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高橋優、「どれだけ悲しいことがあっても、奏で続ける覚悟を持っていたい。」15周年記念ベストアルバム『自由悟然』インタビュー!

高橋優、「どれだけ悲しいことがあっても、奏で続ける覚悟を持っていたい。」15周年記念ベストアルバム『自由悟然』インタビュー!

December 10, 2025 18:30

高橋優

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ー そういうこと含めて仲良い証拠ですよね(笑)。では曲の話に戻りますが、10月15日リリースの配信シングル「未刊の行進」 は、フジテレビ『奇跡体験!アンビリバボー』新エンディングテーマソング。英語部分の歌詞の言葉遊びは、それこそ世界中の辞書にはない言葉だし、分かった時はテンション上がりました(笑)。

自分のようなシンガーは、歌詞を読む楽しさを取っておきたいし大切にしたいんですよね。ファンの中にはアプリをダウンロードして、あのフレーズ部分を逆再生している人がいるんですよ!


ー うわ、私もやってみよう!

是非やってください!僕もやりました。ちょっと面白い言い方にはなっていたけど、結構ちゃんと言っていましたね(笑)。


ー エンディングテーマとして、また楽曲として大切にした点を教えてください。

この曲は歌詞をよく読んでもらえたら嬉しいですね。10代までの経験値の話もそうですし、普通に対しての価値観もそう。歌詞の中に“普通中の普通of the普通それが我が⼈⽣”という部分があるんですが、僕自身、普通という言葉に対して思うことが色々あって。


ー というと?

例えば好みのタイプを聞かれると「普通の人が良い」と答える人、多くありませんか?


ー あぁ……自分もそうかもしれない(笑)。

でしょ!(笑)でもその<普通>って、みんな<自分の中の一番の理想>を言っているんですよ。本来、普通というのは存在しないけど、みんなそれにすがろうとする。でもそこを掘り出していくとみんな面白いんですよね。この曲で高橋が言わんとしているそういうことを感じてもらえたら嬉しいです。


ー この曲のMVの最後に「九州のとある女子高校生が卒業制作として作ったアニメーションです」とありましたが、どういうきっかけなんですか?

それは箭内道彦さんが巡りあわれた高校生なんですよ。あのアニメーションはMVにする前から存在していたんですが、高校生の若さでこの映像を作れるのが凄いって箭内さんが感銘を受けた中で、これに合う音はどんな音なんだろうって考えている中で、僕が「未刊の行進」を送ったんです、このアニメーションのことを知らずに。そしたら偶然にも箭内さんの脳内でアニメーションと曲がドッキングしたようで提案されたんです。「この映像は“未刊の行進”の為に作られたかのような映像だから、まず一回観て欲しいって。


ー 実際ご覧になっていかがでしたか?

いやぁ、素敵だなと思いました。良いアニメーションですし。ただアニメーションの方が曲より時間が短いんです、勿論曲の為に作られた作品ではないので。だからその辻褄をどう合わせてしっかりメッセージ性のある映像として完成出来るか慎重に打ち合わせしました。


ー ラストでは実写になっていますしね。

あれは僕のアイデアなんですが、実写の中でアニメーションに登場したような蝶々がふわっと飛ぶのも提案させてもらいました。


ー MVの中で優さんが着ているシャツにも蝶があしらわれていたし、アーティスト写真のスカジャンにも蝶や鯉が刺繍されていますよね。

そうそう、あのアニメーションを軸にMVやアーティスト写真の撮影をしていく段取りだったので、スタイリストさんが「このMVにぴったりじゃないですか」って古着屋さんで見つけてきてくれて。だからブランド物とかではないんですが、気に入りすぎて自分で買い取っちゃいましたもん。


ー おお!何か少し箭内さんっぽくないですか?

ね!金髪じゃないだけで、結構最近の僕のファッションは箭内さんっぽいなぁって自分でも思うことが多くて。まぁ好きな人には似てくるって言いますからね。


ー そうですよね。11月12日(水)にこれまで未配信だったインディーズ時代のアルバム「僕らの平成ロックンロール」のデジタル配信がスタート。昔からのファンの方はフィジカルを持っていると思うけど、配信がきっかけで昔の音源に触れられるのは良いですよね。

そうなんです。それと、この令和の時代に<平成>って付いているのが良かったと思って。当時は年号が変わることを意識して付けたタイトルではなかったんですが、昭和歌謡と言うみたいに平成ロックンロールって言っている感じが個人的には何か良いなって。


ー あのアルバムがリリースされた2009年から16年経ちましたが「こどものうた」で歌われている衝撃的な内容は残念ながら今もなくならないし、ネガティブな現実に目を向ければもっと悪くなっている状況を、優さんはどう観ていますか?

そういう状況に関しては多分皆さんと同じだと思います。辛い気持ちになるし、やるせない気持ちにもなる……。ただ僕らミュージシャンがやるべきことは、そこで生まれる悲しみと戦うことだと思うんです。人の行為自体をコントロールするのは法律や政治家や警察だから、ミュージシャンがやれることはそこで生まれる悲しみ、寂しさ、悔しさ、トラウマみたいなところに対して音楽を奏で、ほんの少しでもそこに光を当てたり、聴く人の息抜きになったりとかすることなんじゃないかなと思うんです。だからどれだけ悲しいことがあっても、奏で続ける覚悟を持っていたいんです。そこで奏でることを辞めてしまうのは本末転倒だと思うし。


ー この15年で歌うのを辞めようと思ったことは?

全然ないですね。歌えなくなってしまったことは何回かあったし、歌っちゃダメだと言われたこともありましたよね。飛沫感染だとか不謹慎だって言われて。でも自分から歌うのをやめようと思ったことは一度もないです。


ー 勝手ながら、それを聞いてすごく嬉しくなりました。そして12月10日には、15th ANNIVERSARY BEST『⾃由悟然』をリリース。ライブ定番曲やアップテンポなナンバー<優勝盤>、聴く⼈をもてなす<優遇盤>、バラードの<優男盤”(読み:やさおばん)>と、CD3枚組で内容も充実していますが、3枚でこういうジャンル分けにしたのは優さんのアイデアですか?

そうです。僕が選曲しましたし、このジャンル分けにしたいと言ったのも僕です。あとそれぞれの盤名も僕が考えました。


ー 個人的には「がんばれ細野さん」が入ってたのが嬉しかったです。

実際僕が励まされたんでね、細野さんのような存在に。今でも、細野さんがいるスーパーとは違いますが、スーパーにはよく行くんですよ。一人暮らししていると、スーパーとかコンビニとかのいわゆるお店の人と接することも多いから、つい見ちゃうんですよね。冷たい人がいたらあ〜あって思うし、すごく良い接客してくれたりするとなんて素敵なプロの仕事してるんだろうって感動するし。人に良い気持ちを与えることが出来る人ってすごいと思うんですよ。だって守りに入って自分の存在を消そうとしたり、逆に自分の好きなことだけ好き放題やって人を傷つけたりする人も多いから。これは個人的意見ですが、自分の体の中から出るものというのは汚いものが多いと思うんです。そんな中で、自分の体の中から、誰かのこと喜ばせられるものを出せるというのはかなり偉大なことだし、きっと色々心がけたり努力したりしているんでしょうね。


ー まさに細野さん!

そうそう!そんなことを勝手に考えて、励まされてスーパーから帰ってきています(笑)。


ー 優さんの曲には、こういうシングルカットはされていないけれど、みんなが大好きと感じている曲が多い気がするんですよね。

このベストはまさにそういう部分を意識して選曲したんです。ライブで盛り上がる曲や、まさにシングルカットやタイアップをいただいた曲じゃないけど定番になってるみたいな、そんな曲を中心に選びました。


ー 「エンドロール」と「未刊の行進」は<優遇盤>に収録されていますが、<優男盤>には新曲の「黎明」が収録。本当はデビューして15年、更にこの先はどうなっていたいかという質問をしようと思っていたんですが、この曲を聴いたら全ての答えが詰まっている気がして胸が熱くなりました。

めちゃくちゃ嬉しいです。この曲、良い曲ですよね。


ー はい!すごく良い曲だし大好きです。

常に一番新しい曲を僕の一番のお気に入りの曲だと言いたいし、最新曲が最高傑作だと思っているので、この曲もすごく気に入ってます。黎明とは、夜明け前を意味するので「15年だから今までありがとう」というよりは「まだまだこれから」という想いを曲にしました。


ー まさにこの15年が詰まっているのがアルバム『自由悟然』であり、その先に「黎明」がある感じですね。

ええ。今回のアルバムタイトルの『自由悟然』という言葉は僕が考えた造語で四字熟語みたいにしたんですが、今日どこに行くか考えた時にひとりの場合は行く場所を自分で選ぶじゃないですか。


ー ええ。

見渡す限りの360度、どっちに行っても良い中で1度を選んで僕らは生きてるわけですよ。359度の方角を全部捨てている、その覚悟を僕らは常に求められてる……そう感じることがあるんです。僕はこの15年間ずっと歌い、自由に歌詞を書かせてもらってきました。飛沫感染だと言われようが不謹慎だと言われようが、戦争が始まろうが、地震がこようが、歌うことを僕は選んでやってきた。だから自由に歌ってきたけど、そこには覚悟があった。先程の話ではないですが辞めたいと思ったことがなかったから、迷いもなく然るべくやってきたんです。だから自由に歌い覚悟を決めて、然るべくそれをやってきたということで『自由悟然』というタイトルにしたんですが、この覚悟というかスタンスはこれからもずっと続けていきたいです。やっぱりそれが自分にとって一番大切なことだから。


ー 優さんの誕生日12月26日から、【高橋優 15th ANNIVERSARY SPECIAL LIVE TOUR 2025-2026「自由たる覚悟、然として奏ず」】が始まりますね。

今回はベストアルバムのツアーなので、今まで高橋優のライブに来てくださったことがある方とは、あんな曲もこんな曲も演ってパーティーのようなお祭りのような時間に出来たらと思っています。それぐらい自分のキーポイントになる曲しかやらないので。逆に言うと初めて高橋優のライブを観に来ていただける絶好の機会なんじゃないかなとも思っているんです。なので今、この記事がきっかけで高橋優を知ってくださった方がいらっしゃったとして、ほんの少しでも興味を持ってくださったなら、今回のライブに来ていただきたいです!僕自身、今このご時世の中で15年間歌わせてもらってきたことにも、何か意味があると思っていて。高橋優がこの世の中にいる意味というか。そしてその意味が、みんなの中でも生まれてくるかもしれない。ライブに来てくれた人が、まだ味わったことのない味のご飯を食べたような気持ちになったり、見たことのない景色を見たような気持ちになってくれたり。そういうのがまだこの世界にたくさん残っているとしたら、高橋優はまだまだ未体験の美味しいご飯屋さんのような感じかもしれないじゃないですか。行きつけになってくれたら嬉しいし、一回だけでも体験してもらうのはめちゃくちゃ嬉しいから、やっぱりライブに来て欲しいですね!


ー ありがとうございました!


インタビュー:秋山雅美(@ps_masayan


■ 高橋優 15th ANNIVERSARY SPECIAL LIVE TOUR 2025-2026「自由たる覚悟、然として奏ず」特設サイト
https://fc.takahashiyu.com/feature/15thlivetour2025-2026

■ 秋田CARAVAN MUSIC FES 2026
https://acmf.jp/2026/

■ 高橋優 Official HP
https://www.takahashiyu.com/

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