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甲斐バンド、最新ドキュメンタリーのオンエアに先駆け貴重な証言の内容を一部先行公開!

October 16, 2025 18:00

WOWOW

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甲斐バンド、最新ドキュメンタリーのオンエアに先駆け貴重な証言の内容を一部先行公開!

日本のロックシーンの歴史を紐解くとき、甲斐バンドの存在を抜きには語ることは出来ない。日本のロックが市民権を得ていなかった70年代から80年代半ば、彼らはそれまでの慣例や常識に抗いながら、無謀とも言える挑戦を続けた。箱根芦ノ湖畔や花園ラグビー場、新宿・都有5号地(現・都庁舎建設地)など前人未踏の地での大規模コンサート開催。世界的エンジニアとして知られるボブ・クリアマウンテンと極限まで“音”を突き詰めたアルバム制作。彼らが挑んだ戦いは、その後に続くミュージシャンたちに新たな道を切り開くことなった。先駆者であり今なお最前線に立つレジェンド。それが甲斐バンドだ。

昨年11月にデビュー50周年を迎えた彼らは、1年間かけてアニバーサリープロジェクトを展開した。ライブハウスサーキットや全国ホールツアーを通じて精力的に各地を訪れる一方、6月にはオリジナルニューアルバム『ノワール・ミッドナイト』を発表。セルフカバー曲や11年ぶりの新曲、2004年に他界したリードギタリスト大森信和の遺作曲「RINGS」が収録された最新作は、フィルム・ノワールのように映像が見えてくる物語性と相まって大きな話題となった。そして、50周年の集大成となるのは、11月8日に開催される日本武道館公演「甲斐バンド 50TH ANNIVERSARY 100万$ナイト」だ。チケットは完売し、急遽注釈付き指定席が発売されるなど、彼らを取り巻く“熱”は高まるばかりだ。

 実に16年ぶりの武道館公演が迫る中、『甲斐バンド論』と銘打たれたドキュメンタリー番組が完成した。この番組は、アニバーサリーツアーに密着し各地でのステージを映像として記録すると同時に、バンドメンバー、関係者、有識者の貴重な証言を丁寧に紡いでいく。メンバーの甲斐よしひろ、松藤英男、田中一郎が語るバンドの歴史には、50年分の確かな手応えが込められている。サポートメンバーの前野知常、岡沢茂、稲葉政裕、吉田佳史(TRICERATOPS)が語るエピソードでは、今なお甲斐バンドが音楽的進化を続けていることが明かされる。また、これまで彼らと関わってきた関係者、有識者の証言には、懐かしさの中にも新しい発見が散りばめられている。

都市の野性/乾いた暴力性/物語性/映画的といった、彼らの音楽性やその存在について語られる言葉たち。伝説として語り継がれる花園ラグビー場でのコンサート中断、新宿・都有5号地でのTHE BIG GIG終演後のエピソード、そして年末恒例の日本武道館。今は亡きオリジナルメンバー大森信和への思いや、田中一郎がメンバーとして正式に加入するまでの経緯。また、ツアーで披露した現在進行形のバンドアレンジの妙についても語られている。全国ツアーの最新映像や伝説のライブフッテージをコラージュしながら甲斐バンドの過去と現在を照らし出すこの番組は、何度も繰り返し見たくなる中毒性がある。そこに在るのは、観る者を引き付けてやまない甲斐バンドの求心力であり磁力だ。

11月8日の日本武道館公演へ向けた大いなる予告編とも言えるこの番組だが、もうひとつ追加して伝えておきたいことがある。甲斐よしひろは50周年の集大成の先に、“次の甲斐バンド像”をすでに思い描いている。最新アルバム表題曲「ノワール・ミッドナイト」は、そのプロローグでもある。番組では、そのヒントとなる彼の言葉も紹介する。つまり、この番組には甲斐バンドの過去と現在だけでなく、未来も示されている。

番組ではコンサート会場を訪れたファンたちの深い思い入れも紹介しているが、50年間の歴史を通じて、聴く者それぞれの「甲斐バンド論」が存在する。かつて音楽雑誌の誌面では彼らについての議論が誌面を賑やかせていたが、この番組の放送・配信後にはまた新たな「甲斐バンド論」がSNSにあふれることだろう。聴く者をこれほどまでに熱くさせるロックバンドは彼ら以前には日本には存在しなかった。この番組は、彼らを追いかけ続けて来た世代はもちろん新しいジェネレーションにも是非ご覧いただきたい「日本のロック音楽史録」の一篇である。


■ 証言者たち

<甲斐バンド>
甲斐よしひろ
松藤英男
田中一郎

<サポートメンバー>
稲葉政裕(Guitar)
岡沢茂(Bass)
前野知常(Keybords)
吉田佳史(Drums)

<各界の識者>※50音順・敬称略
秋本治(漫画家)
大塚いちお(イラストレーター)
海津亮(ロッキング・オン・ジャパン社長)
亀和田武(作家)
中西健夫(ディスクガレージ代表)
萩尾望都(漫画家)
萩原健太(音楽評論家)
船越英一郎(俳優)

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