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川崎鷹也「カレンダー」、奥さんの涙の理由とは?メジャーオリジナルアルバム『カレンダー』インタビュー

川崎鷹也「カレンダー」、奥さんの涙の理由とは?メジャーオリジナルアルバム『カレンダー』インタビュー

December 16, 2021 19:00

川崎鷹也

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2018年にリリースされた「魔法の絨毯」がストリーミングで1億回突破。TikTokでの再生回数も約3億回を記録し、バイラルヒットした川崎鷹也。ハスキーでありながら力強いその歌声は多くの人を魅了した。そして満を持して今年12月15日に初のメジャーオリジナルアルバム『カレンダー』をリリース。現在奥さんとなった恋人へ書いたリアルラブソング「魔法の絨毯」から約4年。タイトルナンバー「カレンダー」も同じ大切な人へ書かれたラブソング。更に自身のお子さん目線で歌う「ぼくのきもち」など、川崎の物語がそのまま詰め込まれた本作。今回作品のことやそこから考える川崎の想いなどを伺ってみた。


ー 高校3年生の文化祭で初めて人前に立って歌い、その翌日には東京へ行くと決めたそうですが。

そうです。元々歌うことが好きでよく友達とカラオケに行ったりはしていたんですが、初めて人前でパフォーマンスして、友達や先生に「良かったよ!」って言葉や歓声をもらったのが多分一番大きかったとは思います。自分の歌を主観的ではなく感じられて、もっと大きいところで沢山の人に届けたいと思えたのが文化祭でした。


ー ご実家はライブバーを経営されているようで、音楽に近いところにはいたと思いますが、どういう反応でしたか?

父は僕がやろうとすることにあまり口出しするタイプではないですが「責任を自分で負う覚悟で行けよ。」ぐらいの父親っぽい(笑)ことは言っていましたね。あと母には初めて言ったんですよ、音楽をやりたいって。ラジオが好きでラジオDJになりたいと思っていた時期もあったけど、そもそも親に夢を言うタイプではなかったので「音楽をやりたいんだ。」って話した時にはすごく驚いていましたし、自分が親になった今はその驚きも当然わかります。


ー その文化祭の時に一緒に歌ったのが現在のマネージャーだとか。

そうです、そうです。(目線をマネージャーに向けて)彼です。仕事してるフリしてますけどエロサイト観てますから。

【一同爆笑】

彼とは元々3年間同じクラスの友達なので、友達とずっと遊んでいる感覚っていうか(笑)。僕は仕事とプライベートを分けないんですよ。それが良いパフォーマンスに繋がると思っていないし、実際私生活や自分自身の考え方が仕事に繋がるわけじゃないですか。


ー ええ。

勿論そこは色々な考え方を持っている人がいると思いますが、僕は仕事は仕事、プライベートプライベートって切り分けたくないんです。音楽は特に私生活で考えてを含めて、仲間たちと一緒に大人が本気で遊んでいるという感覚です。


ー この少しの時間だけで、雰囲気の良さがすごく伝わってきました。逆にマネージャーさんからみて川崎さんはどういう方ですか?

<マネージャー>常に人生の楽しみ方を考えていて、すべてに対して何事も楽しくハッピーに出来るような環境作りがうまいですね。

うん、うん、うん、それで?


ー 大丈夫ですか?今、川崎さんから目で圧をかけられている気が……(笑)。

<マネージャー>ちょっとプレッシャーを感じました(笑)。でも大切なものはしっかり自分で分かっていて、それを守る方法も知っていて。現状に甘えず進化する方法も日々模索しているような方です。その方が近くにいて、今僕にプレッシャーをかけてます。

アハハ!僕はそういうタイプです(笑)。


ー 気兼ねない関係性がわかりました(笑)。ところで「魔法の絨毯」がストリーミングで1億回突破し、ミュージックビデオ(以下:MV)の再生回数も5千万回を有に超える人気ぶり。アーティストや俳優の方がカバーされるなど大きな反響がありましたが、ご本人はどう感じていたんでしょうか?

不思議な感覚です。何かの主題歌や大きなプロモーションをしたわけでもなくて、本当に聴いてくれた方が広めてくださったので、言えば僕は曲をリリースしてライブをしていただけというか。だからこそ有名な方や俳優さん、ミュージシャンの仲間たちがカバーしてくれているのを観ると、なんか自分の曲じゃないような感覚がしていて。勿論嬉しいんですけど、何て言うんだろう……自分事のように思えないですね。カラオケの履歴に僕の曲があることもそうだし、テレビで観ていた方が歌ってくれたりダンスを踊ってくれることも夢みたいの状況だし、こういう未来は想像出来ていなかったです。


ー そういう中で12月15日にメジャーオリジナルアルバム『カレンダー』をリリース。タイトルナンバーは先行配信もされているのですでに反応とかも感じていると思いますが、改めてアルバムへの想いを教えてください。

今までの音楽人生を含めて、僕の全てを見せられるアルバムを作りたいという気持ちからスタートしました。だからこそ弾き語りの音源もあれば「カレンダー」や「Young Song」のようなバンドの音源もある。ジャンルに囚われず自分のやりたいことやわがままを全て詰め込んだ一枚だと思います。その中でも「カレンダー」に関してはここ1年色々な場所で歌わせていただく機会が増えました。色々な出会いがある中で、それでもやはり大切なものは心の奥に置いておかないといかないので、そういう部分も忘れないようにしたいという気持ちも込めて、何気ない日々を歌った「カレンダー」をリード曲にしました。


ー 「魔法の絨毯」は当時は恋人だった現在の奥さんに向けて書かれた曲ですが、「カレンダー」は奥さんとなった大切な人へ向けたリアルなラブソング。

はい。時系列としては「魔法の絨毯」と同じ頃のことを歌っています。出会った日のことだったり、Aメロの“帰り道は時間をかけてできるだけゆっくり歩いた 君のバックにぶら下がってる ぬいぐるみも寂しそうだ”という部分もリアルです。それにデートをしてご飯を食べて遊んで帰る駅までの時間や、あと5分でさよならをしなきゃいけない瞬間の気持ち、それからお互いの愛や感謝も含めて曲にしたためたいと思ったんです。Bメロに関しては、コロナ禍で人に会えること自体が当たり前じゃないリアルを描きました。こういう風にインタビューを受けさせてもらえるのも当たり前じゃないし、地元にいる親とかと会えない時間はすごく長かったですね。地元は栃木の田舎なので帰省に対して親も周囲も敏感になるんです。でもそうなると、じいちゃんばあちゃんと一緒にご飯を食べられるのはあと何回だろって思って……。多分数えられる程度なんですよね。そういう、当たり前に過ごしていた日々って実は当たり前じゃないよって歌いたかったんです。それは「カレンダー」に限ったことではなく、僕の曲全体のコンセプトなので、そういう意味でこの曲では特に集大成を見せたかったんです。


ー カレンダーと可憐をひっかけているところが思わず笑顔になっちゃいましたし、箇所箇所で韻を踏んでいる語感の心地良さや、後半にかけてエモーショナルになるサウンドなど、聴き応えもありました。

やはり歌っていて気持ちが良いというのがトッププライオリティにあるんです。なので実は、“カレンダー 君は可憐だ”という部分もライミングしようとは思っていなくて、単純に口の動きや母音の響きが気持ち良かったんです。結果的にダジャレになりましたが(笑)。サビの歌詞とメロディーが僕の中で一番ベストだったんですが、だからこそサビ以外のメロディーは全部違うんですよ。サビ以外は全部捨てメロなんです。まぁ捨てメロと言っては語弊がありますが、だからこそバリエーションやバラエティーも含めて聴いていて飽きない工夫はしました。


ー そういう部分も川崎さんの曲を聴きたくなる要因なのかもしれないですね。

勿論バズることも大切でしょうが、音楽は人前で歌った時にどう届くかでしかないので、自分が歌っていて楽しかったり気持ちが入っていたりしないと意味がないんですよね。だからサビ以外、二度と来ないメロディーたちを紡ぐちょっとした遊びですね。それはあくまでも僕のエゴなので、勿論気づいてくれたら嬉しいけど、分かって欲しくてやっているわけではありません。


ー 「カレンダー」に対して奥さんからは何か感想はありましたか?

「すごくいい曲だね!」って言ってくれました。今思えば「魔法の絨毯」の時と同じぐらいのリアクションでしたが、電車の中で完成した音源を聴かせたんですよ。弾き語りのバージョンは勿論デモの段階から聴かせてはいたんですけど、バンドが入った完成音源がたまたま電車の中にいた時に送られてきたから「今送られてきたから聴いてみる?」っていって聴かせたら、電車の中で泣き始めちゃって。「これはダメだ……。ちゃんともう一回家で聴く。」みたいな感じで言ってくれたので、そこがリアルな反応だったなとは思いますね。


ー 何かそれそれだけでドラマになるじゃないですか、

(マネージャーに向かって)お願いします。ドラマ、作ってください!(笑)


ー 「Young Song」はイントロから清々しくて、躊躇していた一歩を踏み出せそうな曲ですね。

ありがとうございます!この曲のアレンジは松岡モトキさんにお願いしたんですが、ポップめな歌詞や雰囲気を汲み取ってくださり、自分自身もこうあり続けたいと鼓舞できるような素敵な楽曲に仕上がったと思います。若かった頃や学生の頃に考えていた夢やワクワクする気持ち、よく分からないけど無敵な気がした。そういうものって大人になればなるほど忘れてしまったり、環境にもよりますが会社での人間関係に揉まれて薄れてしまったり……。そういう時、あの頃の気持ちを思い出してまたピースフルに生きていけたら良いと常に思っているし、人はどうしたって楽な方に逃げたり仕事に関しても手を抜こうと思えばいくらでも抜ける。でもそれって周りの評価は関係なくて自分自身が分かっていることなので、もしこの曲を聴いてくれた人が何かを気づいてもらえたら嬉しいです。この曲では仲間についても書きましたが、自分一人で何かを成し遂げられることはないし、それが僕にとっては事務所だったりレコード会社だったり。ぶっちゃけ彼らがいればそれで僕は良くて、彼らと仕事したいなと思っているから、みんなも同じことを思ってくれてたら嬉しいですね。(マネージャーを見て)ねぇ、聞いてた?

<マネージャー>聞いてたよ!だけど恥ずかしいだろ、顔みながら「うん、うん」ってう頷いていたら!

【一同爆笑】


ー 例えばその仲間と武道館に立ちたいなどリアルな目的って何かありますか?

勿論武道館や大型野外フェスに出たいという目的もありますが、リアルなショートゴールは特になくて。僕だけがピースでも違うんですよ、多分。今はまだ全員が同じ方向を向いて、その場その場を一緒に話し合って一つずつ壁をクリアしていっている段階なので、「あそこへ向かってみんなで行こうぜ!」という感じはあまりなくて……。それこそ今回のインタビューも含めてテレビの収録や12月のワンマンに向けて、みんなでどうやったら良いものを作れるかをディスカッションする感覚が強いかもしれません。いや、勿論武道館立てたらめちゃくちゃ嬉しいですよ!(笑)


ー あとミーハーなことを言って大変恐縮ですが、「Young Song」のMVでの川崎さんのカメラ目線での笑顔、すごく格好良くないですか!?

え、本当ですか!?ありがとうございます。めっちゃ嬉しいなぁ。撮影の時って正直あまり何にも考えてなくて(笑)、あれは何っていうんですかね……単純に僕はあの場でライブをしている感じというか。本当に歌ってますしギターも弾いていますし、それをたまたまカメラマンさんが目の前にいて撮ってくださっているという感じなので、監督さんやディレクターさんからこういう風に歌って欲しいというオーダーはひとつもなかったんです。なので赴くまま楽しくギターを弾いて歌っていました(笑)。


ー いや、本当に格好良かったです。

<マネージャー>カメラ映りの良さだけは定評があるからね。

そうそう、カメラ通さないとね……やかましいわ!

【一同爆笑】