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高橋優、ツアーや作品を通じて感じる大切なこととは?New Single「キセキ」インタビュー

高橋優、ツアーや作品を通じて感じる大切なこととは?New Single「キセキ」インタビュー

March 24, 2024 20:00

高橋優

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ー 思い出が失われることは本当に辛いですからね。

ええ。ロシア・ウクライナ戦争の辺りからかな……僕自身、当たり前の日常や自分にとって一番大切なものは何かということに意識を向けておいた方が良いと思い始めたんです。先ほども少し話が出た四季がなくなっていることもそうだけど。竜巻なんて今までそんなに起こらなかったのに今はしょっちゅう起こるじゃないですか。


ー 驚くような災害も増えているし。

そうそう。そういうことに対して若干の奇妙さは感じているし、僕らが当たり前だと思ったものがほとんど当たり前ではなくなっているからこそ、あえて当たり前のことを歌った方が良いのかもしれないと考えるようになったんです。


ー だからこそ「雪月風花」にしろ「キセキ」にしろ、ストレートに愛情を伝えているんですね。そういえば「キセキ」のタイトルや歌詞はカタカナ表記ですが、一部だけ“軌跡”とあります。先ほども人の一顰一笑にフォーカスを当てて14年間歌い続けてきたと言われていましたが、昨年12月で40歳になった今、その40年はどんな軌跡でしたか?

たまたま昨日、チームスタッフだった人と久しぶりに会って軽くご飯に行ったんですが、現場を離れたからこそ話せることってあるじゃないですか。


ー 同じ現場内だと言いづらいこととかね。

そうそう。離れて人間×人間になったから話せたのかなという時間を過ごした中で、ふと思ったんですが、僕はなんの才能も何の魅力もないけど、一個胸を張れるのは出会いに恵まれてるということ。自分と出会ってくれる人が何かしらのスペシャリストだったり、エキスパートだったり、すごく面白い人だったり格好良い人だったりクセのある人だったり。生まれた時から考えても、そういう人たちに支えられてきた40年間だったと思います。シンガーソングライターなんて格好悪いって言われたこともあるけれど……


ー そんなこと言う人いるの!?まぁ人それぞれ価値観は違うけど。

だってほら、今だとコンプライアンス的に駄目だけど、もっと暴力的な人とかアウトローで全てに裏切られてきたぜみたいなヤツの方が格好良いみたいな価値観もあるじゃないですか。パンクとか喧嘩する人が格好良いみたいな。


ー あぁ、ありますね。

でも僕は基本的に怒る人って好きではないし、喧嘩も好まない。でも家族は大好き。だから出来るだけピースが良いと思っている中で、ピースフルな人たちに出会わせてもらってきて、その結果ピースの歌も歌えるようになったんですよね。まぁたまには黒いものも出てきてしまうから、黒橋優と白橋優なんて言ってライブもしたけど(笑)。


ー あれはすごく楽しかった!

だからこの40年間は出会いに恵まれたと思います。人に救われ、助けられ、支えられてきたなって。


ー ただ、自分には才能や魅力がないと言っていたけど、高橋優の歌や優さん自身の人柄に才能や魅力があるからこそ、そういう人たちを呼んでるんじゃないかな。

そう言ってもらえると本当にありがたいけど、そう言ってくれる人たちに出会えてるからなんですよ!めちゃくちゃすごくても誰も何も言わなかったらその人のすごさは誰にも伝わらないし、歌が上手な人や曲の力、キャッチーさを持っている人なんて山程いますから。マネージメントとかレコード会社の人たちからすれば、高橋じゃなくてあっちの方が絶対いいじゃんって思うことも多いと思うんです。実際に言われたこともあるし。だけどなぜか僕を選んでくれた人がいる。神輿というのは担いでくれる人がいないと神輿にならないし、格好がつかないんですよ。その神輿を担いで、“高橋優”というアーティストを盛り上げてくれる人がいる。ライブもそうだし、この取材もそう。実際、そういう人たちがいなかった時期も長かったからですから、路上ライブをしていたインディーズ時代は。


ー 自分で原価計算しながらCD作ったりしてね。

そうそう(笑)。だから出会いには救われてきました。


ー 「キセキ」の話に戻りますが、サビでは涙腺崩壊しました!

本当ですか!?


ー ええ。もう最初に聴いた時から涙が出て……。それに良い意味でメロディや音作り、アレンジがJ-POPの王道的な気がしました。

王道と言ってもらえるのは嬉しいです。難しいと思うんです、王道やキャッチーな作品を作ることって。どうしたって自分の癖とか出ちゃうし。ただこの「キセキ」という曲は、いつかみんなで歌える曲になるような気がしているんです。それがライブなのか、結婚式なのか、合唱コンクールなのか分からないけど、“春が芽吹き 夏が咲いて〜♪”って、みんなが歌っている画がずっと頭に浮かんでいて。ラララとかじゃないとみんなで歌えないような感じがするじゃないですか。でも僕らみたく春夏秋冬がはっきりしている国で暮らしてる人たちからすると、覚えやすいんじゃないかなと思うんですよね。もしそれが現実になるとして、例えば合唱コンクールであれば、生徒さんたちで演奏できるぐらいが良いと考えてはいました。


ー それは良いかも!合唱コンクールとかで聴きたいですもん。

ただ曲によって広がり方が違うのが面白いんですよね。この曲がこういう形で色々な人に届くんだってびっくりした時もあるし、この曲こそ届けと思った曲が意外とファンにだけ愛される曲になったりとか(笑)。本当にタイミングと時代と、あとMVの内容でも変わると思うんです。だからこの「キセキ」だって、いつかみんなで歌う曲だと言ったことが滑稽に見えるかもしれない(笑)。僕らの次の次の世代ぐらいで「なんか令和っていう時代の、この曲知ってる?」とか言われるかもしれないし(笑)。


ー もしかしたら優さんが80歳くらいになった時にラジオから流れているかもしれないし。

そうそうそう。いつどうなるか分からないですよね。でも何故だかみんなで歌っているイメージを僕はずっと持っているから、何ヶ月後か、何年後か、何十年後か、何百年後か、きっと誰かが歌ってくれると信じています。それまでは僕が一生懸命歌いますが。


ー 私はウエディングソングにも感じました。

いけるのかな?でもウエディングソングってネガティブな言葉って駄目じゃなかったでしたっけ?荒ぶとか大丈夫かな。擦れ合うとかも言っているけど(笑)。


ー 大丈夫(笑)。だって特等席で見守ってくれているし、どんな未来があっても手を取り合いながら歩いていこうとも言っているし。

確かに。あぁ、結婚式で歌ってくれたらめちゃくちゃ嬉しいなぁ……。そうか、ウェディングソングか……今度何かのコメントの時にそう言ってみようかな。


ー 受け売りかい!

だって多分僕って、ソロシンガーとしては圧倒的にラブソングが少ないと思うんですよ。だから「これは是非ウェディングソングに」って(笑)。


ー 優さん、正直だから目に出るよ(笑)。

あ、こいつ受け売りしてるなって(笑)。


ー そうそう(笑)。さて、冒頭ではツアーの手応えを伺いましたが、これから向かう先で待っているファンの方々に一言お願いします。

誤魔化しもない、小手先勝負でもない高橋優でステージに立っています。デビュー14年ですが、こんなに自分らしいというか、自分を全部見てもらえるライブって案外なかった気がするんですよね。純度100%高橋優ライブみたいな。そういう意味では路上ライブに近いんですが、それをホールでやらしていただけているのが本当にありがたいです。ホールは椅子もあるしから路上ライブよりよっぽど快適ですし(笑)、ゆっくり聴いてもらえる曲もあれば、弾き語りにしてはぶち上がるシーンもあるので初めての人はビックリするかもしれませんが、そういう意外性もひっくるめて多分長さを感じず楽しい時間になると思うので、会場でお会い出来たら嬉しいです。この記事を見てくれているあなたの近くにもきっと行きますので、お会いしましょう!


ー ありがとうございました!


インタビュアー:秋山雅美(@ps_masayan


■ 高橋優 Official HP
https://www.takahashiyu.com/

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