NakamuraEmi『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST』インタビュー

January 20, 2016 20:00

ー「かっこ悪い涙を流すけど」という歌詞の後から重なってくる音たちから、そういう決意や感情、スケボーを選ぶ意味を感じました。解放感と切なさのような。 それこそ夜の宮下公園あたりに聞こえるスケボーの音が頭の中に出て来ましたもん。

うわぁ、すごく嬉しいです！その部分から、スケボーのタイヤが回っている感じや、足を蹴っている感じをパーカッションやその他の音で、どう表現するかメンバーとすごく考えたんです。


ー もうひとつの男性目線曲、“オネガイ”は面白い視点の歌詞だと思いました。普段は無口で力も強い男性の恋愛観。こういう人が近くにいるとか？

いえ、違います（笑）。サッカー日本代表の試合をテレビで観ていたんです。インタビューでもみんな無口じゃないですか？ボソッと「次も頑張ります…。」みたいな感じで。でもそれがカッコ良くて。ただそういう人たちも、もしかしたら家に帰ったら甘えたりするのかなって考えたんです。私はあまり妄想的なことを歌詞にすることはないんだけど、この曲はこういう男らしい人も、好きな人のことを考えるとクーッて頭の中がいっぱいになったり、ジリジリと胸を焦がすのかな？…なんて想像したんです。でもそうなられるって凄いなと思って、書きました。


ー 面白いです。

今回のアルバムもそうですが、私の曲って、気持ちが不安定な時に聴くと結構疲れるって言われるんです（笑）。


ー アハハハハ！私は大好きで、どんな精神状態の時にもEmiさんの曲を聴くけど、それは少し分かるな（笑）。

アハハ、やっぱり？今回のアルバムのリストを決めている時も、濃い曲が続くからどこかで力が抜けるような、すんなり聴ける曲があっても良いよねという話になったんです。メロディ的にも、この曲がそんな一曲になれれば良いなと思いました。


ー “オネガイ”は特にそうだけど、Emiさんの曲って全体的に音数が少ないですよね。引き算された音の間に見事にフロウが入っている感じ。

元々ヒップホップって、ピストルで血を流し合うのではなくMCで、ラップで戦うのが歴史の始まりじゃないですか。（足をドンドンと鳴らしながら）「足音のこのビートで俺は言う！」みたいな。


ー ええ。

私も（手をパンパンと叩きながら）こうやって、今ここにある音だけで歌えたら本物というか、そこで言いたいことがあって歌えるのが本物だと思ったんです。自分の中では勿論沢山の音がある状態も好きなので、そこはサウンドプロデューサーであるカワムラさんにお任せしていますが。「こういう曲があって、こういうイメージがある。」って、デモをお渡しした時に、カワムラさんの中でも曲と歌詞をリンクさせて「これどう？」って沢山のアレンジを持ってきてくれるんです。そして何よりも歌詞を大切に考えて下さって。「曲を作り終えた後に、歌詞が入ってこなかったら駄目だから。お前はとにかく歌詞だから、それが入ってくる音にすることを最重要に考えている。」って。ギタリストでもあるのに、ギターを沢山重ねたいということも一切なくて、とにかく歌詞が聞こえる音楽。歌詞を再現する音をメインに考えて作ってくれています。


ー “All My Time”は、かなりの確率で女子がうなずくと思うけど、Emiさんも好きな人が中心になったことは？

ありますね。 そんなつもりはないけれど、ついついって（笑）。


ー こういう歌詞だと、一般的にはポップなサウンドで背中を押すイメージの曲も多いと思うんだけど、メロウなサウンドというのが興味深かったです。

あー、なるほど。この曲を作り始めた頃は、まだヒップホップに興味を持ち始めたばかりだったんです。手探りで曲作りをする中で、それまではコードも多用した方が良いと思っていました。でもヒップホップって2コードや3コードで出来ている曲が多いと知って、ループの使い方を知ったんです。だからこの曲も、自分で繰り返しギターを弾いたものに歌詞を乗せています。同じコードの中でメロディを作るということに、初めて挑戦した曲でもあります。


ー “女子達”も、女子ならではの敏感さや甘くて柔らかい感じ、神経を使うけど底知れぬ強さが描かれていますね。女子校時代を思い出しました（笑）。

女子校だったんですか？


ー そう。勿論些細な陰口やイジメはあったけど、でもすごく楽しかった。

じゃあ良い女子校だったんですね（笑）。この曲は女の子のズルさというか、女子ならではな部分を書きました。私、小学生時代にもの凄く自己中心的で、いわゆる自己チュー人間だったんです（笑）。


ー え、そうだったの？意外。

凄かったです（笑）。でも中学に上がると「この子、何？」という感じに見られて仲間はずれになったことがあったんです。それがきっかけで、自分を主張することをしなくなりました。主張したいことは胸に収めておいて、みんなの言っていることを「うんうん。」って聞いているのが一番良いんだって、勘違いしちゃったんです（笑）。でもすごく良い友だちが沢山出来たので、自分では気持ちを溜め込んでいるつもりもなかったんです。ニコニコと笑って、友だちの言うことや感情に寄り添う。それが中学、高校時代。


ー そこから気持ちに変化があったんですか？

その後、仕事やプライベートで色々なことがあったんですが、親友のお母さんが亡くなってしまったんです。もうすぐ亡くなるという時に私は、その友人に感情移入してしまい、泣くことしか出来なくて。でも私が泣いてもその子は元気になれないじゃないですか。


ー そうかもしれないですね。

でも、もう一人の友人は感情移入するのではなく「それならこうした方が良い。」とアドバイスが出来たんです。私はそれが出来なかったし、今迄みたく人に寄り添うことしか出来なかったから、これでは駄目だって思って。


ー そういう大きなきっかけって、やはり自分を変えますよね。

そうですね。


ー “女子達”の歌詞にあるレコードがグルグル…ではないですが、今回は数量限定でレコードもリリースするんですよね。

そうなんです！日本コロムビアのレコードのカッティングの現場を見せていただけることになって、感激でした。まだ溝が刻まれていない真っ黒な盤とか。自分自身もレコードが好きでよく買ったり聴いたりしていますし、地元でもDJをしている友だちが多いから、私のCDを何とかレコードにして、イベントでかけてくれたりしていて（笑）。


ー すごいね！

ですよね（笑）。私の曲をクラブでも流したいと言ってくれる人たちがいるのが本当に嬉しいです。今はパソコンとかでも簡単に出来るけど、私と同じ年代の友人は本当にアナログの、レコードで回す人が多くて。だから若い世代の、パソコンや機材で出来るDJの人たちにも聴いて欲しいけど、レコードで回して気持ち良いイベントを作りたいと考えている人も私の周りには結構いて、そういうところでも流してもらえるものにしたいと思いました。レコードって何か特別ですよね。『NIPPONNO ONNAWO UTAU vol.2』を作った時にもジャケットをレコードっぽい大きなサイズにしたんです。CDはすぐしまうけどレコードって飾ったりしませんか？
 

NakamuraEmi
"NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST"～Release Tour 2016～

5月17日（火）大阪 JANUS
開場18:30 / 開演19:00
席種：全自由　チケット一般発売日：3/26（土）
お問い合わせ：グリーンズ 06-6882-1224

5月18日（水）名古屋 TOKUZO
開場18:00 / 開演19:00
席種：全自由　チケット一般発売日：3/26（土）
お問い合わせ：ジェイルハウス 052-936-6041

5月25日（水）東京 代官山UNIT
開場18:30 / 開演19:00
席種：全自由　チケット一般発売日：3/26（土）
お問い合わせ：ソーゴー東京 03-3405-9999

チケット料金：￥3,000（税込）ドリンク代別

□ CD購入者先行
1/20（水）12:00～1/31（日）23:59
3/26（土）一般発売