【レビュー】矢井田 瞳『さらりさら』

昨年に続き、矢井田 瞳が井村屋のロングセラーシリーズ『あずきバー』のCMソングを手掛け、そのCMソング「さらりさら」を7月1日にデジタルリリースした。楽曲全編聴く前に、すでにCMでこの曲を耳にしている人もいるだろう。キャッチーなサビから始まる夏らしいサウンドと、風に乗るような爽やかな矢井田の歌声。この曲のレコーディングメンバーは西川 進（Gt）、太田 守（Ba）、水野雅昭（Dr）。紙資料にメンバークレジットが載っていることは結構あるが、サイト上できちんとクレジットを載せているあたり、メンバーへ対しての矢井田の想い、バンドで音を作る想いを強く感じる。（アレンジは太田氏と⻄川氏が担当）矢井田の歌声を活かした軽快なバンドサウンドは実に心地良い。

矢井田はこの曲に対して公式メッセージで「諦めそうな心に気付いてしまった瞬間や、ふと、視野が狭くなっているな、なんて感じる瞬間。そんな時、大きな空から優しい風があなたの心に吹いて、ヒントをくれたり、前向きな気持ちをくれたりして、そこから“もう一歩踏み出そう”って思えるような曲になってくれたら良いなと、そんな願いを込めました。」と述べている。仕事でトラブルが起きたり、家事や子育てがが思うように進まなかったり、思いもしない出来事に見舞われたり……。そういう時、人の視野は簡単に狭くなる。無論、何でもかんでも音楽の力でどうにかなるとは思っていないが、矢井田のメッセージにもあるように現状の自分に気づかせてくれ、心を軽くしてくれたり前を向かせてくれることは少なからずあるはずだ。2番Bメロが終わり、歪むギターから続くラジオボイスのようなこもった矢井田の歌声は心の中に風が吹く前兆にも聴こえた。現在井村屋では「大事な人とあずきバーキャンペーン」を展開中。初夏を感じるこの曲を聴きながら大事な人とあずきバーを味わってはいかがだろうか。