【レビュー】高橋優『勿忘草』

先日、3年ぶりに開催された自身主催の地元密着型フェス『秋田CARAVAN MUSIC FES 2022』（以下：ACMF2022）を大成功に収めた高橋優。10月5日にリリースのオリジナルアルバム『ReLOVE ＆ RePEACE』も今から待ち遠しいところだが、そのアルバムに収録の「勿忘草」がデジタルシングルとして先行リリースされた。
風には名前なんてない。しかしその風の中に“あなた”を感じる……。
センチメンタルで優しく、それでも力強く。この曲を聴き終わった時、筆者は感嘆のため息が出た。穏やかなピアノのイントロ、一言一句大切に噛みしめるように発せられる歌声。美しいヴァイオリン。どの音もどの言葉も琴線に触れる。ゆったりとしたメロディの中で、中低音から高音まで繰り広げられる声の幅の広さも聴きどころのひとつだろう。

歌詞からイメージされた部分がないとは言えないが、この曲を聴いた時に高橋の「同じ空の下」（2013年）を思い出した。高橋の曲はメロディやアプローチが変わっても＜一人じゃない＞ということをキーワードにすることもよくある。そのワードでみんながどれだけ勇気をもらえたか。この曲はACMF2022で初披露されたが、きっとあの場で聴いた人にとっては深く心に刻まれたに違いない。

青く小さな花を咲かせる勿忘草の花言葉は“私を忘れないで”、“誠の愛”、“真実の友情”。

高橋は誰を想ってこの曲を作ったのだろう？
決して興味本位や下世話な詮索ではない。ただ、高橋の紡いだ言葉に想いを馳せながら、自分の、そして聴く人それぞれの青く溶け出してく飛行機雲はどういうものだろうと想像を広げたのだ。それは曖昧すぎず明確すぎない歌詞の余白がそうさせたもの。だが高橋の振り幅に少し笑みをこぼしたのも事実。この曲のレビューの前に、同じく高橋の「秋田の行事（feat.柳葉敏郎, 藤あや子, 佐々木希 ＆ 秋田県人会）」についても紹介している。このギャップは面白い！更にこの「勿忘草」はテレビ朝日「お願い！ランキング presentsそだてれび」9月度エンディングテーマソングにも決定しているので、是非そちらも併せてチェックしてもらいたい。