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【レビュー】三浦大知『いつしか』

October 28, 2022 17:00

三浦大知

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【レビュー】三浦大知『いつしか』

静かでありながらその始まりには心を奪われた。まるで静寂の中にある満天の星のようだ。 10月21日(金)に公開された劇場アニメ『ぼくらのよあけ』の主題歌として、Nao’ymt氏の作詞・作曲により書き下ろされた「いつしか」。ピアノと三浦の歌声のみでそっと始まるAメロは、静けさの中に心奪われる何かがあった。そこから徐々に盛り上がりをみせ、最後はまたピアノと三浦の歌声で終わる。子と親の両視点から紡がれた歌詞の始まりは、“いつしか”という不安や寂しさ。それが強い決意の“忘れないで”となり、悲喜こもごもを抱えたからこその“忘れないから”になる。包み込むような愛情と希望の絆は、格好つけることも飾りたてることも、強がることもなく素直な言葉で綴られている。

1万2000年をかけて地球に来た“未知なる存在” と子どもたちの極秘ミッションを描いた『ぼくらのよあけ』。映画を観た人の感想を目にすると、この曲は『ぼくらのよあけ』そのものだと感じた人が少なくなかった。映画であれドラマであれCMであれ、タイアップでの最終的な表現はアーティストにより異なる。しかし本当の意味で作品に寄り添い、聴く人がその一部と感じられる楽曲はどれだけ存在するだろうか。映画に寄り添った歌詞と繊細な音の展開、それをこれ以上ないパフォーマンスで表現する三浦の歌。更に言えばその歌声に宇宙を宿らせたエンジニアの技術にさえ感動を覚えた。『ぼくらのよあけ』のキャラクター原案を手がけたpomodorosa氏が映画のコンセプトアートとして描き下ろした配信アートワーク、そして勿論、劇場アニメ『ぼくらのよあけ』と併せてチェックしたい逸曲。
 

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