The Biscats、念願の渋谷公会堂ワンマンライブ大成功!「夢を叶えることができて嬉しい」
August 13, 2024 13:00
The Biscats
BLACK CATSやMAGICのメンバーとして日本ロカビリー界を牽引してきた久米浩司の娘であり、2020年代に新しいロカビリームーヴメントを起こすべく奔走中のMisaki率いるハイブリッド・ロカビリーバンド、The Biscats。目標として掲げ続けてきた渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)でのワンマンライブ【The Biscats SPECIAL LIVE 「ロカビリーナイト」】を2024年8月10日(土)に実現した。
<「今日は最高の、忘れられない1日にしましょう!」>
MAGICの渋谷公会堂ライブから30年。3人(Misaki(vo)、Kenji(g)、Suke(b))の出逢いから8年。青野美沙稀 and The Jackpotの活動開始から6年。The Biscatsとしての活動開始から5年。そして、渋谷公会堂でのワンマンライブを目標に掲げてから2年──ロカビリーの可能性を信じて歩み続けた3人がようやく辿り着いた夢の会場には、北海道から沖縄まで全国各地から駆け付けたファンが集結していた。今の時代にロカビリーバンドが渋公でのワンマンライブを実現し、それを大成功に収めるなどどれだけの人が想像できただろうか。が、The Biscatsは実際にそれをやってのけた。そんな革命劇の模様をここに記録する。
中央にジュースボックスが置かれたステージは、ロカビリーの世界観をスーパーディフォルメしたかのようなセットとなっており、開演前から会場は興奮したオーディエンスによる「ビスキャッツ!」コールで包まれていた。そこにサポートメンバーのドラムス・ショウとピアノ・カノリューと共に現れたThe Biscatsは、冒頭の「ハートのエース」「ノッてけ!Sunday」から超攻撃的かつポップでグルーヴィンな歌声と演奏をエモーショナルに響かせていく。「ようこそ! The Biscatsの! スペシャルライブ! ロカビリーナイト! 皆さん、こんばんは! The Biscatsです! 2年前に私たちがこの渋谷公会堂でライブをするという目標を発表して、長いようで短いようであっという間に今日という日を迎えたんですけど……「はじまったぜ!」って感じだね。今日は最高の、忘れられない1日にしましょう!」
その後も多種多様なオリジナルナンバーからロカビリーアレンジカバーまで織り交ぜたセットリスト(※詳細は文末に掲載)をゴキゲンに駆け抜けていくのだが、盟友・Good Spiritsを中心とした過去最大人数のロカビリーダンサーチームを招き入れたり、ファッションショーさながらにクール&キュートな衣装に次々と着替えたり、1Fから3Fまでオーディエンスによるビッグウェーブを生み出したり、何もかもがこれまでのThe Biscatsのライブを圧倒的に上回る豪華さと規模感で、それにメンバーもファンも歓喜しながらお祭り騒ぎしている光景が実にホープフルだった。ロカビリーはこんなにも楽しくて面白いということを体現していく音楽空間。それを渋公レベルのキャパで創造できるレベルまで成長してきたThe Biscatsを称賛するかのように、幾度となく客席からは拍手喝采が巻き起こっていた。
ちなみに、この3人、最高のビジュアルで夢の舞台に立つべくダイエットもしていたそうだ。1人3キロ以上、計10キロの減量に成功したことを報告しつつ「最高のビジュアルでこのステージに立てた!」と喜ぶMisaki。心技体すべてベストコンディションに仕上げてきたことからも、渋公がThe Biscatsにとってどれだけスペシャルな場所なのかは伝わってきたが、本編クライマックスで3人それぞれにこの日へ向けての想いやストーリーを熱く語ってくれていたので、ここに記載したい。
<Kenji、Suke、Misakiからのメッセージ(全文)>
Kenji「30年前に日本のロカビリーバンド・MAGICがこのステージに立ち、そして、他にもたくさんの有名なアーティストの皆さんやバンドの方々がこのステージに立って、そんな歴史あるこの場所で僕たちがライブをできるというのは本当に嬉しいことですし、夢のような時間を過ごしています。皆さんのおかげです、ありがとうございます。
ここでライブをするにあたって意気込みと不安を半分ずつ抱きつつ、今日に向けて頑張ってきたんですけれども、僕はThe Biscatsの為に何が出来るんだろうと、この渋公が決まってからずっと考えるようになりまして。何しろ僕個人としては何の力もない、ただギターが好きな少年がそのまま大人になっただけなので、結局僕に出来るのはコツコツやっていくしかないなというところに行きついて、そこから僕が思いつく限りのことはやってきたんですけど、今日来て頂いた皆さんに支えて頂き、そして、メンバー、スタッフ、音楽仲間の皆さんの支えがあって今日このステージに立っていられます。本当にありがとうございます! 残りの時間も一緒に楽しみましょー!」
Suke「うわー、緊張する。今がいちばん緊張しているかもしれない。僕がウッドベースを始めてもう10年ぐらい経つんですけど、やり始めたときは誰も仲間なんていなくて、ひとりでひたすらウッドベースを「コイツで日本一になるんや!」と思って弾いていました。そうやっているうちに仲間と出逢えて、日本一のウッドベースじゃなくて「日本一のロカビリーバンドになるんだ!」って決めて今まで走ってきたわけですけれども。ま、何を持って日本一なのかは難しいんですけど、今晩だけはウチが日本一のロカビリーバンドだと思うんですよ! どうでしょ!?(大歓声)
これからね、世界に向けていろいろ予定も組んで決まっていっているので、これからも応援よろしくお願いします!」
Misaki「私にとって渋谷はすごく思い入れのある大切な場所なので、ちょっと自分のことをお話しさせて下さい。私は10代の頃に渋谷のギャルモデルに憧れてひとりで渋谷に来ました。そして、ギャルモデルになることができたんですけれども、そこから毎日渋谷に通うようになって。ひとつひとつ目標を立ててやっていくというのが自分のスタイルなんですけど、まず最初に「109の看板になりたい」という夢を持ったんですね。で、そこから活動していって、5年ぐらい経ってからかな。その夢を叶えることが出来ました。
そして、ギャル雑誌を卒業するタイミングで、元々「アーティストになりたい」という夢は小さい頃から抱いていたので、歌手活動に専念していくことになりました。でも、ギャルモデルと音楽って全く別なので、またイチから頑張ることになって、まずはとにかくたくさんひとりでライブをしました。渋谷で100本ノックとかやったりしたんですけど(笑)、そのときは楽屋もあったら良いほうみたいな感じで、あっても楽屋の床で何時間も待機していて、いざ出番が来てステージに立ったらお客さんが3人しかいない……みたいなライブをずっとやっていました。
そのときにこの渋谷公会堂の近くをよく通っていたんですけど、たくさんの方が並んでいる光景を見て「こんなところでライブしているアーティストさんって本当に凄いんだろうな」ってどこか他人事のように私はずっと思っていて。でも「いつか絶対這い上がってやるぞ」って……(涙を堪えながら)心に決めて! とにかくガムシャラにやってきました。それでも、頑張っても頑張っても結果がついてこなくて、自分の存在価値とか分からなくなって……。自分はたくさんの人に音楽を届けたいのにそれが出来ていないなって、すごくツラい時期がありました。
でも、そんなとき、私にひとつの光が見えました。それがロカビリーでした! 私は父親がロカビリーバンドをやっていたので、ロカビリーをずっと聴いて育ってきたんですね。なので、そのタイミングで「自分のルーツであるロカビリーだったら、たくさんの人に幸せだったり、楽しい気持ちとか届けられるのかもしれないって。今思えば生まれたときからロカビリー人生だったのかもしれないけど、そこで私の新たなロカビリー人生が始まりました。そして、今、素敵な仲間やスタッフさん、たくさんの応援して下さる皆さんのおかげで、渋谷のふたつ目の夢だった渋谷公会堂でライブをすることが出来ています! 本当にありがとうございます!
みんな、いろんな方法で夢を叶えていくと思うんですけど、でも夢を叶えている人に共通しているのって、絶対に諦めずにやり続けていること。お父さんにも「とにかく諦めずにやり続けていれば、絶対にチャンスは巡ってくるから、そのチャンスをいつでも掴めるように常に準備をしておけばいい」と言われたことがあって。私はその言葉を胸に、これからもこの声が出る限り歌い続けたいと思います! なので、皆さんにお願いがあるんですけど、The Biscatsのこと、ずっと好きでい続けて下さい! そして、曲をいっぱい聴き続けて下さい!
もう私は渋谷で叶えたい夢はないです。なので、これから渋谷を飛び出して、どんどんThe Biscatsとみんなで夢を叶えていきたいと思うので、ぜひ皆さんついて来て下さい! よろしくお願いします!」
<5大ニュース発表! 久米浩司とMAGIC楽曲で親子共演も>
そんな3人の人生の乗ったメッセージを受け、感情の溢れかえったオーディエンスは「Teddy boy」「take away」「Hot and Cool」と全身全霊のキラーチューンの畳み掛けに「オイ! オイ!」と叫びながら大はしゃぎ。日本のロカビリー史に刻まれるであろうゴキゲンな愛おしい光景がそこに生まれていた。こうして幕を閉じたライブ本編だったが、誰もが「ビスキャッツ! ビスキャッツ!」と叫び続ける中、スクリーンに5つのビッグニュースが映し出される。
01.10月 韓国で開催の【ASIAN ROCKABILLY FESTIVAL】に出演!
02.今秋 楽曲、CMタイアップ決定!
03.10/30 新曲リリース・渋公のLIVE Blu-rayリリース
04.11/3~2025/2/1 全国ツアー&2/8ロカフェス開催
05.12/21~2025/2/9 初の地方開催含むFCイベント開催
渋谷公会堂のステージに立つ目標は達成したが、The Biscatsの「新しいロカビリームーヴメントを起こす」為の怒涛のストーリーは今後も続いていく。その宣言とも受け取れる告知のあと再登場したメンバーたちは「皆さん、ニュース見ました? ヤバくないですか? 激アツ案件ですよね。渋公はひとつの目標ではありましたが、あくまでも通過点として、これからのThe Biscatsの未来に期待してほしいなと思っています!」とコメント。そして「2年前からみんなとずっと約束していた“あの場所が”今“この場所”になって、夢を叶えることができて嬉しいので、渋公をやると決まったときに皆さんへお手紙を書くような感じで歌詞を書かせて頂いた、あの曲を届けたいと思います」と、約束の“あの場所”に、みんなを連れて行きたかった未来に辿り着いた今「あなたへ」を愛情たっぷりに歌い届けてみせる。
さらには「スペシャルゲストを呼びたいと思います! ここで30年前にライブをした人がいますね。久米浩司!」と、かつてMAGICのメンバーとして渋公で伝説のライブを開催した偉大なる父をステージに呼び込む。そして「The Biscats、やっとスタートですね」と嬉しそうに告げてドラムセットの前に久米浩司が座ると、Misakiも「まさか渋公でお父さんと一緒にやれる日が来るなんてね!」と感慨深げ。そして、30年越しにロカビリーの歴史を繋いだ親子による共演アクトとして、MAGIC最大のヒットナンバー「天使のジェラシー」が披露される。30年前にMAGICが渋公でライブをしていなければ、Misakiがロカビリーの道を進むと決断していなければ、KenjiとSukeがThe Biscatsのメンバーになっていなければ、存在していなかったストーリーの先に待っていたお見事すぎる伏線回収の数々。なんてドラマティックなロカビリーバンドなのだろう。
<夢の舞台、最後の1曲は「3人が初めて出逢ったときの曲」>
その後「Rockin'Through The Night」の爆発的な盛り上がりで大団円を迎えたように思えた【ロカビリーナイト】だったが、鳴り止まない「ビスキャッツ!」コールを受け、最後にもう一度だけステージに現れたThe Biscats。「本当にありがとう。私たちはみんなのことがめっちゃ好き。最後は私たち3人が初めて出逢ったときの曲で終わりたいと思います。私のロカビリーのはじまりでもある曲なので、ぜひ一緒に歌って下さい!」と、布袋寅泰が生んだ不朽のロカビリーナンバー「バンビーナ」で大スパーク。圧倒的な歓喜を歌声と演奏に乗せる3人の姿は、まるでロカビリーに初めて出逢ってはしゃいでいる少年少女のようだった。
そんなロカビリーが大好きでたまらない、The Biscatsのロカビリー人生はまだまだ続いていく。前述の5大ニュース含め、今後の3人のストーリーにもぜひ注目してほしい。
取材&テキスト:平賀哲雄
カメラマン:山田久美子
■ ライブ【The Biscats SPECIAL LIVE 「ロカビリーナイト」】
2024年8月10日(土)渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)セットリスト
01.ハートのエース
02.ノッてけ!Sunday
MC
03.Goody Goody Girl
04.世界でいちばん熱い夏
05.MyHometown
06.Sweet Jukebox
07.Do You Wanna Dance?
08.Flyin'Saucer Rock and Roll
09.Train Kept A Rollin
10.恋はあせらず
11.ジュリアに傷心
MC
12.ハジけちゃって ! Summertime
13.ラストサマーデイ
14.sweet drive
MC
15.ジレンマ
16.純愛クレイジー
17.Oneway Generation
MC
18.Teddy boy
19.take away
20.Hot and Cool
En1.あなたへ
En2.天使のジェラシー
En3.Rockin' Through The Night
WEn1.バンビーナ
■ The Biscats オフィシャルHP
https://thebiscats.com/