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杏子、8年半ぶりのニューアルバム「VIOLET」を引っさげてワンマンライブ開催!

July 12, 2021 17:00

杏子

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杏子、8年半ぶりのニューアルバム「VIOLET」を引っさげてワンマンライブ開催!

2021年7月8日(木)、ビルボードライブ東京にて、杏子のコンサート「Kyoko Billboard Live 2021 "VIOLET"」が開催された。8年半ぶりのニューアルバム『VIOLET』のリリース直後の、5月15日と30日に、大阪と東京のビルボードにて、スケジュールが組まれていたが、新型コロナウィルス禍の影響で、この時期に延期となったもの。東京はこの日で大阪は7月5日(月)、それぞれ昼夜二公演で、改めて行われた。以下、その東京の二公演目=18:00開演の回のレポートをお届けする。

SEが響く中、ギター・ベース・ドラム・バイオリンからなるバンドメンバーがまず持ち場につき、続いて黒いコートにサングラス姿の杏子がオンステージ。アルバムのタイトル曲「VIOLET」でライブがスタートする。1サビの入りでは肩を振りながら大きくステップを踏み、曲の後半では後ろ手にサングラスを投げ捨てる、杏子の一挙手一投足とボーカルに、最初は笑顔で拍手を贈っていたオーディエンスが、いわゆる「呑まれる」状態へと染まっていくのが、観ていてわかる。

2曲目は一転、アップテンポでハードな「The BlacKnight」。曲の頭でシャウトを響かせ、間奏でコートを脱ぎ捨て、コール&レスポンスの代わりに「コール&ジェスチャー」を求め、オーディエンスを巻き込んでいく。ギターを抱えての「Heaven’s Door」では、同期のリズムと生ドラムのビートが妖しく絡み合う。この曲の中盤でも、最高音域のシャウトが炸裂した。

『VIOLET』で多保孝一をプロデューサーに迎えたこと、ロック半分・新しいことを半分やるアルバムにしようと思ったが、最初から挑んだことのないタイプの曲が上がってきたこと、でも曲が良いので「歌いたいです」と言ってしまい、あとで苦労したこと──。などをMCで話してから、「Why Boy」ヘ。R&Bテイストなこの曲で、たおやかで美しい、そして確かに新しい、ボーカルを聴かせてくれる。

白いランタンを手に歌った「Love Like Thunder」。赤いショールをまとっての「One Flame,Two Hearts」。メンバー紹介をはさんで、「踊るには衣装の力を借りないと」と、シルバーのハリのあるストールを身につけるとダックテールのようになり、そのしっぽを揺らしながら楽しそうにステップを踏んだ「調子乗ってDance」──と、『VIOLET』からの曲が次々と披露されていく。ストレートなロック・チューン「Welcome to the Nightmare」で、ステージから放たれる熱も、それを受け止めるオーディエンスの熱も、ピークに達した。「今回は『VIOLET』が完成してのライブ、タイトルも『VIOLET』。大きい一部とちっちゃい二部にしていて、この曲を一部の最後にしたいと思います」と、約1年かかったレコーディングの最後にできた曲であり、多保孝一に勧められて久々に歌詞を書いた曲である「Hello,It’s me」を聴かせ、いったんステージを締めくくる。

その「ちっちゃい二部」では、『VIOLET』のジャケット写真と同じ、赤いドレスで登場。この曲のMVでも着た衣装で、朝日を浴びながら歌った、悲しいお別れの歌だけど、それでも光が見えたらな、という思いを込めたことを言葉にしてから、「the days~幸せをどうか~」を歌う。演奏はバック・トラック、ステージには杏子ひとりきり。この曲で、『VIOLET』の10曲が、すべて演奏されたことになる。メンバーをひとりずつ呼び込んでから、次に歌う「DISTANCIA〜この胸の約束〜」の紹介。この曲でソロ・デビューしたが、「杏子はロックじゃなくなった」と言われて、そのあとしばらく歌えなくなっていた。でも今回選曲をしている時に、メンバーが「この曲をやろうよ」と言ってくれた、新しい気持ちで歌おうと思う──と、杏子。ロックじゃないかどうかはともかく、地中海あたりの空気感を持つこの曲は、今も新鮮であることを、生で聴くと実感する。

ドレスをサッと脱ぎ捨て、赤一色から黒一色になってから歌われたのは、バービーボーイズの「負けるもんか」。ここにいる全員がフルコーラス歌えるであろうこの曲で、温度が一気に上がる。バービーではコンタのソプラノサックスが担うリフは、土屋玲子がバイオリンで美しく奏でる。最新アルバムの曲、ソロ・デビューの曲、バービー時代の曲、と、「ちっちゃい二部」は自分のキャリアの大事なポイントの曲が並ぶ、人生絵巻のような選曲になったことを話し、「次の曲もそうです」とラストに選んだのは、福耳の「星のかけらを探しに行こう Again」。「今年は何が何でもやりますので」と『Augasta Camp 2021』の開催を告げ、「では、この歌を、大切に歌いたいと思います」と言ってから、曲に入る。後半では、シンガロングの代わりに「きらきら星」の容量で掌を振ってくれるようにオーディエンスに求め、そのさまに「個性が出てますね、おもしろいなあ!」と喜ぶさまが微笑ましかった。

杏子に限らず、ここビルボードライブ東京は、最後の曲になるとステージ後方のカーテンが開いて、バックに東京の夜景が現れる、というのが恒例になっているが、今日は時間が早くて微妙なので開けなかった──と、歌い終わってから説明する杏子。「今、オープンしてみましょうか。どうでしょう?」とカーテンを開けると、意外と夜景に近い風景で、「おお、きれいじゃない? よかったよ、夜景だ! (曲中に)開ければよかった!」。また客席に笑顔と拍手が広がった。

二部がキャリアの象徴のようなセットリストになった、というのは、『VIOLET』というアルバムを出した今が、それらと同じような大事なポイントになっているからだ、だから『VIOLET』の全曲を、それらの曲と一緒に歌いたかったのだ、ということに、終わってから気がついた。初めて人前で披露された『VIOLET』の曲たちは、いずれも、そのような、強い輝きを放っていた。

ライター:兵庫慎司
カメラマン:岩佐篤樹



■ Kyoko Billboard Live 2021 “VIOLET”
ビルボード東京:7月8日(木)
セットリスト
M-1 VIOLET
M-2 The Black Knight
M-3 Heaven’s Door
M-4 Why Boy
M-5 Love like Thunder
M-6 One Flame, Two Hearts
M-7 調子乗ってDance
M-8 Welcome to the Nightmare
M-9 “Hell, it’s me”
ENCORE
M-10 the days ~幸せをどうか~
M-11 DISTANCIA〜この胸の約束〜
M-12 負けるもんか
M-13 星のかけらを探しに行こう Again


■ 杏子 オフィシャルHP
http://www.office-augusta.com/kyoko/

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