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【ディスクレビュー】クボタカイ『ナイトイーター』

March 24, 2022 17:00

クボタカイ

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デジタルネイティブ世代が生み出す音楽はそれまでの世代と、何か違ったものを持っている。リズム、感性、発想……。突飛な挑戦を繰り返す泥臭さや、他者との違いに注力しすぎて自分を見失うこともない。ネットで繋がれた世界を自由に生きている。洋楽も邦楽もない。ボーダレスだ。無論、今の時代らしいツール表現を食傷気味に感じることも少なくはない。

ではクボタカイはどうだ?Lofi Hip Hopのリズムが心地良い「エックスフレンド」、まるでショートムービーのような物語性の「僕が死んでしまっても」、泣きたくなるほど甘く優しいメロディの「Sunset City」。Hip-Hop、R&B、Rock、Popsなど幅広い音楽性と、ユーモア、毒、メランコリックさを文学的なリリックに閉じ込め、曲ごとに違う色を見せる。しかしどれも間違いなくクボタカイだ。

また、Hey! Say! JUMPやadieu、Snow Manなどに楽曲提供をし、ソングライターとしても注目を集め、新曲「ナイトイーター」ではカバーイラストも自身で手掛けるというマルチな才能を発揮。そしてその「ナイトイーター」はかなりクールだ!都会的な疾走感とファンクネス、小気味良いフロウ。聴けば聴く程ハマっていく中毒性と心地よい緩急。細部まで作り込まれた……それでいて遊び心ふんだんのこのポップなダンスチューンに思わず筆者は唸ってしまった。声の魅力にも定評があるクボタだが、「ナイトイーター」ではクルクルと変わる声の表情も聴きどころのひとつであり、サウンドメイキングの面白さを感じられる楽曲といえよう。


■ クボタカイ オフィシャルサイト
https://www.kubotakai.com/

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