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オフィス オーガスタ特集 最終章 佐藤洋介篇 後編:佐藤洋介とアーティスト。

オフィス オーガスタ特集 最終章 佐藤洋介篇 後編:佐藤洋介とアーティスト。

September 6, 2016 20:00

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ー 確かに最初はすごく驚きます。先ほども言いましたが竹原さん=弾き語りという固定概念があったので。でも聴いていると逆に「これしかないな!」と思えてきて。そう言い切ってしまうと、ライヴアレンジは?ということになっちゃいますが。

竹原の場合は、ライヴで弾き語りを聴かされると納得しちゃうんですよね。


ー ああ、確かに!それと竹原さんの同アルバム収録の“ばかやろ。”では、ヴォーカルが他の曲と音の聴こえる位置が違って感じたんですが。

色々な効果は使っています。アルバム全体通してヴォーカルの聴こえ方のイメージというのは勿論あるんですが、その時々の「雰囲気」みたいなものを収めているんです。 “ばかやろ。”はCDで弾き語りヴァージョンが入っていますが、本当は色々な音を重ねたヴァージョンがあって、全部アレンジもしたんです。ただ最終的に弾き語りが良いねということになって、音を引いていったんですが。


ー そうだったんですね。

あと、ヴォーカルとギターを一緒に録っている人と、単体で録っている人のヴォーカルってちょっと違うと思うんです。弾き語りの場合だと、ヴォーカルマイクとギターに向けたマイクの両方とも互いの音を拾うので音が広がった感じになるんです。「フェイズ」といって、位相がそうさせているんですが。


ー そういうことなんですね。ヴォーカルだけでなく色々な音の聴こえ方の変化もそういうことだと良く分かりました。

コンピューターだからこそ、そういうことを設定出来るんです。勿論アナログだった頃からあったにはあったんですが、今はもっと手軽に出来る。昔は、高音低音の上下の位置や音を右に寄せる、左に寄せる、ギターはもう少し前の方にいるなど、音の大きさで奥行きを作っていたんです。


ー それが位相ですか?

はい。位相はプラスマイナスのズレ具合で、頭の上に浮いている感じがするとか後ろから鳴っている感じがするとか、今は設定ポイントがすごく増えたんです。


ー それで音がより立体感に感じるんですね。私は普段ヘッドホンで少し大きめにして聴くことが多いんですが、例えば長澤くんがいる位置やその空気感を勝手に想像出来るというか。

分かります。混ざり合う感覚で、音が変わったりフェイジングでフランジャーっぽくなったりと、色々な音作りが楽に出来るんです、今は。あとヘッドホンだとバイノーラルレコーディングした長澤のアルバム『長澤知之III』とかは、より音の立体感を感じやすいかもしれないですね。


ー とても感じました。でも実は「バイノーラルレコーディング」という言葉を恥ずかしながらあのアルバムで初めて知って(笑)。

あれは耳と同じ環境で録られているので、人間が判断しやすい360°、どこで音が鳴っているのかというのを実現出来るんです。それを今はバイノーラルみたいなもので、疑似サラウンドではないですが、後ろにスピーカーがあるように音をちょっと飛ばせるような技術が少しずつ導入されてきています。そういうので、どんどん音の置き位置も広がっています。まぁそうなってくると、ミキシング作業はかなり増えてしまうんですけどね(笑)。


ー あー(笑)。

作業内容は増えていってるけど、コストは下げられるというね(笑)。


ー 痛し痒しというか(笑)。でも音が立体的に聴こえる理由が分かりました。

まぁそれも音楽ジャンル的には善し悪しなんですけどね。ギュッと絞まっているサウンドもすごく魅力的ですし。それを自分でどう設定するかのチョイスですね。広がりがあるのか臨場感があるのか、それとももっと別の世界観があるのか。楽曲によって判断しますし、アーティストの要望で変えることもありますし。ヴォーカルの位置は大体アーティストから要望が来ることが多いんです。


ー そうなんですね。

特にリバーブの有無は歌い手側にもすごく思いがあるんです。 きっと歌っている場所なんでしょうね。


ー 歌っている場所?

今は部屋なのか、外なのかとか。だからその要望は、どの音よりも多分ヴォーカルに対しての方が大きい気がします。


ー 音としてのヴォーカルの存在感はやはり楽曲を左右しますしね。例えば長澤くんの“僕らの輝き“。デビューシングルではなく『JUNKLIFE』に収録されたヴァージョンは、ライヴハウスでピンスポットを浴びている彼の姿が想像出来たんです。

なるほど。

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