玉置浩二 with 故郷楽団 10周年 Concert Tour 2025 〜blue eggplant field 2025.11.12 東京ガーデンシアター ライブレポート!
November 19, 2025 16:30
玉置浩二
客電が落ち、ステージの中央に置かれたギターだけがピンスポットを浴びている。総勢15人のミュージシャンが登場すると、一斉に拍手が起こる。そして、ソプラノサックスの音色が静かに鳴ると、その音色を追いかけるようにストリングスが「あこがれ」の旋律を奏でていく……。
今年の8月から始まった玉置浩二のコンサートツアーの千秋楽が、穏やかな雰囲気でスタートした。故郷楽団という名義のバンドを従えてのツアーを始めてから10周年。今回は途中、新型コロナウイルスの影響で年をまたいで延期になった数本があるとはいえ、形の上ではファイナルである。故郷楽団はピアニストであり、サウンドプロデューサーのトオミヨウを中心に、毎回メンバーチェンジを重ねながら玉置浩二の音楽を演出してきた。安全地帯のメンバーが参加することもあったが、今回は若手から中堅のフレッシュなミュージシャンで固めている。しかも、管楽器が2名、ストリングスが8名を加えた大所帯というのも非常に贅沢だ。
インストで披露された「あこがれ」が終わると、主役である玉置浩二が登場し、ピンスポットを浴びていたギターを手にして歌い始める。曲はアルバム『カリント工場の煙突の上に』に収められていた「青い“なす”畑」だ。今回のツアーのサブタイトルが“blue eggplant field”ということもあり、この曲が持つ温かみやノスタルジックな世界観を軸にコンサートが展開されていくことを予感させる。続いて、テンポアップしたバンドに乗せて歌うのはポジティヴなメッセージを込めた「からっぽの心で」。黒いロングコートとブルーのストール姿、そして真っ白な髪の玉置の笑顔が、ステージの両脇にあるスクリーンに映し出される。
ここから少し雰囲気が変わる。水の音とパーカッションの土着的なリズムが大きなうねりとなって始まったのは「太陽さん」。バンドサウンドはダイナミックに躍動し、ストリングスも激しく頭を振りながら演奏。アグレッシヴなヴォーカルに呼応する。終盤では玉置自身のエレキギターがブルージーに切り込んでくるという展開を見せてくれた。さらには8ビートのリズムに乗って「古今東西」につながり、いつしか超満員の観客席は総立ちになっている。さらには、異色作「最高でしょ?」のジャジーなイントロが始まり、ムーディーな空間へと一変。カッティングギターが効いたファンキーなビートへとリズムチェンジするユニークな楽曲に、大きな声援が送られた。
第1部のラストは、ストリングスの切ない響きとともに歌い出した屈指の名バラード「コール」。声に表情を付けながら熱唱する姿が神々しい。ドラマティックなバンドアンサンブルも見事で、玉置浩二の真骨頂を見せつけてくれた。
休憩後の第2部は、再び故郷楽団の演奏によるインスト版「青い“なす”畑」からスタート。美しいオーケストレーションに身を委ねていると、ピアノのイントロから始まったのが「嘲笑」。玉置は黒のロングコートに、今度は白いシャツ姿で登場。ビートたけしに書き下ろした人気曲のセルフカヴァーは、ハートウォームな声質にぴったり合う。続いて、アコースティックギターを抱えて歌い始めたのは「しあわせのランプ」。そして、ハンドマイクで「サーチライト」を披露する。切なくも温かい名曲の連発に、思わず胸を締め付けられてしまった。
ここから再びアッパーな楽曲へシフトチェンジ。硬質なファンクのリズムが弾き出され、安全地帯で最もエッジーな一曲「じれったい」が始まる。アドリブで「止まらないファイナルの夜を~」と観客を煽ることで歓声が大きくなる。さらにギターの秋山浩徳がヘヴィメタルかというくらい激しいギターソロを弾いた後、すかさず安全地帯の「好きさ」が始まる。緩急を自在に使い分けて歌い、スリリングな雰囲気を醸し出していたのが印象的だ。
一気に盛り上げた後、ここで故郷楽団のメンバーがひとりひとり紹介される。先ほどのギターソロもそうだが、メンバーそれぞれの見せ場が作られているのもこのツアーの特徴だろう。リズムセクションからストリングスへと、15人ひとりひとり名前を呼び、最後にバンドマスターであるトオミヨウとがっちりと握手を交わした様子を見て、玉置とメンバーとの厚い信頼を感じられた。
ここから後半のクライマックスへと突入する。まずは観客の手拍子に乗って歌い出した「JUNK LAND」。バンドがピリッと引き締まるのがわかる。途中で客席とのコール&レスポンスにより、東京ガーデンシアターの広大な会場が一体となる。テンションが上がったところで始まったのが、大ヒット曲「田園」だ。玉置の前のめりのヴォーカルに引っ張られるように、バンドの疾走感と躍動感が加速していく。気が付けばストリングスのメンバーも全員立ち上がって演奏しており、激しく盛り上がりを見せた。
興奮が醒めないうちに始まったのが、名曲「メロディー」。ピアノで静かに始まり、ストリングスやバンドが少しずつ演奏を重ね、切なく美しい歌声で会場を圧倒し、本編をしっとりと締めくくった。メンバー全員をステージ前に整列させて、何度もお辞儀をした後、ひとりステージに残った玉置は、“ウォーオオー”という「MR. LONELY」のフレーズを何度か熱唱し、静かにステージを後にした。
鳴りやまない拍手の後、再び故郷楽団が全員再登場。そのまま大きな拍手の中で玉置が登場して披露したアンコールは最新曲「ファンファーレ」。TBS系のドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』の主題歌として話題沸騰中のこの曲はファンにはすっかりおなじみのようで、大歓声とともに手拍子が始まる。アコースティックギターをかき鳴らしながら、まるで古くから歌っているかのような軽快さと勢いを持って一気に歌い切った。そして、歌い終わるとさっと風のように去っていった姿が印象に残った。
安全地帯としてのデビュー40年以上もの間で、数々のヒットや実績を誇っている玉置浩二だが、今回のツアーを観る限りでは、また大きなピークに辿り着いたように感じられた。ヴォーカリスト、パフォーマーとして他の追随を許さない存在であることは間違いなく、その上でまだまだ突っ走っているように感じられる。まさに「ファンファーレ」のように、疾走する玉置浩二の姿を確認できるツアーファイナルだった。この日の模様は来年1月にWOWOWで放送される予定だ。また、3月からは「billboard classics 玉置浩二 LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2026」も決定。2026年も走り続ける玉置浩二の姿が見られるだろう。
文/栗本斉
■ WOWOWにて2026年1月放送・配信予定
玉置浩二 with 故郷楽団 10周年 Concert Tour 2025 ~blue eggplant field
https://www.wowow.co.jp/music/tamakikoji/
■ 玉置浩二&安全地帯 オフィシャルサイト
https://saltmoderate.com/