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【レビュー】元ちとせ『虹の麓』

May 13, 2022 15:30

元ちとせ

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2002年「ワダツミの木」で鮮烈なデビューを果たした元ちとせが、今年2月6日にデビュー20周年を迎えた。現在公式では20th Anniversary Special Siteが展開されており、7月には5thアルバムをリリースする。そのニューアルバムから3ヶ月連続で先行配信が始まっており、4月にリリースされた第一弾「船を待つ」に続き、5月11日に第二弾として「虹の麓」がリリースされた。この曲は元と同じオフィスオーガスタ所属のシンガーソングライター、長澤知之が作詞作曲を手掛けた。長澤は、“虹の麓はアクションを促す歌です。マジメな歌です。”とコメント。<祈る>行為はとても意味あることだが、それだけではどうにも解決しない問題と出会う。そんな時に必要なのは行動力だと。“これは夢じゃなくって、現実世界の歌です。「あなたと一緒にそこへ向かうよ!」と信じて動く人たちへの歌なんです。”だと。サウンドは、田村玄一のスティールパンが印象的なレゲエのリズム。アレンジとギターには元ちとせの楽曲には欠かせない間宮工を迎え、ベースに柏原譲(Fishmans、Polaris)、ドラムにあらきゆうこ、ピアノに山本健太、スティールパンに田村玄一(Lonesome Strings、Little Tempo)という強力な布陣で制作された1曲。元の歌声には神聖なものを感じる。シマ唄独特のこぶしからくるものとは違う気もするが、彼女が生まれ育った鹿児島県奄美大島がいわゆるパワースポットの多い神高い島と言われるせいだろうか。その神聖な歌声と長澤の描く歌詞と織りなされるサウンドは、心地よく清らかささえ感じるものの、夢物語とは全く違う平和への祈りを込めたメッセージソングとなっており、昨今の世界情勢を思うと一層胸を打つ楽曲だと感じる。

またデビュー作以来数多くの元ちとせのアートワークを手掛けている信藤三雄によるジャケットデザインをモチーフにしたリリックビデオもあわせて公開されている。7月にリリースされるアルバムは、オリジナル・アルバムとしては2008年に発売になった『カッシーニ』以来、実に14年ぶり。その先行配信「虹の麓」を、是非第一弾と今後リリースされる第三弾併せ、チェックして欲しい。

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