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【レビュー】藤井フミヤ『水色と空色』

May 26, 2022 15:30

藤井フミヤ

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7月11日(月)に日本武道館でのバースデイライブを控えている藤井フミヤのニューシングル「水色と空色」が先行配信スタート!<CDは6月8日(水)リリース>。タイトル曲の「水色と空色」は永山瑛太、川栄李奈が出演のデジタル短編映画『半透明なふたり』の主題歌。プロデュースは亀田誠治。すでに耳にした方も多いと思うが、改めて歌詞のみを読んで頂きたい。詩的な言い回しで表現された情景と感情。ふと若き日に胸焦がした銀色夏生の詩世界を思い出した。また、短歌の如く時折出てくる五と七の音の組み合わせは実に語感が良い。これは完全なるこぎつけかもしれないが(多分こぎつけだろう)短歌は平安時代のもので、タイトルの<水色>と<空色>が色として区別されたのも平安時代からだと言われている。無論映画主題歌として内容に寄り添った歌詞だと想像されるので、結局のところ平安時代は全く関係ないと思うが、言葉の美にいくばくかの共通点を感じた。藤井は歳を重ねるにつれ歌唱表現も変わり、特にバラードではしゃくれ無しでストレートに言葉を届け、不必要に情報を詰め込まない余白と併せ、とても耳に残った。一方、c/wの「未完成タワー」は湧き上がる感情を声に委ね、実に抒情的に歌い上げている。その歌声はきっと聴く人の心の奥底まで揺さぶるだろう。また、この2曲のコントラストを楽しむのも良い。「未完成タワー」の作曲は、藤井フミヤの作品を多く手掛ける増本直樹氏。なお、この「水色と空色」が主題歌の『半透明なふたり』は6月8日(水)から「半透明なふたり」公式YouTubeチャンネルにて無料公開を予定している。芥川龍之介の短編小説「鼻」を原案に、傷を背負った2人の揺れ動く感情を描いていく短編映画。是非映画と共に楽曲の世界観を堪能してもらいたい。

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