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flumpool、約3年ぶりの全国ツアー開幕!代表曲満載のベストライブにファン歓喜!

March 26, 2024 12:00

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flumpool、約3年ぶりの全国ツアー開幕!代表曲満載のベストライブにファン歓喜!

flumpoolにとって約3年ぶりとなる全国ツアー<15th Anniversary tour 2024 「This is flumpool !!!! 〜15の夜に逢いましょう〜>が、3月23日(土)、埼玉県・狭山市市民会館で開幕した。2023年10月にデビュー15周年を迎え、約6年半ぶり4度目の日本武道館ワンマンとして開催された<flumpool 15th Anniversary Special Thanks Giving「 SINGALONG 2.0 」at NIPPON BUDOKAN>。全国からファンが集まった記念公演を経て、今度はflumpoolが全国各地のファンに逢いに行く、全15公演のツアーである。コロナ禍の規制が撤廃され、声出し解禁となって初めて開催する全国ツアーでもあり、メンバーは並々ならぬ意気込みで準備を進めていたと聞く。「君に届け」など代表曲連打のベストセレクション・ライブにファンは歓喜、歓声とシンガロングは強い一体感を生み出した。以下、いくつかの曲名や演出などネタバレを含む内容となるが、最高のスタートを切った初日の模様をレポートする。曲順やMCの位置を曖昧にボカすため、時系列を入れ替えた記述もある。

詳細を明かすのは差し控えるが、オープニングから受け取ったのは、あらゆる感情を受け容れる“音楽という器”への信頼と、あらゆる感情を肯定する人間讃歌のようなイメージ。<This is flumpool>というツアータイトルの“This”とは一体何を指すのか? そんな問いをファンの心に投げ掛けているように思えた。

1曲目は「こう来たか」という選曲で驚かせ、山村隆太(Vo)はワンフレーズ歌い終えると「会いたかったぜ、埼玉!」とシャウト。阪井一生(G)、尼川元気(B)もステージを動き回り、序盤からファンの近くへと歩み寄ってパフォーマンスを繰り広げ、小倉誠司(D)はスティックを打ち鳴らしクラップを誘う。キーボード、ギターで彩りを加えるのは、サポートメンバーとしてお馴染みの磯貝サイモンである。観客のリアクションは熱烈で、やがてメンバーから煽られるのを待つことなく大歓声を送り、力強いクラップを自発的に鳴らすようになっていく。ステージと客席の空気は瞬く間に混ざり合っていった。

幕間で「一生(かずき)!」という男性ファンの雄叫びがあちこちから聴こえ、「久しぶりのツアーで、ちょっと客層が変わった?」と冗談っぽく笑う山村に、「“一生ファン”が増えたな(笑)」と阪井。2人のやり取りの合間には歓声や笑い声が飛び交い、リラックスムードが広がっていく。山村はファンに「来てくれてありがとう。出だしから皆さんの熱量、すごいね」と感謝を述べ、「flumpoolは去年の10月、15歳になりまして。コロナ禍で声が出せないとか、いろいろな制限もあって、去年からようやく日常が戻り出して……戻ってから始まる1本目のツアーです」と挨拶。「とにかく気合いが入っております。15年の集大成をこのツアーで見せよう、と思ってます!」と決意表明した。

新旧織り交ぜたセットリストには、誰もが知るシングルヒット曲、そして、バンドの節目ごとに生まれた重要曲がぎっしりと詰まっている。単なる羅列ではなく、それらを貫く物語を感じさせる配置にもなっていて、バンドの15年の歴史に自然と想いを馳せた。デビュー曲の「花になれ」は、15年前という“過去”を思い起こさせるだけではなく、バンドが活動休止など様々な困難と格闘し、辿り着いた“今”という時を映すテーマソングのように聴こえたのも感慨深かった。2023年10月にリリースしたベストアルバム『The Best flumpool 2.0 〜 Blue[2008-2011]& Red[2019-2023] 〜』の『Blue』盤には、山村がボーカルを新録したバージョンが収録されているが、ライブでは4人の“今”を注ぎ込んだ、成熟した表現に触れることができる。

繊細で美しいバラード群と、「夜は眠れるかい?」など激情迸るダークなロックナンバー群の対比が明確に感じ取れる、起伏に富んだセットリスト構成でもある。flumpoolがデビュー初期から兼ね備えていた両面性ではあるのだが、表現が磨かれたことによって、そのギャップがより一層大きく広がり、ライブはより一層ダイナミックなものに変貌を遂げているのだった。

「3年振りですか。あったまってますか、皆さん? 行けますか埼玉?」と呼び掛けた阪井に、「イエーイ!」と大きな声が客席から返ってくる。「これよ~、欲しかったのは。ね?」と阪井が同意を求めると、山村は「最高やな」と満足そうに呟いた。阪井は「15周年の、言うたらベストツアーみたいなもんです。リハからめちゃくちゃ仕上がってた」と準備万端の自信を覗かせたのだが、「今回、ツアーに対する心の余裕がめちゃくちゃあるんですけど、昨日信じられへん悪夢で起きたんです」と告白。溺れる夢で、夢占いを調べたところ「極度の緊張の表われ」だと判明したらしく、ファンは爆笑した。山村が見た夢も、「お客さんが『曲順、ここじゃねえ!』って、セットリストにお叱りを……(笑)」というリアルな悪夢だったそうで、ツアー初日に向けた心模様を2人はユーモラスに、気取りなく明かしていく。こういったMCのムードはflumpoolの歴代ライブ不変の醍醐味だ。

そのままメンバー紹介に突入すると、磯貝は「素晴らしいツアーに帯同出来て光栄です」とコメント。小倉は立ち上がり「まずは15周年、皆さんお祝いしてくれてありがとうございます。今日は集まってくれてありがとうございます」と律儀に感謝を述べた後、「フロントマン2人は、緊張して夢を見たようですけど、まだまだヒヨッコですね」と冗談っぽくマウンティング。しかし「夢なんて見ません。むしろ寝てません。眠れませんでした!」と続け、思わぬオチに会場が沸き立つ。その流れを受けて尼川は「寝たよ、俺は。普通に」とクールに繋いでやはりファンを笑わせると、「毎日夢を見ますからね。めちゃめちゃ(眠りが)浅い。書き留めとこうかな?」などとコメント、夢の話一つ取っても、メンバーそれぞれの個性が伝わってくるのだった。山村と阪井は互いに名前をコールし合い、最後に山村が「そして、重要なメンバーです。今日埼玉に集まってくれたお客さん。皆さん一人一入が大事なメンバーです!」とファンを紹介し、存在を讃えた。

代表曲の一つであるバラード「証」では、会場に大合唱が響き渡った。ファンの歌唱に合わせて、マイクを通さず大声で歌ったり「もっと!」と熱く求めたりする、山村の肉声も耳に直に届いてくる。2011年、『NHK全国音楽コンクール』中学の部のための書き下ろした合唱曲だが、時代や状況によって様々な意味を新たに宿し、歌い繋がれてきた大切な歌。このツアーでは、<君の居ないページは無い>という歌詞が、flumpoolの15年の歩みを刻む歴史書に“ファンが居ない瞬間は無かった”という愛の告白のように聴こえた。<This is flumpool>の“This”は何を指しているのか? その問いに対する答えの一つを表している曲であり、光景だった。曲が終わった後、拍手がいつまでも鳴り止まなかった。

アンコールでは、「初日、皆さんのお陰で、『これだ、これだ!』という瞬間がいくつもありました。準備してきた僕たちの想像を遥かに超えた素晴らしいライブ、一緒に作ってくれてありがとう」と山村が感謝を伝えると、惜しみない拍手が送られた。15年を振り返り、辛い時に頑張れたのは「こうやって待っていてくれる皆がいるから」とコメント。そのお礼としてflumpoolができるのは、ファンの悲喜こもごもに寄り添い、一つ一つの感情を音楽という形にして届けること。今後の活動への意欲を述べ、「今日はこの日のために、新曲をつくってきました」と発表、うれしいサプライズにファンは歓喜の悲鳴を上げた。「君に恋したあの日から」とのタイトルコールから披露した新曲は、flumpoolの王道ど真ん中を行くラブソング。メロディアスで力強いミディアムナンバーを歌い奏でると、会場は温かな多幸感に包み込まれていった。同曲は4月3日(水)にデジタルリリースされることが決定している。

「このツアー、これで“進めるな”と、間違いなく胸を張って全国にお届けできるツアーだな、と今日確信しました。ありがとう!」と山村は代表して挨拶。「残り14公演。集大成のライブという意味もありますので、日替わり(で披露する曲)などなど、いろいろとやっていこうと思っています。今日楽しかったらまた是非、遊びに来てください」とも呼び掛け、ファンによる撮影OKタイムを設けて初日公演は幕を下ろした。

幅広いファン層を満足させるであろう、キャッチーで贅沢なセットリスト。そんな中、久しぶりの披露となるレア曲も織り込み、コアファンを興奮させる場面もしっかりと用意されていた。ヒット曲連打ではあったが、振り返ると「そういえば、あの曲が披露されなかったな」と気付く。これは15年のキャリアが豊潤だったことの証でもある。日替わり曲も準備しているようなので、複数公演に足を運ぶチャンスがあれば、一層楽しめるツアーになるのは間違いない。初日公演を観届けて、何よりも素晴らしいと感じたのは、初期の代表曲群と近年生み出された楽曲たちが、ごく自然に混ざり合っていたこと。それは、flumpoolがもともと持っている魅力、ファンに愛されてきた根幹の部分を大切にしたまま、バンドが進化発展を遂げてきた証だからである。15周年記念ツアーは彼らにとって到達点ではなく、20周年に向けたキックオフを告げるものなのだ、と感じた。全国各地で待っていたファンに逢いに行き、ライブを重ねていくことで、flumpoolは更なる成熟を遂げていくことだろう。

テキスト:大前多恵
カメラマン:カワベミサキ



■ ツアー特設サイト
https://www.flumpool.jp/sp/fptour2024/

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