが響かない。まぁお互い様なんですけどね(笑)。