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松室政哉と矢井田 瞳の化学変化とは?【Matsumuro Seiya presents "LABORATORY"session2】ライヴ・レポート

September 11, 2021 13:00

松室政哉 矢井田 瞳

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松室政哉と矢井田 瞳の化学変化とは?【Matsumuro Seiya presents "LABORATORY"session2】ライヴ・レポート

松室政哉がリスペクトするアーティストを招く対バンライヴ企画【Matsumuro Seiya presents “LABORATORY”】。wacciを招いたsession1が開催されたのは2019年6月。会場はsession2が開催された今年9月10日(金)と同じ、東京・duo MUSIC EXCHANGE。約2年の間に世界はガラリと変わってしまい、オーディエンスはマスクを着け、声を出すことも出来ない。この日のライヴも、会場と配信のハイブリットで開催され、筆者も配信にてこのライヴレポートを書いている。しかし例え声を出せなくとも、その場にいなくとも私は知っている。ライヴの楽しさを。音楽の大切さを。

松室がsession2のお相手に選んだのは、矢井田 瞳。このレポートを書くにあたり筆者は「なぜ矢井田さんを?」とスタッフへ尋ねてしまった。無論、矢井田 瞳というアーティストの素晴らしさは十分知っている。しかし接点が見つからなかった。実は矢井田も初めは筆者と同じ疑念を抱いたようで、それはこのライヴ中にも語られたが、松室が小学生時代から矢井田のファンで、曲作りをするようになってからも少なからず影響を受けたアーティストのひとりだと知り、矢井田もこのライヴが楽しいものになると感じたようだ。

バンドメンバーも松室のライヴではお馴染みの坂本暁良(Dr)、植松慎之介(Ba)、外園一馬(Gt)、宗本康兵(Key)。拍手を受け、松室に続いて矢井田が登場。「THE BLUE HEARTSを聴いている時だけが受け入れられているような…。」
矢井田が二人のオープニングセッションに選んだのは、自身が思春期ならではの胸のざわめきやモヤモヤを感じていた頃から好きだったTHE BLUE HEARTSの「⻘空」。この時点でですでにこのLABORATORY(研究室)での化学変化が始まっているように思う。

その後松室は退場し、矢井田のステージへ。矢井田の心地よい歌声とメロディが「Ring my bell」で広がる。“遠くにいたって響かせるから”。そのフレーズはまさに今の状況とマッチしており、会場だけでなく配信でこのライヴを観ている人たちへも繋がれた気がする。

KEN20210911_7733.jpg「疲れがたまる日々ですけれども、音楽で少しでもこの時間は心を緩めて頂けたらと思います。」そう言いながら矢井田のステージは続く。矢井田の音楽を大切に汲み取ろうとするバンドメンバーの表情。矢井田もそれを受け取り笑顔を見せる。矢井田の音楽はいつでも風を感じる。空を感じる。音の煌めきを感じる。

「このご縁に感謝です。ムロくんありがとう。」矢井田はステージ袖で観ているであろう松室へ今回のライヴを一緒に出来る感謝を述べた。更にバンドメンバーが原曲を聴き込んできたであろうことに、ミュージシャンとして本当に嬉しそうな笑顔を浮かべた。

リラックスしている証拠か関西弁が多く出ているMCと、デビュー22年目を迎えてもなおひたむきに音楽へ向かう姿勢、矢井田ならではのメロディセンスや歌声で会場を包み込む。色々な想いを抱えこの会場に来たオーディエンス。声は出せずともアッパーな曲で手を上げ乗る姿を見て、目がハートになってしまったと笑い、「あなたのSTORY(Yaiko Band ver.)」で、矢井田のステージは終了。

続いて松室が登場すると「ai」でステージがスタート。松室の音楽を聴くとぐっと距離が縮まる。まるで会場で聴いているように。それは筆者が松室を長く取材し続けたせいだけではない気もするが、実際は何故だか分からない。今はあのファルセットがただ懐かしく心に染み渡る。

ライター目線にはなってしまうが、配信の良いところはレポートを書きながらにして「海⽉」の世界観に思い切り浸れることだ。ライヴの在り方に対して個々の考え方の違いが浮き彫る今の状況下。しかし松室は、形はどうあれ自分の音楽をみんなに聴いてもらえること、その時間を共有していることが嬉しいと言う。松室のステージも後半戦になりボルテージを上げ始めた。

KEN20210911_7899.jpg対バンの面白さは、良い意味で相手のステージングに影響されること。この日の松室のテンションにもそれを感じた。異例の無観客という形でのオリンピック・パラリンピックも幕を閉じたが、オリンピックを東京で開催することが決まった時に作った「君は世界の中⼼だ」に松室は「自分で作った曲に自分自身が励まされた」と言い、この大切な曲でステージは終了した。

アンコールを受け、再び松室、矢井田が登場。「ムロくんの声も世界観も楽曲も歌も素晴らしくて。」そう言う矢井田を思わずお祈りポーズで見つめながら「録音しときたい」と松室。松室達ての願いでセッションしたのは矢井田の代表曲「My Sweet Darlinʼ」。この時の松室の嬉しそうな表情を是非観てもらいたい!そりゃ当たり前だ。ずっと好きだったアーティストとのセッション。今の松室は、小学生時代の自分に何と語りかけているだろう。

KEN20210911_9148.jpg矢井田 瞳を招いての【Matsumuro Seiya presents “LABORATORY” session2】は大団円で幕を閉じた。なおアーカイブ視聴は、9月12日(日)23時59分まで。是非この新たな化学変化を目にしてもらいたい。

PHOTO:清水ケンシロウ
TEXT:秋山雅美(@ps_masayan



□ セットリスト

・松室政哉+矢井田 瞳アコースティック・セッション
M1.⻘空(オリジナル:THE BLUE HEARTS)

・矢井田 瞳
M2.Ring my bell
M3.Iʼm here saying nothing
M4.i can fly
M5.Look Back Again
M6.あなたのSTORY(Yaiko Band ver.)

・松室政哉
M7.ai
M8.ラブソング。
M9.海⽉
M10.今夜もHi-Fi
M11.踊ろよ、アイロニー
M12.君は世界の中⼼だ

・Encore
En1.My Sweet Darlinʼ
En2.Happy Prime Day


■ 松室政哉 オフィシャルサイト
http://matsumuroseiya.com/

■ 矢井田 瞳 オフィシャルサイト
yaiko.jp

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