Augusta Camp 2024 終了!数多のコラボレーションで、デビュー15周年のさかいゆう、BARBEE BOYSから40周年の杏子を祝福!
September 24, 2024 15:00
オフィスオーガスタ
9月21日土曜日、音楽事務所オフィスオーガスタの所属アーティストが集結する恒例のイベント「Augusta Camp」が開催された。オーガスタキャンプでは、個々のアーティストの単独パフォーマンスはもとより、ここでしか見ることが出来ないコラボを楽しみにしているオーディエンスも多い。そんな中、敢えて掲げられた今年のテーマ「コラボレーション」に、開催前から例年以上のコラボセッションへの期待が高まっていた。
今年の会場は、2019年公演以来5年ぶりとなる富士急ハイランド・コニファーフォレスト。遊園地の園内放送やアトラクションボイスを出演アーティストがジャックしたり、地元・山梨の飲食店とのコラボメニューがフェスフードとして提供されたりと、音楽以外でも今年のテーマ「コラボレーション」が実現。フェスならではのイベントグッズ販売やフォトスポットの設置、ファミリーで来場するファンにも嬉しい充実したキッズスペースなど、1つの事務所で開催しているイベントだからこそのアットホームな空間で、来場したファンを楽しませていた。
13時15分、オープニングアクトのルイが登場。「1年前はお客さんとして客席からオーガスタキャンプのステージを見ていたので、今ここに立てていることに驚き感謝している。そしてここがゴールではなく多くの人に自分の音楽を届けるスタートの日にしたい」と感慨深く語り、「運命の蜜」など全4曲を披露。かつてスキマスイッチや秦 基博もデビュー前につとめた、オーガスタ新人の登竜門とも言えるオーガスタキャンプのオープニングアクトを堂々たるパフォーマンスでつとめあげた。
去り行く夏を惜しむかのような眩い晴天の中、開演時刻の14時を迎え、出演アーティストが次々とステージに登場。さかいゆうの「Are you ready?」という呼びかけに、会場からは大きな歓声があがる。さかいがオフィスオーガスタ所属アーティストによるユニット・福耳に2012年に書き下ろした「LOVE & LIVE LETTER」で、今年のオーガスタキャンプ開幕を宣言した。単独パフォーマンスの一番手はCOIL・岡本定義。福耳メンバーによる「ラララ」のコーラスがピースフルな「Good Day Afternoon」など3曲をパフォーマンス。女性アーティストに提供した楽曲という共通点をもつ3曲を、全てゲストを呼び込んで披露したことに、今年のオーガスタキャンプのテーマ「コラボレーション」への岡本なりのアプローチがうかがえた。
元ちとせは、ロングワンピースを身にまとい、髪に色鮮やかなヘアエクステを編み込んだいで立ちで登場。「エントリーNo.2、元ちとせです!今年もオーガスタキャンプで皆さんに会えて嬉しい」と声を弾ませ、レゲエ調のギターカッティングとスティールパンの音色が印象的な「祈り」、そしてオリジナルアレンジをスキマスイッチ・常田真太郎が手がけた「語り継ぐこと」と、曲調は異なるがいずれも平和への願いを歌った2曲を披露。MCでも「平和であることのありがたさを感じながら生きていきたい」と語り、強い思いが込められた歌唱を、会場全体がじっくり聴き入っていた姿が印象的だった。
3番手は秦 基博。「座って演奏するので、皆さんも座ってください。弾き語りでのんびり聞いていただけたら」と、長丁場の一日を過ごす観客を気遣い、「泣き笑いのエピソード」「恋の奴隷」をしっとりと聴かせた。日差しが少し弱まり心地よい秋風が吹く中、アコースティックギターと歌というシンプルなサウンドがチルな空気を醸し出す。「キミ、メグル、ボク」のイントロが鳴らされた瞬間、次々に観客が立ち上がり、秦もハンドクラップを煽って会場を盛り上げる。秦パート最後の曲は、デビュー15周年のさかいを呼び込んで奏でた「ひまわりの約束」。さかいのシルキーヴォイスと秦の繊細で力強い声が重なり合って生まれた美しいハーモニーに、客席から大きな拍手が送られた。
続いて登場した竹原ピストルも弾き語りでのパフォーマンス。「オーガスタキャンプにお集まりの皆さんがいつまでも元気でいられますようにという気持ちを込めて歌います」と、スタンダードナンバーに大切な人に向けて書いたポエムを載せた「Amazing Grace」を一言一言噛みしめるように歌い、続けて「Forever Young」を熱唱。「あの頃の君にあって 今の君にないものなんてないさ」という歌詞に、デビュー周年を迎えた杏子とさかいへの、竹原からの最上のリスペクトと祝福が込められていた。
竹原が「(自身の単独パフォーマンスは終わりだが)1曲ご一緒させていただく都合上、このままステージに残ります」と長澤知之とNice Bandを呼び込む。長澤が「尊敬する竹原ピストル先輩と1曲コラボさせてください」と言うと、竹原も即座に「俺も尊敬してる」と応じる。そんな2人がコラボする楽曲は、長澤のアルバム『スカイブルー、エモーション』に収録されている「光芒」。ロックサウンドに載せて2人の初期衝動を描いたリリックを、ぶつけあうように畳みかけるライブパフォーマンスはまさに圧巻だった。長澤が次のコラボ相手に選んだのは、公演前日に誕生日を迎えたさかい。主旋律とハモリを入れ替えながら、声質の異なる2人が生み出す「蜘蛛の糸」の余韻の中、第一部が終了した。
短いインターバルの後、スキマスイッチが登場。「飲みに来ないか」「Lovin‘ Song」の単独パフォーマンスの後、1人目のコラボ相手・さかいを呼び込んだ。「立ってハンドマイクで歌うのは苦手だが、この曲のイントロは常田に弾いてほしいから今回ハンドマイクに挑戦することにした」というさかいの微笑ましいエピソードとともに「ボクノート」を披露した。バスドラムの四つ打ちに合わせて呼び込まれた次のコラボ相手は竹原。キャリア初だというコールアンドレスポンスの手ごたえに「こんな幸せなことが続いたらバチがあたる!」と満面の笑みを浮かべる。お互いのことを「たけちゃん」「たくちゃん」と呼び合う大橋と竹原の同世代・同期コンビによる「全力少年」に、オーディエンスも全力のハンドクラップで声援を送った。竹原を見送った大橋は「楽しい!所属事務所とのアーティストだけでこんなに楽しめるのは本当に幸せ!」と、オーガスタキャンプの醍醐味を噛みしめ、さらに、「可愛い後輩とコラボします」と松室政哉とともに「Ah Yeah!!」をパフォーマンス。富士急ハイランドで10年前に撮影された同曲のMusic Videoがステージ上の大型ビジョンに映し出されると、松室と富士急ハイランド、さらに10年前の自分自身とのトリプルコラボに会場からは大きな歓声が沸き起こった。
続く松室パートの1曲目にもスキマスイッチが参加。「盛り上がれますか?オーガスタキャンプ、踊れますか?」という松室の呼びかけで披露された「LOVEなシーン」が、ファンキーなサウンドとフェイクの掛け合いで客席をダンスフロアに変えたかと思いきや、「いいラブソングが出来たので皆さんにオーガスタキャンプで聴いてほしい」と、ガラッと雰囲気を変え、最新アルバム『LABORATORY』に収録されたミディアムナンバー「フレンチブルドッグ」を丁寧に歌い上げた。松室の音楽性の振り幅の広さを見せつけた、オーガスタキャンプならではのステージだったといえるだろう。
続いての山崎まさよしパートは「今年はコラボということで…」と、杏子・元ちとせを呼び込んでの「Plastic Soul」からスタート。ハウスバンド「Augusta Camp 2024 Nice Band」のメンバーによるソロ回しが会場の熱をあげていく。2曲目は山崎が主演をつとめたドラマ『三ツ矢先生の計画的な餌付け。』主題歌として書き下ろした「フリト」。自身が演じた三ツ矢先生の愛犬・フリトの名前をタイトルに付けたこの曲は、カントリー調のサウンドに「君が好きやん 理由なんてないやん」と、三ツ矢先生がつぶやいているような関西弁交じりの歌詞がユーモラスで温かい。長澤とは跳ねたリズムが軽快な「春も嵐も」を、竹原と「(竹原が)上京した頃にデモを聴かせてもらった曲」であるという「未完成」を、さかいとはコロナ禍に無観客配信ライブとして行われた2020年のオーガスタキャンプでもパフォーマンスした「コイン」を再演。山崎パート5曲中「フリト」を除く4曲がコラボレーションでの披露となった。
すっかり日が落ちた中、ステージビジョンに「40th Anniversary Special Live」の文字が浮かび上がる。黒いレースの衣装を翻して颯爽と登場した杏子が「今日9月21日はBARBEE BOYSデビュー日です!なのでBARBEE BOYSやっちゃいます!!」と、盟友・いまみちともたかを呼び込んだ。本日のハイライトの1つである、杏子のBARBEE BOYSデビューから40周年を祝うステージの始まりだ。1曲目「女ぎつね on the Run」では松室がツインボーカルの相手をつとめる。続く「なんだったんだ? 7DAYS」には山崎が登場。杏子は色鮮やかな黄色いフリンジで飾ったタンバリンを操りながら、ステージを縦横無尽に動き回る。いまみち氏とのMCコーナーでは、オーガスタの中では「長女」として、仕切ったりまとめたりする立ち位置であることが多い杏子の、メンバー同士だからこその対等で少しくだけた空気感と口調が新鮮に感じられた。
いまみち氏と杏子のツインVo.による「あり~がとう」に続く「目を閉じておいでよ」には大橋が参加し、ハイレンジの男声パートを杏子と掛け合いながら歌い上げた。「負けるもんか」のギターリフが始まると同時に、杏子は上着とレースのオーバースカートを脱ぎ捨て、ノースリーブとタイトミニスカートといういで立ちでモニターに足をかけ、挑発するように会場を見渡しながら歌う。オーガスタキャンプでしか見ることが出来ないスペシャルステージで、唯一無二のロッククイーンとしての圧倒的な存在感を示した。
ここまでコラボでのゲスト参加が続いていたさかいが、満を持してメインアクトとして登場。「諸先輩方の背中を追いかけていると15周年なんてまだまだですが…」と謙遜しながらも、日ごろからのファンの応援と、このオーガスタキャンプで15周年スペシャルステージを披露できることへの感謝を述べた。NHK朝の連続テレビ小説「ブギウギ」の主題歌「ハッピー☆ブギ」の、女性ヴォーカルパートに杏子・元を迎えたオーガスタキャンプスペシャルバージョンや、デビュー曲「ストーリー」など、15年のキャリアを感じさせる幅広い選曲でオーディエンスを楽しませた。単独パートの最後の曲は、自身が音楽を始めるきっかけとなった、天国の親友に向けて書いた「君と僕の挽歌」。曲中何度も空を指さしながら、一つ一つのフレーズを丁寧に紡いでいく。自身の音楽の原点に立ち返り、15周年という節目を経てこれからも歌い続けていくという決意表明ともいえるライブパフォーマンスだった。
さかいが「全員ゲストを呼びます!福耳!」と本日の出演者を再びステージに呼び込む。バンドメンバーとオープニングアクトをつとめたルイを改めて紹介し、福耳のロックナンバー「DANCE BABY DANCE」「ブライト」をたたみかけて本編が終了した。
アンコールの拍手に迎えられ、全出演者がステージに登場。さかいの代表曲の1つである「薔薇とローズ」を、メインパートをワンフレーズずつ歌いつなぎ、ギターソロパートはいまみち氏を大フィーチャーする「オーガスタキャンプ2024」バージョンで届けた。ゴスペル調の美しいコーラスワークで、所属アーティストの特徴である個性豊かな「声」の魅力を存分に感じられる、オーガスタキャンプならではのコラボセッションとなった。次の曲を予感させるオルガンの音が鳴り響く中、松室が「ちょっと待ってください!オーキャン終わっちゃう!(BARBEE BOYS40周年とさかい15周年を)改めてお祝いしませんか?」とカットイン。松室の音頭で杏子・いまみち・さかいに、花束と会場中からの「おめでとう!」コールが贈られた。最後は、第一回のオーガスタキャンプから毎年歌い継がれている「星のかけらを探しに行こう Again」。コールアンドレスポンスでオーディエンスともコラボし、オーガスタキャンプでは5年ぶりとなる打ち上げ花火に彩られ、公演はフィナーレを迎えた。
山崎まさよしの単独野外コンサートとして始まり、四半世紀以上にわたって同じ事務所に所属するアーティストで構成される、唯一無二のフェス・オーガスタキャンプ。来年は山崎のデビュー30周年イヤーということで、例年以上のメモリアルな公演となることを期待したい。
「Augusta Camp 2024」
2024年9月21日(土)開場12:00 開演14:00
会場:富士急ハイランド・コニファーフォレスト
出演者:杏子、山崎まさよし、岡本定義(COIL)、元ちとせ、スキマスイッチ、 長澤知之、秦 基博、さかいゆう、竹原ピストル、松室政哉
スペシャルゲスト:いまみちともたか
オープニングアクト:ルイ
Augusta Camp 2024 Nice Band:Guitar・外園一馬、Bass・種子田 健、Keyboards・浦 清英、 Percussion・松本智也、Drums・村石雅行・坂本暁良