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果歩、感性に生きる19歳のシンガーソングライター「ライブハウスで歌い続けられるアーティストになりたい!」

果歩、感性に生きる19歳のシンガーソングライター「ライブハウスで歌い続けられるアーティストになりたい!」

February 8, 2019 18:30

果歩

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「クリープハイプはわたしのヒーローというか永遠の憧れです。」そう語るのは2月6日(水)に初流通シングル『光の街』をリリースしたシンガーソングライター果歩。現在19歳の彼女は小さい頃から夢は歌手しかなかったと言う。それが何故なのか自分でもわからないらしいが「ギターを持って歌ったらなれると思っていたからライブハウスに電話をしてライブを始めました。」と、至極当然のように、自ら音楽の道へと流れを切り開いていった。そんな彼女が初めてカバーしたのはmiwaの「441」。憧れも初めてカバーした曲も、彼女の世代に寄り添ったもので、今のアーティストらしい。

シングルのタイトルナンバー「光の街」は、新潟県出身の果歩が上京後に作った曲。彼女の目に光の街<東京>はどう映ったのだろうか?

「想像していた通り新宿の歌舞伎町は汚くて怖いし1人じゃ歩けない、電車は人が多くて鬱陶しい、街はいつもうるさい。でも渋谷のライブハウスは少し遠くてなんだか地元の箱を思い出す。東京でも懐かしく感じる場所があって居心地が悪いわけでもなくて意外と生きやすい。それから思っていたよりも(色んな人に言われてたよりも)優しい人は沢山いて冷たい街ではない気がしました。ずっと慣れたくないです、普通にはなりたくないし当たり前にもしたくないです。」

また、ある出来事がこの曲の歌詞を書かせるきっかけとなっている。

「渋谷のライブハウスで凄く良いものを見たんです。なんていうか音楽で本当に人間を救う瞬間じゃないけど、そんな感じで凄く格好良くて優しくて素直に憧れました。やっぱり渋谷の裏側でも(都会に生きる人間は当たり前でも)わたしには凄くキラキラしていたし(尚更今日は)輝いていた。力をくれた人達に街に届けばいいなって、近づければいいなって(色んな意味で)思います。憧れのあったかい気持ちとかむかついて悔しい気持ちとか、いつまでも当たり前にしたくない!」

ずっと憧れたくない、普通にも当たり前にもなりたくない。その言葉に果歩の美学を少し見た気がする。

c/wの「バンドガール・バンドボーイ」には男性の声が必要と考えた果歩は、オーデションがきっかけで知り合い、新潟のツアーでも対バンしたラヴミーズの神山大志(Vo,Ba)にその役をお願いした。(ちなみに今回のバンドアレンジ2曲はラヴミーズが担当)「これは売れる!笑 と素直に思ってしまいました笑 天才的、、」

今回このコラムのインタビューはメールにて行った。 果歩のイメージをどんぴしゃでアレンジする彼らに対してその文面から、笑いながらも興奮している様子が伝わってくる。更に同じ熱量で「ラヴミーズが主催のサーキットイベント【ラヴミュージ横丁】にも呼んでもらえて本当に嬉しい!これからも仲良くしていただきたいです!」とも言っている。

「低くて落ち着く神山の声が6畳のワンルームに住む2人の物語に優しく寄り添ってくれる感じがしてぴったりすぎる」

果歩の印象どおり、存在感ある落ち着いた神山の声は、楽曲の世界観にも果歩の歌声にもフィットしていた。「わたしの癖が強かったみたいで、歌い方に合わせるのが大変そうでした笑」そうも答えてくれた果歩。ああ、確かにそうかもしれない。高音に上がる時の癖や巻き舌など、歌で見せる<はすっぱ>な声の表情は彼女の魅力のひとつでもある。もうひとつの魅力は等身大の歌詞。生活の中から素直に感じたことを膨らませることの多い彼女は常にメモを取り、良いライヴからは一番インスピレーションをもらえると言う。

「人の言葉をいいなって思うことが多いのでそういう時自分がどんな気持ちか、で曲を作ったりとかですかね、うーん難しい笑 こういうときは、めちゃくちゃ“あの子になりてー!”って、どうしてわたしはあの子じゃないんだろうって悔しくて悲しくてむかつくんです。笑 ポジティブな感情よりもやっぱりマイナスな感情の方がいい歌詞がかけます!笑 だから見る小説や映画は考えさせられるものが好きですかね」

歌詞を書く上で、どういうところから一番インスピレーションが湧いてくるかの質問には、やはり飾らぬ等身大の答えが返ってきた。自分の感覚を大切に曲作りをする果歩は、自ら良いと思えた作品はブラッシュアップを重ね、そうでないと思う作品は制作をやめたり、出すタイミングを見直したりするそうだ。

高校生の頃に書かれた「あいつとライブハウス」。セルフライナーノーツで「わたしの音楽を変えた大切な曲」と語っている。

「この曲はおなじようにライブハウスで音楽をやっている人に“好き”と言われる機会が多くて、それが単純に凄く嬉しくて力になりました。あるライブハウスの方が “果歩の曲はライブハウスで生きている人にしか描けない事を歌にしていて、それが個性で凄くいいね”って言われたことがあって、それがめちゃくちゃ嬉しかったです。これがわたしの個性か!って素直に。わたしは “ライブハウスに来ていない人は分かりにくい音楽で普通の人は共感しにくい”とも言われたことがあってそれがすごくムカついたんですよ、何が悪いんだよって。難しいんですけどね共感ってすごく。でも歌い続けていたら全然ライブ見たことない人もこの曲から優しさを感じてくれたりちゃんと想像できたり“好き”と言ってくれた人が居たんです。 “わたしがこういう気持ちで作ったのをわたしよりもわかってる!それだよー!!!”って笑。だから、こうやってちゃんと同じような境遇で生きている人に認めてもらえて、その “ちゃんとわたしの個性の出た曲”で沢山の人の“好き”をもらえた曲の最初のきっかけの「あいつとライブハウス」はわたしの大事な曲です。」

果歩の音楽…特にこの曲はライブハウスのニオイを感じる。薄暗い空間や、ゴトッと音を立てるドリンクカウンターの製氷機、ライブハウスを通じて会う仲間同士の会話…。確かにライブハウスに行ったことのない人には伝わらないのかもしれない。でも、だからいいんだ。共感も反感も得られない音楽なんて面白くないのだから。それにこの曲がきっかけでライブハウスデビューする人間もいるはずだから。

またこの曲は、当初のミュージックビデオ(以下:MV)がイメージと違った為、撮り直しをしている。夏前くらいから制作を重ね、完成したのは1月すぎ。

「あっつかった撮影日も寒すぎて凍えた撮影日も、青春の置いてきたものを取り戻してるみたいで面白かったです笑」と、新たに生まれ変わったMVの撮影を振り返る。更に、歌詞の内容とは少し違うストーリーだが、ある意味アンサーのようなイメージで観てもらえたら嬉しいとも言う。本人出演に対しては「俳優さんと一緒に演じたりしたのは初めてで普通に照れくさかったし難しかったです笑 やっぱ歌ってるのが一番いい!笑」と、照れ笑いする果歩の表情が想像できるような回答をくれた。

最後に、今後どういうアーティストになりたいかという質問を投げかけたところ、「ライブハウスで歌い続けられるアーティストになりたい!」という答えが返ってきた。

「わたしはライブハウスで歌い続けられるアーティストになりたい!武道館とかドームとかメディアとかも凄い良いけど(もちろんやりたいから力をつけますので、バンバンオファーください笑)やっぱり沢山わたしの曲のスパイスになってくれた原点の場所をパンパンに埋められるアーティストになりたいです!格好良い女性になる!!」と。

『リアルタイム・シンガーソングライター』は高橋優のアルバム名だが、ライブハウスというフィールドを中心に、自分の感性を大切に<今>を描くのが果歩ならば、彼女だってリアルタイム・シンガーソングライターだ。ちなみに「あいつとライブハウス」は地元・新潟のUX新潟テレビ21の「ヤンごとなき!」と「Do?Do?Boon!!!」のエンディングテーマに決定。2月11日(月・祝)からは『光の街』発売記念インストアライブが、2月12日(火)には果歩レコ発企画「バンドガール・バンドボーイ」(会場:下北沢MOSAiC)、2月24日(日)にはStylish FellowS「果歩とメレのレコ発祝い」(会場:新潟 CLUB RIVERST)が開催されるので、併せてチェックして欲しい。


TEXT:秋山雅美(@ps_masayan


■ オフィシャルHP
https://caho.futureartist.net

Information

Release

果歩
「光の街」

2019年2月6日発売

-収録曲-

1. 光の街
2. バンドガール・バンドボーイ
3. あいつとライブハウス

光の街

タワーレコード/Amazon/ヴィレッジヴァンガード限定

MKLP-003 / ¥926+税

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