Augusta Camp 2018 -20th Anniversary- Presented by The PREMIUM MALT'S ライヴレポート

October 11, 2018 20:00

山崎とさかいが登場。軽いギターチューニングから“One more time,One more chance”へ。曲が終わり、長澤と大橋を呼び入れると「自分の曲も褒めたいんですけど（笑）、 One more（time,One more chance）やっぱり泣きそうになりますね！」あまりに真っ直ぐな目で素直な言葉を投げかける大橋に山崎は照れくさそうに「ありがとうございます…。」と小声でお礼を言った。

「仲の良い事務所ですけど、やっぱり音を出しだすとちょっとバチバチなる感じが（笑）。そんなことないですか？！」ああ、なんと大橋らしい発言なんだろう。オーガスタキャンプで大橋が闘志を剥き出しにする姿を何度ワクワクしながら観てきただろうか。

「お客さんのお陰で20年やってこれた」と山崎が言えば「山さんが始めてくれたんですから、オーガスタキャンプ。」と大橋は続け、会場からも大きな拍手。山崎は照れ隠しで言葉を探しながら「天気にも恵まれてね。月が出ていますよ。」と話題を変え「ほな、いくでー！」と、“月明かりに照らされて”へ。山崎のシャイな面はパーカッション、ベース、ブルース・ハープのグルーヴと、山崎＆後輩たちの歌声でアグレッシブに変貌。大きな歓声に包まれた。

「あぁ、日もとっぷりと暮れましたね。」大橋、長澤が退場後、岡本が登場。タイトルに繋げる話を笑い合いながらしていたかと思えば、山崎のブルース・ハープと岡本のギターはジャムり出し“カウンセリング＆メンテナンス”へ。長年お互いのプレイを見てきたアーティスト同士の自然な間合いには「音楽」しかない。それがどれだけ格好良いことか。筆者個人的には、この日一番痺れたステージだった。

ライヴも後半。ここからは怒涛の福耳オンパレード。“DANCE BABY DANCE”から始まり、“夏はこれからだ！”、“ブライト”、“惑星タイマー”とオーディエンスのテンションを上げ、心を熱くした。そんな中、杏子は“ALL OVER AGAIN”について語り始める。この曲は初代社長で、現・最高顧問の森川欣信氏が作曲（間宮工氏との合作）。

「日々暮らしていて、ちょっと凹んだりすることとか色んなことがあると思いますけど、でも、何度も何度もそれにめげず頑張っていくという想いを込めてジャイアン（森川）が作ってくれて、その想いを今は千村社長が引き継いでくれて、私達もこの歌を歌い継いで行きたいと思っています。音楽が大好きなみんなが今日集まってくれて、私たちがこうやって時間を過ごせること、本当にありがとう。感謝しています。」1992年、BARBEE BOYSを解散し、ソロ活動を始めた杏子のマネジメント事務所として設立したオフィスオーガスタ。言わずもがなそこには悲喜交交あったはず。歌っている最中、胸にこみ上げる想いがあったのだろう。杏子は声を震わせた。

福耳の曲はそれまで、たまたまメンバーがキャリア順にプロデュースを任されてきたが、2012年の“LOVE & LIVE LETTER”では秦の前に後輩さかいが曲を作ったことに対し「あの時、本当に歯ぎしりですよ。ギリギリギリ…ギリギリって。」 “ALL OVER AGAIN”で感傷的になっていたオーディエンスも秦の発言に大爆笑。「やっと歯ぎしり終わったと思ったら、すぐ松室が曲書いて。」（秦）、「松室は早すぎる！」（大橋）と、やっぱりイジられる松室（笑）。しかし秦がオーガスタキャンプを思い描きながら作った”Swing Swing Sing“が始まればアーティストもオーディエンスも同じように明るい笑顔が花開く。その後もずっとイジられ続けた松室だが、本編は松室作曲の“イッツ・オールライト・ママ”で終了。

アンコール1曲目は岡本作詞作曲、スキマスイッチプロデュースの福耳新曲“八月の夢”。常田が「歌詞は特に噛み締めて聴いて頂きたいですね。」と言っていたが、本当にそうだ。更に岡本がオーガスタキャンプに対して「一回一回がすごい大事な想い出になっていくんで、本当に今日を忘れないで欲しいというか…。」と言うと会場からは大きな拍手が広がった。20年も歴史を重ねると、オーガスタキャンプを終わりにする声も出たと、以前の取材でオーガスタキャンププロデューサーや岡本は語っていた。が、岡本はその取材で「続けてこられた喜びは回を重ねる毎に段々強くなってくるし、当たり前ではないんだなと思う。もっとじっくり味わって心に刻み込んだ方が良いのかなってね。」とも語ってくれた。

“星のかけらを探しに行こう Again”が終わると、大輪の花火で幕を下ろす。もう季節は秋になっているのに、このラストで筆者自身は毎年夏の終わりを感じる。でもこの花火やこの時間は同じではない。定番ではあるが、同じではない。それをきっとここに集まった13,000人のオーディエンスも刻み込むように花火を見つめ【Augusta Camp 2018 -20th Anniversary- Presented by The PREMIUM MALT’S】は終了した。


Photo：杉田 真
Text：秋山雅美（@ps_masayan）


■ セットリスト

□ 一部
M1. ミュージック（オリジナル：COIL）/ 福耳
M2. ガラナ（オリジナル：スキマスイッチ）/ 福耳
M3. BOY / 杏子 with 山崎まさよし・あらきゆうこ
M4. 遠雷 / 村上紗由里
M5. 薔薇とローズ / さかいゆう
M6. ひまわりの約束 / 秦 基博
M7. カッシーニ / 元ちとせ
M8. Train run / あらきゆうこ with 杏子・山崎まさよし・浜端ヨウヘイ
M9. 大男のブルース / 浜端ヨウヘイ with 山崎まさよし
M10. 無責任 / 浜端ヨウヘイ
M11. きっと愛は不公平 / 松室政哉 with スキマスイッチ
M12. 海月 / 松室政哉
M13. 根無し草ラプソディー / 山崎まさよし with 浜端ヨウヘイ・松室政哉・村上紗由里
M14. 無条件幸福 / 長澤知之
M15. Close to me / 長澤知之
M16. 雨天決行 / 岡本定義（COIL）＆スキマスイッチ with あらきゆうこ
M17. エーゲ海でお茶を / 岡本定義（COIL）＆山崎まさよし with あらきゆうこ・スキマスイッチ
M18. メロディ～君のために作ったんだから～ / 岡本定義（COIL）with あらきゆうこ・浜端ヨウヘイ・松室政哉・村上紗由里

□ Newcomer Act
M19. This is how I feel / 出立樫太
M20. Ambiguous / 出立樫太
M21. Alright / 出立樫太
M22. LOVE★G〜愛の重力定数〜 / HaiRi with 岡本定義（COIL）
M23. 未来のつぼみ / HaiRi

□ 二部
M24.『デビュー同期の桜』〜スキマスイッチ デビュー15周年に寄せて〜 / 竹原ピストル with スキマスイッチ
M25. ワダツミの木 / 元ちとせ
M26. 君と僕の挽歌 / さかいゆう
M27. MUSIC!! / 浜端ヨウヘイ with 杏子・山崎まさよし・さかいゆう
M28. 鱗（うろこ）/ 秦 基博
M29. STOP!（オリジナル：BARBEE BOYS） / 杏子
M30. 全力少年 / スキマスイッチ
M31. 奏（かなで）/ スキマスイッチ
M32. One more time,One more chance / 山崎まさよし with さかいゆう
M33. 月明かりに照らされて / 山崎まさよし with 大橋卓弥・長澤知之・さかいゆう
M34. カウンセリング＆メンテナンス / 岡本定義（COIL）with  山崎まさよし
M35. DANCE BABY DANCE / 福耳
M36. 10 Years After / 福耳
M37. 夏はこれからだ！/ 福耳
M38. ブライト / 福耳
M39. SUMMER of LOVE / 福耳
M40. LOVE & LIVE LETTER / 福耳
M41. 惑星タイマー / 福耳
M42. ALL OVER AGAIN / 福耳
M43. Swing Swing Sing / 福耳
M44. イッツ・オールライト・ママ / 福耳

□ Encore
En1. 八月の夢 / 福耳
En2. 星のかけらを探しに行こう Again / 福耳