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【レビュー】小田和正『so far so good』

April 13, 2022 21:00

小田和正

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「“皆に迷惑かけないで少しでも役に立って来いよ!”と送り出す気持ちです。」現在好評放送中のNHKドラマ10『正直不動産』の主題歌「so far so good」を書き下ろした小田和正。

小田は公式コメントで「コメディーというイメージがわかず、同じ場所を行ったり来たり」と苦労の様子を綴り、冒頭の言葉で締めくくっている。苦労した理由としてあげていたのは、原作漫画を読んだ時にコメディーのイメージが湧かなかったこと。物語は口八丁手八丁で売り上げNo.1を誇る不動産営業マン・永瀬財地が、とある祟りで嘘がつけなくなることから始まる。永瀬が武器としていた話術を根底から覆し、女性だろうが顧客だろうがとんでもない本音を喋ってしまう。確かに流れやその見せ方は笑える。しかし実はコメディーとトラジェディー(悲劇)は紙一重であり、ヒューマニズムを掘り下げると「そもそもコメディーとはなんぞや?」という哲学的な思想にまで行き着く。

小田ほどのソングライティング力を持つレジェントが、主題歌の書き下ろしでそこまで苦労したことに最初は驚いたが、そういう論点であれば十分納得出来るし、いかに小田がストイックに作品と向き合っているのかもわかる。いや、それよりこの曲を聴けばドラマに寄り添った楽曲であること、そして小田のソングライターとしての才能が枯渇には無縁だということが一聴瞭然だ。

今作はTBS系日曜劇場「ブラックペアン」主題歌「この道を」以来、約4年ぶりの書き下ろし曲。コーラスとして参加した松たか子と、和田唱(TRICERATOPS)のハーモニーは小田らしい穏やかで普遍的なメロディに清々しさを加えている。自身の声の魅力だけでなく、やはり小田ならではのコーラスワークの妙を感じずにはいられない。是非ドラマと共にチェックして欲しい。

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