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【読むまさやんラジオ】秦 基博「アイ」の魅力とは

August 11, 2020 18:30

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【読むまさやんラジオ】秦 基博「アイ」の魅力とは

なぜ今、10年も前にリリースされた秦 基博さんの「アイ」を「まさやんラジオ」のテーマにしたか。それは今だからこそ……としか言いようがない。

人は難局に直面した時、真価が問われる。
日常から奪われた「当たり前」がいつこの手に戻ってくるのか?
未だ明けぬ夜明けを待ち続ける状況下で、いらぬ見栄や利己を取り除くと何が残るか?

陳腐だと笑われるかもしれないが、私はその真価とやらの正体は「愛」だと思っているし、そこからすべてが生まれると想像している。それは家族だろうが、友人だろうが、仕事仲間だろうが、近所に住むおばちゃんだろうが。
だが、ついおざなりになることもあるだろう。特に厄介なのは愛しい人だ。一見愛を感じやすいようにも思うが、自尊感情や培われた自身の価値観に加え、嫉妬や見返り、自己防衛など様々な感情が真価の周りに絡みつき、なかなか辿り着けないことも多い。
しかし出会った頃のことを思い出すと、心がふるえ、絡みついた感情の糸がほぐれ出す。(「出会った頃はあんなに優しかったのに…。」という愚痴もほどけて出てきそうだが。(苦笑)

前置きが長くなってしまったが、秦 基博さんの「アイ」は、その<真価>に気づかせてくれる楽曲だ。2010年1月13日に9枚目のシングルとしてリリースされ、オリコンウィークリーチャート5位にラインクイン。ロングヒットとなった。トップ5入りは前年1月にリリースされたシングル「朝が来る前に」以来、二回目。その後2014年リリースの「ひまわりの約束」が、映画『STAND BY ME ドラえもん』主題歌となり、秦さんは更に知名度を上がるが「アイ」が自身としても大切な楽曲になったのは間違いないだろう。実際、この曲が秦さんのライヴのセットリストに組み込まれることが多いだけでなく、カヴァーという形で多くの人に歌い継がれている。

この曲のプロデューサーは、JUJUさん、平井堅さん、miwaさん、Little Glee Monsterさんなど数多くのプロデュースを手掛けた松浦晃久氏。秦さんの弾くアコースティックギターが軸のシンプルなサウンド構成が、歌詞のメッセージや、秦さんの魅力のひとつである歌声をリスナーへ明確に伝えてくれる。

それから7年経った2017年、直木賞作家・乃南アサ氏のベストセラー小説『しゃぼん玉』(新潮文庫刊)が、林遣都氏主演で映画化された。親に捨てられ愛情を知らぬまま育ち、通り魔や強盗傷害を繰り返す伊豆見翔人(林遣都)が逃亡途中に老婆・スマ(市原悦子)を助けたことがきっかけで彼女の家に居座り、スマをはじめ村の人々とのふれあうことによって変化が生まれた。愛を知った人間が、居場所をみつけて再生する感動傑作。メガホンをとったのはTV『相棒』シリーズで演出を手掛けてきた東伸児監督。
そんな東監督をはじめ、製作サイドが『しゃぼん玉』の舞台となった宮崎県にゆかりのある秦 基博さんに主題歌提供のラブコールを送ったことから話は始まり、作品を観た秦さん本人が自身のターニングポイントとなった「アイ」を提案。


映画のテーマと言っても良い“無償の愛”と、楽曲の愛へのあたたかさが見事に融合し、監督含めスタッフ全員一致で主題歌に即決したという。大げさに言えば、この映画にはこの曲しかないと思う。そう思わせてくれるほど、実際ぴったりだった。

この映画では「アイ(弾き語りVersion)」が起用された。


このMVを観ているだけで時間を忘れてしまう。秦さんの歌声は、ギターは、魔法だ。

「でも 今 あなたに出会ってしまった」
出会ったのではない。出会ってしまったのだ。歌詞のこのワンフレーズで、主人公がどれだけ衝撃を受けたか感じ取れる。愛する人がいる喜びと共に、愛するからこそ瞳に映るその人を失ったらどうしようという不安。出会い、愛、瞳……「アイ」とあえてカタカナで表記されたタイトルには様々な意味や想いが詰まっている。
今一度、自己ではなく、自身が愛する人(この場合は友人や親子なども含む)の想いに想像力をフル回転させると、すべき言動がみえてきたり変わってくるかもしれない。自戒の念を込めて(笑)。

ところで、この記事を掲載した前日の8月10日、【HATA MOTOHIRO CONCERT TOUR 2020 ―コペルニクス―】の全公演中止が秦さんのオフィシャルサイトにて発表された。仕方ないとわかっていてもやはり非常に残念でならない。
何も考えず、ただライヴを楽しむ。そういう日はいつ来るのだろう。でもだからこそ、音楽の灯火を消してはいけないのだ。
先日取材させて頂いた、あるアーティストの方が「テレビをつければ毎日同じ報道で気持ちが滅入る」と言っていた。それは私も同じだ。
例えば「SNSをしながら音楽を聴く」という、ごく当たり前にやっていたことをやめ、ただ音楽にのみ耳を傾け、歌詞を飲み込む。うんざりする現実に目を伏せることは出来ないかもしれないが、自身が好きなことにのみ時間を費やすのも、愛のひとつではないだろうか。


■ 秦 基博 オフィシャルサイト
http://www.office-augusta.com/hata/

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