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『堂珍嘉邦 LIVE 2023 "Now What Can I see ? ~Drunk Garden~』11月19日(日)ライブレポート

『堂珍嘉邦 LIVE 2023 "Now What Can I see ? ~Drunk Garden~』11月19日(日)ライブレポート

December 1, 2023 18:00

堂珍嘉邦

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11月17日(金)、『堂珍嘉邦 LIVE 2022 “Now What Can I see ? ~Drunk Garden~』(2枚組CD+ブルーレイ盤)をリリースした堂珍嘉邦が、今年も11月18日(土)・19日(日)東京・日本橋三井ホールにて『堂珍嘉邦 LIVE 2023 “Now What Can I see ? ~Drunk Garden~』を開催した。ソロデビュー10周年を迎えた昨年の “Now What Can I see ? ~Drunk Garden~に続き、二度目の有観客は言わずもがなアツい盛り上がりを見せた。

2日目の19日(日)、昨日のステージの感想を笑顔で話すオーディエンスの楽しげな声が聞こえてきた。客電が静かに落ち、バンドメンバーが登場。音をあわせるように「Reload」のイントロが流れると堂珍が登場。歓声と同時にザザッとオーディエンスが立ち上がる音。1曲目から会場が揺れた!堂珍もステージ狭しと動き回り、フロアにマイクを向ける。曲が終わるとすぐさまエレキを持ってかき鳴らす。「Damaged Cupid」だ。赤、紫、黄色とライトが目まぐるしく煌めき、フリーキーなSaxの響きがこのオルタナティブなサウンドのボルテージを更にあげた。

「楽しんでいける準備は、どうやらありそうですね。」

堂珍も感じていたスタートダッシュの熱量。11月17日が自身の誕生日ということもあり、ユナクら、ミュージカル『「FLAGLIA THE MUSICAL」~ゆきてかえりし物語~』で共演したメンバーがバースデー動画を送ってくれたことを報告。アドバイスを求められることもあるらしく、さしずめ良き兄貴といったところだろう。さすが珍兄!

ダブアレンジされたのはCHEMISTRYの懐かしいナンバー「BACK TOGETHER AGAIN」。真城のバッキッングヴォーカル、フルートの音色、堂珍のファルセット、そのどれもが心地よく、オフビートのグルーヴは “Now What Can I see ? ~Drunk Garden~お馴染み、フィッシュマンズのカバー「いかれたBABY」へ繋がれた。波に身を委ねるように緩やかにリズムを取る堂珍。オーディエンスも思い思いにその波を楽しんでいるようだ。

CHEMISTRYでもレアな曲にスポットライトを当てるのも “Now What Can I see ? ~Drunk Garden~ではだいぶ恒例になっているようで、この日選んだのは2007年リリースの「雨上がりの虹のように」。曲名を言った瞬間、オーディエンスの喜びの声が筆者の耳にも届いた。

堂珍は「今日はケミのマネージャーさんも来ているから若干言い方を考えて……いや、仲良いんだよ!向こうにも失礼のないように」わざと気を遣っている口調でオーディエンスを笑わせる。オリジナルの雰囲気を大切にした清々しい歌声はオーディエンスを魅了し、最後のコール&レスポンスではオーディエンスに「よく出来ました」と一言。

だが曲が終るや否や「ごめん、ごめん、よく出来ましたとか初めて言ったわ!」と、笑いを堪えきれずそう言うと「5秒後くらいにくるこの恥ずかしさ」と、はにかむ。そこで真城が「今日始めて観た人は、堂珍さんってこういう感じなんだ…(と思ったかも)」とツッコみ、会場も爆笑。堂珍が自分にないキャラに「多分変だと思う」と言えば、会場からは「もっと言って!」の掛け声。「もっと変になれと?(笑)」と返せば拍手と歓声が湧き上がる。歌っている時のクールなムードとは違う、ファンとのこんな気さくなやりとりも人気の要因だろう。そして堂珍が愛される理由は音楽への一途さもあると考えている。Spiral Lifeの「CHEEKY」はこれからもずっとカバーしたい曲だと語る。好きな音楽とはずっと向き合っていたいという想いや、音楽への愛情などが、タンバリンを叩きながらDr.kyOnと顔を見合わせた時にふとこぼれた笑顔から感じられた。

20231119_180523.jpeg年齢やキャリアを重ねるごとに歌の魅力が深まることがある。「星たちの距離」もそのひとつではないだろうか。2001年、KEIKO LEEとのデュエットとしてCHEMISTRYの1stアルバム『The Way We Are』に収録されたこの曲は、昨年の “Now What Can I see ? ~Drunk Garden~でもオーディエンスを魅了したが、芳醇な真城の歌声とクリアで芯のある堂珍の歌声がしっとりと絡み合い、今年もまた会場を包み込んだ。ヴォーカリストとして真城へのリスペクトを込めて、遠慮する真城へ「真城さんじゃないと駄目かもよ。」と堂珍。同意の拍手と称賛の歓声が会場に響いた。

ここで新曲「BETWEEN SLEEP AND AWAKE」を披露。パーカッションやホーンの響き、90年代を彷彿とさせるネオソウル感。憂いと煌めきを混在させながら刻む一定のリズムは感情を揺さぶる。来年のリリースを考えているそうだが、筆者個人的にも1日も早いリリースを望む名曲だ。

「みんなが好きなやつ、いくよ!」

そう言うと「悲しみシャワー」へ。クラップはビートに合わせて広がり、ホーンの響きもライブ後半のテンションを上げ、跳ねるオーディエンスから溢れる笑顔。楽しげなムードのままで再びメンバー紹介。一呼吸おいた後で「最後はこの曲で……」と言えば、会場からは「えー!」の嵐。照れ隠しなのか冗談めかした口調で笑わせるも「いやぁ…でも本当に今日は楽しかった?」と誠実な本音に切り替え「みんな来てくれて、どうもありがとう」と感謝を述べた。本編最後は山下達郎氏の「SPARKLE」。冬の始まりを忘れさせるようなサンバホイッスルと、朗々とした堂珍の歌声は熱気を帯びたまま本編を終了させた。

20231119_181607.jpegアンコールは、「Euphoria」と堂珍がソロになって初めて作った「She Knows Why」。「Euphoria」はメロディの多幸感だけでなく、牧歌的で温かいアレンジと耳に残る拍子のギミックの対比が面白い。笑顔で曲を楽しんでいたオーディエンスは、「She Knows Why」が始まると、ライブが終ることへの名残惜しさを抱えながらじっと楽曲に、堂珍の歌声に、耳を傾けていた。

「皆さんがいるから僕も頑張れますし、僕がいるから皆さんも頑張っているのはSNSで知っているので」

ファンとの繋がりを大切に思う堂珍らしい言葉を挨拶とし、2日間におよぶ『堂珍嘉邦 LIVE 2023 “Now What Can I see ? ~Drunk Garden~』は幕を閉じた。

12月には『堂珍嘉邦 LIVE 2023 “”Now What Can I see ? ”〜Holy Garden〜』、来年はCHEMISTRYのツアーや堂珍嘉邦オフィシャルファンクラブ “Drunkboat”の旅行など、これからもその繋がりは続く。

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堂珍嘉邦 LIVE 2023 “Now What Can I see ? ~Drunk Garden~

<バンドメンバー>
Dr.kyOn(Keyboards, Backing Vocal)
木暮晋也(Guitars, Backing Vocal)
真城めぐみ(Backing Vocal, Percussion)
砂山淳一(Bass, Backing Vocal)
山下あすか(Percussion, Backing Vocal)
後関好宏(Sax, Flute, Backing Vocal)

<Set List>
1.Reload
2.Damaged Cupid
3.BACK TOGETHER AGAIN
4.いかれたBABY
5.雨上がりの虹のように
6.CHEEKY
7.My Angel
8.星たちの距離 (w/真城めぐみ)
9.BETWEEN SLEEP AND AWAKE
10.魂は木の葉のように
11.ALL MY LOVE
12.悲しみシャワー
13.SPARKLE
en1.Euphoria
en2.She Knows Why

Photo:冨田味我
Text:秋山雅美



■ 堂珍嘉邦 オフィシャルサイト
https://dohchin.com/

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