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【松室政哉 密着レポート!】Matsumuro Seiya LIVE 2015 -Trailer- 編

【松室政哉 密着レポート!】Matsumuro Seiya LIVE 2015 -Trailer- 編

December 11, 2015 12:30

松室政哉

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ドドッ、ドドッ…会場へ入るとバスドラの音が聴こえる。サウンドチェックが始まった頃だ。12月4日(金)、 青山・月見ル君想フでの松室政哉のワンマンライヴ【Matsumuro Seiya LIVE 2015 -Trailer-】は、彼にとって東京での初ワンマン。しかもSOLDOUT。二階ではオフィスオーガスタの半田氏が物販の用意をしていた。階段を降りフロアへ向かうと、11月のレコーディング合宿でエンジニアを務めた、いまぜきくにひろ氏の姿もあった。松室とメンバーへも挨拶し「緊張してる?」と松室に訪ねると「まだ今は緊張していないですね。多分ライヴが始まる直前が一番緊張するかも。」と、髪を切った松室の横顔が笑った。メンバー同士からも楽しげなおしゃべりや笑い声が聞こえる。

reh2015121107.jpg音のバランスをチェックしながら坂本暁良(Dr)がプレイすると、 松浦はすみ(Key)、後藤秀人(Gt)、 植松慎之介(Ba)もラフに音を合わせ、「ちょっとマイク変えますね。」「もう少し音を上げて。」「じゃあ7曲目の終わりから…。あ、もうちょっと鍵盤の音を下さい。」と、徐々にリハーサルへ。途中、この日のカメラマン杉田真氏も到着。

アウトロから次曲へのタイミング、サビでの盛り上がり、SEチェック。先程の柔らかなムードよりは当然緊張感を帯びているが、以前取材をさせてもらった二度目の事前リハーサルで、松室の表情と実際の仕上がりからすでに手応えを感じていたことは想像に固く、ポイントを押さえた本番前のリハーサルではそれが実証されていた。とは言え、自身のパートチェックや、月に映し出される映像のチェック、フロアに降りてステージの出音チェック、PAブースで半田や会場スタッフなどと入念な打ち合せ等々、松室の頭がフル回転されているのも分かった。リハーサルが終わると、一端楽屋へ。今終わったばかりのリハーサルについてや他愛ない会話。松室もスマートフォンに目を落として少しのリラックスタイム。

「何やらいい匂いが(笑)。」再びフロアへ戻ると、まかないの美味しそうな香りに松室もメンバーも反応。差し入れや添えられていたメッセージに目を通していると、スタッフの「あと30分で客入れです。」という言葉に一瞬緊張感が走り「もうそんな時間か。」と、出来上がったまかないを食べ、再び楽屋へ。

18:00、開場。続々とお客さんが入ると「初めまして!」の声も聞こえてくる。松室のファン同士、SNSなどでやりとりをしながらこの会場で初対面ということだろうか。この日を楽しみに、遠方から足を運んだ人もいるようだ。スタンディングでSOLDOUTの会場。スタート時間が近づくと、松室の登場を待ちこがれる人たちは階段にも溢れていた。

「まもなく -Trailer-予告編を上演致します。」

開演に先駆けた注意点を案内する場内アナウンスの言葉がそう締めくくると「予告編?」とフロアは少しざわめく。SEが流れ、メンバーと共に松室が歓声を受けて登場。

0010_151206.jpg繊細なイントロレスの曲で「予告編」がスタート。出来たばかりの曲もあり、今後曲名も変わる可能性があるため、今回はあえて殆どの曲名は伏せておくが、1曲目のこの曲は松室が上京した時の心境を歌うような歌詞が、切なく歪むギターと絡み合い心を打つ。曲が終わるとステージ中央の月にはライヴタイトルが映し出された。

「どうもこんばんは、松室政哉です。よろしくお願いいたします!」

2曲目のドラムに合わせ、勢いよく挨拶。大きな拍手と「キャー!」という大きな歓声に「ありがとう、こんなに沢山…。」嬉しさが口を突いて出る。
「いやぁ、凄いね。ついに始まってしまいました。【Matsumuro Seiya LIVE 2015 -Trailer-】ご来場いただき、ありがとうございます!」改めての挨拶と共に、東京での初ワンマンライヴがSOLDOUTしたことに感謝。自身のイベントがSOLDOUTするということも初。スタッフにその旨を伝えられても三日間くらい信じていなかったと笑う。「始まっちゃうと終わっちゃうんですけど。すごく寂しいんです。もう既に(笑)。」これも本音だろう。この日への想いの強さが伺える言葉に、密着を続けてきた筆者としては少し胸が熱くなる。きっと古くからのファンだろう。すでにこの時点で涙している姿も。

しかし松室政哉、やはりそこは関西人!。笑いも忘れてはいない。「今日は長いです。皆さん大丈夫ですか?いつもイベントでは30分くらいだけど、今日は37分くらいで。」とオーディエンスを笑わせると「あぁ良かった、ウケた。」と松室も笑い出す。事前リハーサルでも語ってくれたが、この日も「映画は予告編を観ることで“本編楽しみやな。”とか“早く観たいな。”と思うことが僕は多くて。だから今後の松室政哉が本編であるならば、今日は予告編ということで、今後の、2016年以降の松室政哉を楽しみに思っていただけるようなライヴになれば良いなと思っています。とは言え、今出来る松室政哉の集大成でもありますので、全部詰め込みました!」と、このライヴへの想いを語った。

ファンにはお馴染の“写真少年の憂鬱”では口ずさむ人も。4曲目の印象的なギターイントロと、心地よく上昇するサビのキャッチーさは松室のポップセンスをたっぷりと感じさせる。実際ライヴ終了後に松室へこの曲のタイトルを訊くファンの姿もあった。 優しさ溢れる“何でもない毎⽇”から挑発的な7曲目へ。松室政哉のメロディセンスは実に面白い。 特に7曲目は松室のルーツでもあるサザンオールスターズの匂いも感じるし、どちらもJ-POPらしい。しかしアプローチを切り替えるセンスは、影響を受け易く、その時やりたいと思ったことをやると語っていた松室の魅力だろう。“君は世界の中⼼だ”で筆者は一階の撮影エリアから二階へ。ライヴスタート時よりも階段には大勢の人が居る。移動した二階も、歌い上げる松室を真剣な眼差しで見つめるオーディエンスで溢れていた。前半戦が終わったことを告げる松室に「えー!」と会場中から声が上がる。「えー!って、まだ後半戦もあるがな!」あまりに曝け出した松室の口調にオーディエンスも笑い出し、松室自身も「新しいキャラが出てきましたけど。」と同じように笑う。

現在松室の新曲が、北海道を地盤とするコンビニエンスストア「セイコーマート」の2015クリスマスCMソングに抜擢。この楽曲はCMの為に書き下ろした為、まだ1コーラスしか出来ていなかったが、クリスマスが近いということで披露。一足早いクリスマスムードに盛り上がりながら後半戦へ。「新曲だ!」 ブライト感溢れる新曲にクラップも弾けると、オルゴールのようなSEがムードを変え、BRAND REUSE NANBOYA"CMソングにも起用された松室の代表曲“オレンジ”へ。しっとりとしたムードで聴き入るオーディエンスの中には再び涙する人の姿も。そしてイントロから歓声が上がったのは“ラストナンバー”。

live2015121104.jpg
目映く煌めくミラーボールと共に、一階も二階も階段もヒートアップする中、スクリーンが「5…4…3…2…1…」とカウントダウンし「0」で再びドラムフィル。最高の盛り上がりと笑顔で-Trailer-予告編は終了。

スクリーンには「→2016」の文字が映し出され、アンコールが鳴り響く。

「皆様、大変長らくお待たせしました。これにて予告編は終了となります。これより本編を上演いたします。」場内アナウンスがそう告げると、大きな歓声が沸き、松室とメンバーがが登場。「ここから約三時間くらいやりますんで(笑)。」と登場して早々笑わせる。「本編ということでアンコールです。どうもありがとうございます!」あまりの盛り上がりに照れたような笑顔で挨拶をすると、来年2月24日(水)にシングル『ラブソング。』をリリースすることを発表。日頃ライヴでも演奏することの多いこの曲は、ファン待望の音源化。喜びの歓声が上がる中、「せっかくなので。」と同曲を披露。

更にAmazon 20周年キャンペーンソングの“Happy Prime Day”ではフロアのシンガロングに松室も「皆さん最高です!今日は本当にどうもありがとうございまーす!」と笑顔を見せる。メンバーはここでステージを降り、松室政哉一人に。ライヴがSOLDOUTになったことや、これだけ盛り上がったことに対して「感謝しかない。」と言うも、あくまでもこのワンマンライヴは今後の松室政哉を楽しみに思ってもらう為の時間だと、現状に甘んじない松室らしい言葉を述べた。

「今後も色々な曲を作って、驚いてもらいながらも、“あぁ松室またやってるな。”みたいな感じで思っていただければ。それで応援していただければ嬉しいと思います。これからの松室政哉、よろしくお願いいたします!」決心にも似た力強い挨拶に惜しみない拍手が贈られた。「みんなが抱えているものを軽くしたいという大それた気持ちではなくて、その心の中にある何かに寄り添うような、そっと触れるような、この曲でそんな風に感じてくれれば。そうなれば良いなと思って最後の曲を歌います。」と挨拶。琴線に触れるような“ハジマリノ鐘”の伸びやかな歌声で【Matsumuro Seiya LIVE 2015 -Trailer-】は幕を閉じた。

熱気を帯びたままのフロアから楽屋へ行くと、松室はまだライヴの余韻が体中を廻っているようだった。「何をやったか覚えていない(笑)。」と笑うも、「あっという間だった!」というメンバーと共に、徐々に記憶をリプレイしている。詰めかける関係者への挨拶後「物販行ってこようかな。」ふと松室が二階の物販スペースへ。顔なじみのファン、初めてライヴに来たファン、それぞれのスタンスと愛情で松室へ声をかける。その後、すべてのお客さんが帰り、さっきまで熱狂していたフロアでは打ち上げの準備。

「ビール、飲んじゃおうかな。」と言う松室に半田は「飲め飲め(笑)。」と顔も上げずに笑う。一瞬の出来事だったが、多くを語らない半田の横顔から、松室をねぎらっているのが分かる。それぞれが音楽話や映画話、他愛ない話など宴は尽きないが(半田は真剣な表情でアンケートに目を通している)レコーディング合宿、ワンマンライヴリハーサル、そしてワンマンライヴと続けてきた松室政哉への密着も一端これで終了。「また次はシングルの時に。」お互い挨拶を交わすと、筆者も会場を後にした。MCでの松室の言葉を借りれば、今日は予告編。本編である2016年以降の松室政哉が楽しみだ。


photo:杉田真
text&photo:秋山昌未



■「オレンジ (Short Edit Ver.)」
https://www.youtube.com/watch?v=54PAEDtrBAw

■「オレンジ from Augusta Camp 2014 "Calling You!! Act" Short Edit」
https://www.youtube.com/watch?v=BAJ2CyS7wwQ

■ カバー動画シリーズ「THE COVERS」
https://www.youtube.com/playlist?list=PLrDI3MYX-29Z7RUYJmHxxbY40Cc6AabFi

■ オフィシャルHP
http://matsumuroseiya.com/

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Release

松室政哉
「ラブソング。」

2016年2月24日発売

-収録曲-

1. ラブソング。
2. 未定
3. 未定

ラブソング。

CD

XNAU-00018 / ¥1,111(税抜)