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堂珍嘉邦 インタビュー<パート1> ミュージカル『アナスタシア』での「俳優」としての姿とは。

堂珍嘉邦 インタビュー<パート1> ミュージカル『アナスタシア』での「俳優」としての姿とは。

October 16, 2023 18:00

堂珍嘉邦

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ー そういえば、堂珍さんは舞台の時に役をイメージした私服で練習に臨むらしいですが、今回はいかがでしょう?

今回は黒い服を着ていましたね。別に本番で黒い服は着ないんですが、カラフルな服はちょっと違うかなと思って(笑)なるべく厳しく映るようにモノトーンが多かったです。


ー 他の演者の方たちとはどういう話をされたんですか?

ヴラド役の石川 禅さんとは色々お話させていただきました。プロ野球の若いピッチャーが、球界を代表するピッチャーにアドバイスを受けに行ったり、色々教えてもらったりするじゃないですか。


ー ええ。

そういう感覚で「今のところの感触を全体的な目線で観てどうですか?」とか色々聞いています。

「何回も公演が続くと気持ちを無理やり絞り出そうとするしかなくて。でもそれだと空回りしちゃうから難しいですよね。その場合はどう対処されるんでしょうか?」みたいな感じで色々と相談させて頂いたり。

そんな中、たまたま同時期にやられていた、市村正親さんと鹿賀丈史さんがダブルキャスト主演の『生きる』という舞台の制作発表の動画をみたんです。

そんな話の中で、市村さんと禅さんの関係が同じ事務所ということが判明して。

禅さんが市村さんに言われて今でも芝居をする時の金言というか心がけていらっしゃることを教えてもらったり。

他には、シンプルにどんなことを考えて芝居していらっしゃるのかを聞いてみたり、楽屋が一緒なので、これはチャンスだと!笑。

僕は禅さんって、ステージに立っている自分を俯瞰しながらお芝居をされているのものだとばかり思っていたんですが、それは40代中盤くらいで辞められたという話になり。

とにかく相手を見てお芝居をされているそうなんです。ステージってバミリといって役者の立ち位置や小道具の場所などの目印があるんですが、そういうことさえも考えず相手を観て芝居する。何かすごく新鮮というか。

自分と全然違う世界でお芝居をされてきた大先輩が、何を考えていっしゃるのかはとても興味深いし、それはもしかしたら自分の一つの教科書になるかもしれません。


ー 先輩方の、経験によるやり方や考え方ってすごく勉強になりますよね。

はい。そうなんです。
あとは、舞台によって、カンパニーだけど、ファミリーに近い部分もあると思っていて、オープンマインドの方が何かとやりやすいじゃないですか。

だから自分も、結局は、人対人っていつも思います。

例え会話はなくとも、今日は何を考えていて、どういうモチベーションでスタートしてるかなとか、何回か公演を続けてて、辛そうだなとか。じゃあ、俺も頑張ろう!

声をかける、たった一言でも気分が上がったり、ほぐれたり、僕も経験してるから、周りをみるのも大切かなって。

あとは、自分自身の芝居に常に疑問を持って疑ってます笑。向上心で!

ある人を中心に観ると、その人の反対側にいる人は敵になるというか、対な存在になるじゃないですか。


ー ええ。

今回で言えば、主人公のアーニャからすればグレブは敵。でもグレブは自分に課せられた道を突き詰めているだけなんですよね。そういう意味では悪というより純粋、真っ直ぐ。『アナスタシア』」は、アーニャという女の子が記憶を取り戻していきながら成長していくストーリーですが、僕が演じるグレブも、軍人だった自分の父親がアーニャたちの家族を惨殺した事実を抱えな亡くなってしまった背中を想いながら、ある意味人としての葛藤と成長をみせるドラマがそこにもあります。言ってみれば、どの役も一つ山を越えて次の人生のステージに歩んでいくんです。人間はそういう悲喜こもごもを抱えながらそれぞれに課せられた何かをやり遂げようとして生きている。

この『アナスタシア』は自分自身を探す旅と人間愛をテーマにした群像劇だと思います。10月19日(木)から梅田芸術劇場メインホールで、2020年は果たせなかった大阪公演が開催される予定ですが、是非そういう人間愛と群像劇、そして、アーニヤの物語を是非観に来ていただきたいです。

CAST20231016.jpeg撮影:阿部章仁


ー ありがとうございました。


インタビュアー:秋山雅美(@ps_masayan


■ 堂珍嘉邦 オフィシャルサイト
https://dohchin.com/

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