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Kitri、2nd EP『Secondo』インタビュー

Kitri、2nd EP『Secondo』インタビュー

July 31, 2019 12:20

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姉のMona(モナ)と妹のHina(ヒナ)によるピアノ連弾ボーカルユニットKitri(キトリ)。J-POPでは他に類のないスタイルと楽曲の世界観でプロデューサーの大橋トリオ氏さえも心酔させる。デビュー1st EP『Primo』のリード曲「羅針鳥」は全国のラジオやYouTubeなどネットで話題になり、その後、「Spotify Early Noise Artist 2019 」やYouTube「Artists to Watch」に選出されるなど、ネクストブレイクアーティストとしても注目を集めている。そんなKitriが7月24日(水)にメジャー第2弾作品となる2nd EP『Secondo』(セコンド)をリリースした。ピアノ連弾でいうところの“第1奏者”を表現する『Primo』に対して、低音部を担当する“第2奏者”を指す『Secondo』。『Primo』での鮮烈なイメージは『Secondo』で更に研ぎ澄まされた。今回、MonaとHinaに、『Secondo』への想いや、大橋トリオ氏について語ってもらった。


ー 今年2月1日に開催された「キトリの音楽会 #1」の東京公演に伺わせて頂きました。音源の世界観がより立体的に感じられて至福のひとときでした。

Mona・Hina:ありがとうございます!


ー あの時が初のワンマンということですが、全公演SOLD OUT。

Mona:そうなんです。ありがたいことに。特に熊本はKitriにとって初めてのライヴだったので、お客さんが来てくださるのか心配でした。でも皆さん楽しんで頂いたようで嬉しかったし、私たち自身も楽しめました。


ー 1st EP『Primo』でメジャーデビューし「羅針鳥」が全国で数多くパワープレイされ、色々な反応が届いたと思うのですが。

Mona:まずあんなに反応を頂けると思っていなくて最初は驚いたんですけど、感想で多かったのは「あまり聴いたことのない音楽」でした。自分ではそんなに意識したことがなかったから、自分たちの音楽と出会って新しいと思って下さったのはすごく嬉しいことでした。

Hina:曲もそうですが、姉妹で歌う連弾。そのスタイルや見せ方もすごく新しくて面白いし珍しいと言って下さる方が多かったのは、やはり嬉しかったです。


ー 1st EP『Primo』も現実を忘れてしまいそうになる独特な世界観がありましたが、今回の『Secondo』は、更に深くなったし演奏の魅力を感じられました。今作のテーマは何でしょうか?

Mona:前作『Primo』は、Kitriとして「はじめまして」という思いと、デビューに向けて決意を込めた作品でしたが、『Secondo』のテーマは「挑戦」です。勿論、活動を始めて間もないですが、各曲で今までやったことのないことに挑戦しました。今回は自分が、“これが音楽だ”と思っている固定概念をなるべく取っ払おうと思ったんです。メロディや歌詞、曲の構成、楽器の編成など、全てに対してより自由に、自分から生まれてくるものをポップに表現出来ないかと思い、作っていました。


ー 何と言ってもリード曲「矛盾律」のメロディとピアノの旋律が素敵ですよね。個人的に大好きです!

Mona:ああ、本当ですか?嬉しい。

Hina:ありがとうございます。


ー “唐草模様のサリー”や、“常夏マトリョーシカ“など、ありえないものがユニークに並べられていますが、「矛盾律」という言葉は論理法則から?

Hina:言葉自体はそうです。でも本来の矛盾律が意味する「“A”と“Aではない”は同時に成り立たない」ではなく、「“A”と“Aではない”が同時に成り立っても良いんじゃないか」という意味合いを込めました。


ー 逆説的ですね。

Hina:そうです、そうです。元々ある矛盾律の意味を疑っているというか。勿論本来の意味通り成り立たなくても良いんですが、もしかしたら成り立つ世界があるかもしれないっていう考えです。


ー だからああいうユニークな歌詞なんですね。だって“ジャングルで神輿”や“微分音でショパン“って、確かにありえない世界(笑)。でも矛盾律の矛盾に切り込む視点は面白いです。

Mona:景色が広がる単語を組み合わせたいなと思ったんです。歌詞を見ているだけで、より物語が進んでいくようなというか、色鮮やかになるよう考えました。それと音の響きも重要。歌っていて心地よく、歌いたくなるような発音の単語を選びました。


ー この曲でHinaさんはアコースティックギターやグロッケンも担当されたそうですね。

Hina:はい。『Primo』 ではギターを弾く曲がなかったんですが、今作では入れてみようということで。特にこの曲は色々な音が入っていたら面白いと思ったので、ギターやパーカッション、グロッケンなどに挑戦しました。アレンジの音も沢山入っているので、ライヴでどう見せるかも重要です。そこで色々な楽器をルーパーでループさせたんですが、それは結構大変でした(笑)。


ー ということは、ライヴでもこの雰囲気を感じられるということですね。

Mona:はい。しかもライヴだとルーパーを使ってもその場一回限りなので、毎回ちょっとずつ違う演奏やリズムの積み重ねになるのはスリリングでありながら、自分たちも楽しみです。


ー ストリングスアンサンブルやパーカッションなど、音のイメージは最初から?

Mona:この曲を作った時は、むしろピアノだけのシンプルな形で成立するくらいのイメージだったんです。 ただギターやパーカッションで、もっとリズムがあった方が面白いかもしれないと思ったので、そこまでの状態でデモを作りました。今回アレンジは「羅針鳥」に引き続き、神谷洵平さんにお願いしたんですが、神谷さんにそのデモをお渡ししたら「その日のうちに全てイメージが湧いた!」と言って下さって。私たちは最初、ストリングスを入れるイメージが全然なかったんですが、神谷さんにデモの途中経過を聴かせて頂いたら“なるほど、合う!”という感じで、逆にこの曲の新たな一面を発見させてもらいました。


ー そういうひとつひとつが刺激となりますね。

Mona:実際刺激を受けました。アレンジもひとつの枠に囚われないし、アイデアの引き出しも沢山あって、その中から良いと思えばまず試してみるチャレンジ精神。これがものすごく勉強になりました。私だと「まだ経験がないから」とか「理論がよく分からないから」という理由でアレンジが出来ないと考えてしまいがちなんですが、神谷さんのように、まず頭の中で鳴った音、浮かんだイメージを再現しようと努力することが大切なんだなと思いました。


ー「覚醒」ですが、どう動くかによって人間として覚醒するか、人形でいるか、状況の違いはあれど誰しもが経験していることを歌われていますね。

Mona:私は人間観察が好きで、大勢の人が当たり前のようにやっていることを客観的に観ることが結構多いんです。この当たり前に流れている空間は果たして本当に自然なことなのかって…。


ー 深いですね。

Mona:つい、そんなことを考えてしまうんですよ(笑)。でもそれをこの曲の物語の軸にしてみたいと思ったんです。この曲では集団と個の対比について触れていますが、自分という存在を集団に飲み込まれていく姿を最初に描きました。個を飲み込まれると、人間らしさって失われるじゃないですか。


ー そうですね。

Mona:そういう中で自分自身、もっと個を意識しても良いんじゃないかと思って作りました。


ー 歌詞や、淡々としたAメロなどに怖さも感じるのですが、力強く潔いエンディングが背中を押すような感じで好きです。

Mona:ありがとうございます。この曲はネガティブに聴こえる要素も多いですが、最後に向かうにつれて自己に芽生えていく様を表現しているので、そういう部分を感じてもらえたのは嬉しいです!


ー この曲ではお二人の息遣いや、絶妙な間(ま)が感じられました。どういう点に苦労しましたか?

Hina:無機質に淡々に歌うことを意識したんですが、普段結構感情の乗せて歌うことが多いので、そこが意外と難しくて。淡々と歌うってどういう感じなんだろうと考えながらレコーディングに臨んだんですが、そこが一番工夫しました。

Mona:この曲は最初が7拍子で始まるんです。


ー 7拍子…だったんですね。

Mona:ええ(笑)。あえて不気味さというか、心地よく乗れない…ある意味、違和感を出すために7拍子を選択したんですが、7拍子ならではのピアノの乗りを出すのが難くて。

Hina:それに曲の途中でコロコロ色々な拍子に変わるので、ピアノを弾くこともリズムに乗ることも難しかったです。でもそれが面白いところかなと思っています。


ー 歌も連弾も息を合わせることが重要だと思うんですが、それ以外に重要なことって何でしょう?

Mona:私の作曲やアレンジです。特にアレンジで何がやりたいか聴こえてこないと勿論演奏には現れてこないし、連弾だからと言って、ただただ派手にすることばかりに意識を取られて曲を書いていくと逆にすべてがぼやけてしまうので、まずその部分を大切に考えます。


ー 具体的にはどういう方法で?

Mona:まず引き算をします。どうしても音を加えたくなる部分をよく聴いて、自分は何を伝えたいのか考えます。


ー 喧嘩して、お二人の息が合わないことはないのでしょうか。

Mona:実際喧嘩をしたらきっと心が乗らないので、演奏を二人で合わせようとする気持ちがなくなると思います。良い意味で意見をぶつけ合いながら、無言にはならないようにしています(笑)。

Hina:でも私たちはあまり喧嘩をすることがないよね。

Mona:そうだね。今の私たちにとってはKitriとして息を合わせることが重要なので。


ー 休日はどういう過ごし方をされていますか?

Hina:楽曲の練習をすることもありますし、読書が趣味なので本を読んだり、部屋で映画を観たり。あとは二人で喫茶店に行ったりもします。

Mona:そうだね。たまにだけどね。


ー 良いですね。ちなみにHinaさんは最近読んだ本で印象に残った作品は?

Hina:恒川光太郎さんの「夜市」です。姉の意図とは違いますが「矛盾律」を初めて聴いた時に、何か通づる世界観を感じたし、ここからインスピレーションを受けたのではないかと思うくらい、曲と繋がるものがあったんです。


ー 今度読んでみます。

Hina:是非是非!

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