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半﨑美子、本田美奈子. さんのオモイを歌で繋いだ「地球へ」インタビュー

半﨑美子、本田美奈子. さんのオモイを歌で繋いだ「地球へ」インタビュー

November 8, 2021 19:00

半崎美子

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半﨑美子さんとの対面インタビューは2020年3月リリースのシングル「布石」以来。互いに直に会える喜びを満面の笑みで表しインタビューはスタートした。今回半﨑が11月6日に配信リリースの「地球へ」は、2005年、急性骨髄性白血病で38歳という若さで惜しまれつつこの世を去った本田美奈子. さんの同名散文がきっかけだった。本田氏の“オモイ”を受け取って書かれた楽曲は、武部聡志氏をサウンドプロデューサーに迎え、過去と現在をリンクさせる包容力溢れる楽曲へと仕上がった。更に本田氏の親友だった早見優さんがこの曲の英詞を手掛けた「Dear Earth」も同時リリース。何故今回、半﨑は本田美奈子. さんのオモイを受け取ったのか。そこで感じたこととは……。


ー 対面は本当にお久しぶりですよね!お元気でしたか?

はい、お陰様で!


ー 対面でお会いするといえば、「明日を拓く」コンサートもありましたし、半﨑さんもお客さんを前にコンサートをする機会が増えてきたんじゃないですか?

そうですね。まだショッピングモールでは開催出来ていないんですけど、9月後半ぐらいからやっとコンサートの開催は増えてきているので、それだけでもありがたいです。


ー そういう中で11月6日に配信シングル「地球へ」をリリース。この曲は急性骨髄性白血病で亡くなられた歌手の本田美奈子. さんの思いを受け継いで命の尊さを伝えていく活動<LIVE FOR LIFE>よりテーマ曲のオファーがあったとのことですが。

毎年11月3日にLIVE FOR LIFEさんが本田さんのメモリアルコンサートを開催されていて、昨年私も出演させていただく予定だったんです。でもこういうご時世なので中止になってしまい……。


ー 仕方ないですが、やはり残念でしたね。

ええ。そのコンサートの最後にはいつも「アメイジング・グレイス」を歌われていたそうなんですが、イベントとしてのテーマ曲を作りたいというお話があって、今回書かせていただくことになりました。なので本当は昨年のイベントに間に合わせる形で、曲自体は昨年出来ていたんです。残念ながらコンサートは今年も中止になってしまったんですが、折角こうやって続いてきているコンサートの為に生まれた歌なので、今回まずは配信でリリースさせて頂く形になりました。


ー なるほど。本作は本田美奈子. さんが書かれた同名の散文から“オモイ”を引き継いだということですが、特にどういう部分を大切にされましたか?

「地球へ」という、ある種お手紙とも取れる散文には、環境破壊などで未来…つまり今現在に警鐘を鳴らすような言葉もあったんですが、それを単純に歌にするということではないのかなとは思っていました。よく「地球を守ろう」って言うじゃないですか。


ー ええ。

でも実は逆で、そもそも本田さんは、私たちが地球に守られている地球の一部で、自分は地球の細胞であるとおっしゃっていたので、そういう意味では地球という一つの生命に対して寄り添うことをテーマに書いた方が良いんじゃないかなと自分の中で解釈しました。最初はどういう切り口で書こうか若干迷った部分もありましたが、散文を改めて読んでいると、勿論地球という大きなテーマはありますが、もっと身近な自然や星や鳥たち一つ一つの生命に対して寄り添っていくことや声を聴くことが、地球に対するひとつのメッセージに繋がるのかなと思ったんです。なので自然にしろ自分の身近な人にしろ、気にかけたり想いを配ることがすごく大切なんじゃないかなって考えました。

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ー 「地球へ」という本田美奈子. さんの散文も読みました。本田さんが亡くなられたのが2005年。なのでその前から自然や地球に対して色々考えていた方だったんですね。

本当にそうなんですよね!どこかすごく予言的であって……でもそれが当時からの本田さんの視点なんですよね。なので過去からのそういうメッセージを受け取って、これをどうやって未来に繋げていこうという意味で、私は<歌>の役割として何かできることがあったらやらせていただきたいと思ったんです。本田さんの作品を他にも色々と拝見すると、やはり身近で小さな幸せや、ささやかな毎日をすごく大切にされていたので、そういう本田さんの視点から生まれた曲でもありますし、このコンサートのお話がなかったら私はもしかしたら本田さんの散文に生涯触れる機会がなかったかもしれないと思うと、出会えたことにも何か必然性を感じるんですよね。


ー 恥ずかしながら私は、今回の半﨑さんの楽曲がなければ<LIVE FOR LIFE>の存在に出会っていなかったです。

そういうものなんですよね。勿論<LIVE FOR LIFE>を知ってる方も沢山いらっしゃいますが、知らない方がたまたまどこかで今回の私の歌を聴いて、“なんだろう?”って調べて本田さんの散文や「LIVE FOR LIFE」の活動に繋がっていく。音楽ってそういう1つのきっかけなのかなと。


ー そうですね。こういうお話を伺うと半﨑さんに<LIVE FOR LIFE>のテーマソングのオファーが来たことも納得出来ます。それに「地球へ」を聴いていたら、自分の中で半﨑さんの「明日を拓こう」や「特別な日常」と繋がったんです。

確かに命に寄り添うというテーマで言うと、自分自身にもそういった楽曲が多いですし、それこそ「明日を拓こう」では大地や自然との共存を歌っていますからね。例えばショッピングモールで活動する中、色々な方たちの想いを受け取って沢山受信して曲にする。誰かの想いを“半﨑美子”というフィルターを通して歌にしているので、この「地球へ」も、まさに私がしている活動そのものというか、そのひとつになるのかな。そういう意味では色々なことがリンクしたのかなって、今お話していて思いました。


ー 今作のサウンドプロデューサーは武部聡志さんですが、大地的なサウンドにアイリッシュ・ホイッスルの音色が印象的でした。

あれね!本当にあの音が大地を感じるし、土着的なところもあるし。それに何っていうか浮遊感というか宇宙みたいなところも感じられてすごく不思議なサウンドでした。


ー それと音の逆回転…?

そうそうリバースですね!


ー あの部分も先程のお話を伺うと、本田さんが書かれた想い(過去)と、半﨑さんが作られた想い(現在)を表現しているのかなと感じました。それにパーカッションが大地的で大きなサウンドの世界観を表現していてサウンド的にも素敵でした。

武部さんは色々と考えてサウンドデザインされる方なので、きっとリバース部分もそういう考えがあったかもしれません。あまりイントロは長くせず、すぐAメロへ入りたいという旨はお伝えしましたが、その他は武部さんに殆どお任せしました。本当に素敵なサウンドにして頂きましたし、今言われたパーカッションやアイリッシュ・ホイッスルは私もこの曲でピッタリだなと思いました。