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Nulbarich Live Streaming 2020(null)ライヴレポート

Nulbarich Live Streaming 2020(null)ライヴレポート

December 25, 2020 13:00

Nulbarich

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「オンラインライブという名前の、新しいクリエイティブの場で自分たちにしかできない、ライブをしたい」

12月22日(火)に生配信にて開催された、自身初のオンラインライブ【Nulbarich Live Streaming 2020 (null)】に対して、事前にそうコメントしていたNulbarichのJQ。ステージングは勿論のこと、ライティングやカメラワークなど彼の言葉どおりNulbarichらしい洗練されたクリエイティブな世界観を見せつけてくれた。Nulbarichがワンマンライブを行うのは、2019年12月にさいたまスーパーアリーナで開催した【Nulbarich ONE MAN LIVE –A STORY-at SAITAMA SUPER ARENA】以来1年ぶり。

オンラインとてライブが始まる瞬間はワクワクする。映像が会場へ切り替わると、群青の闇に機材の光や人影が淡く動く。程なくシンセ、JQがリズムを刻むドラム、ギター、ベースによる心地よいLong Sessionがその沈黙を静かに破った。画面の中央にはタイトル「(NULL)」の文字。そこから「On and On」へ。JQはドラムセットに腰掛けたまま体を揺らし歌ったり、時にはマイク片手にドラムを刻んだりしている。ローアングルで捉えたベーシスト、シンバルのアップや鍵盤の指元、ギター越しのJQ。一体何台カメラがあるのだろうと思うほどアングルが次々と切り替わるが、こだわり抜かれたアングルやボケ味を生かした映像はまるでMVを観ているようだ。「It's Who We Are」のイントロはやはりテンションが上がる。歓声が聴こえる。バースでJQの声に絡むベースラインにジャズアレンジされた鍵盤。歪むギターソロもクールだ。

「ごきげんよう。どこを観ていいんだ?これは。」

椅子に腰掛けキョロキョロしながら「この辺にしとくか。」と上空カメラへ向けて手を振るJQ。いつも通り楽しみたいと言いつつ、いつもとは違うスペシャルなセクションが用意された今宵に「ありそうでなかったNulbarichをお届けしたいと思います。」と穏やかな口調で挨拶。ドラムロールから少しの沈黙を持って「Spread Butter On My Bread」のイントロドラム。JQは「溜めるねぇ…(笑)」とちょっと楽しげだ。筆者個人的にも好きなこのチル・ウェイブナンバーに思わずレポを忘れてしまいそうになる。深い時間の安らぎみたいだ。

「先輩呼んでます。Nulbarichデビューから支えてもらっている兄さんを。」そう言うと、スペシャルコラボレーションの相手としてサプライズで登場したのはBASI。これには観ていた人たちも驚いたはず。軽く挨拶すると「一曲コラボレーションしたやつ良い感じになったから、とりあえず聴いて。」とJQ。BASIも「揺れてください。」そう言うとBASIをフィーチャリングに招いての「Together」へ。声のイメージが似ているせいか二人の歌声は美しく溶け合う。歌い終わったJQがBASIに「完璧でした?」と聞く様は本当に兄のように慕っていることがわかる。

「BASIさんと喋りたいコーナー。僕がBASIさんの彼女面をするっていうコーナーです。」JQのこの発言にBASIも吹き出す。折角の生配信なのでとタブレットが用意され、二人とも真剣にコメントへ目を走らせる。眼鏡とミニマルマッシュでルックスが似ている二人に「双子コーデ」のコメント。それに対して「双子って言った人の負けですよね。僕たちの罠に完全にはまっちゃってる。」とJQ。(筆者もその罠にまんまと引っかかったクチ。というか、JQが今の髪型にしてから事あることにBASI氏を思い出していた)BASIがハイボール好きという話やJQが温泉好きという話など、普段のライブでは聞くことが出来ない話題が出るのも配信ならでは。

「ありがとう、Nulbarich。引き続き皆さん楽しんで。」BASIはここで退場。JQの言葉を借りれば、まさに<Nulbarich Living room>のようなリラックスムードでこのセクション最後のナンバー「NEW ERA」へ。最近のナンバーも勿論好きだが、「NEW ERA」はやはり落ち着く。遮光カーテンの揺らめきとメンバーが円になるセッティングはミニマルな世界観を演出し、気心知れた仲間のプレイにJQも笑顔をこぼす。「楽しいね。」しみじみそう言うと続けざまにプレイされた「VOICE」。サンプリングのかけ声とグルーヴィーなシンセは多幸感に溢れる。


「これを待っていたんだろ。お友達紹介のコーナー。」ギターカッティングに乗せてVaundyを呼び入れる。

「じゃあブチかましちゃいましょうかね。」そう言って歌うのは勿論「ASH feat. Vaundy」。Nulbarichが初めてコラボレーションしたVaundyは「不可幸力」や「東京フラッシュ」などの動画再生回数1700万回を超える話題のアーティスト。しかし単なる話題作りのコラボではないことが分かる。JQが作ったこのナンバーのトラックをVaundyが全替した話を「MUSIC FUN! × J-WAVE」で聴いた時はさすがに珈琲を吹き出したが、クリエイター同士の静かなぶつかり合いが面白かったことも覚えている。“灰にして”のフレーズは耳に残る。ああ、バイブスが合うとはこのことなんだろう。BASIとの「Together」もそうだが、リスペクトが画面越しに伝わってきた。

ライブ終盤戦の「Twilight」。メンバーとJQにミラーボールの光が降り注ぎ、残像が残りそうなスロウな映像演出。更に「Super Sonic」でのベースの畝りやサビの開放感、ライトの瞬き、メンバーのソロプレイはフロアの熱気を思い出せる。メルセデス・ベンツ都市型SUV新型「GLA」のCMソング「LUCK」は80’sの匂いをさせるスタイリッシュなビートナンバーで、特にバースはNulbarichとして新鮮だった。

「今年も色々あったけど、要は酸いも甘いも色々あるということで最後にこの曲を。」と最後のナンバー「Sweet and Sour」へ。何十回、何百回聴いても心が震えるが、やはり今年のこの曲は感慨もひとしおだ。
本編が終了。コメント欄には「アンコール!!」や「最高!」のコメントが並ぶ。映像が2階席カメラにチェンジすると、俯瞰したアングルに映るのは客電がついたステージの脇で解体作業を行うスタッフの姿と漏れ伝わる少しの音。しかしステージにはメンバーがいる。程なくして聴こえるストリングスカルテットの音色。エンドロールが流れる中でのアンコールは「TOKYO」。最後まで心憎い演出でステージの向こう側にいるオーディエンスを魅了し、オンラインライブは終了した。


また、ライブ終了後には「TOKYO」が来年1月27日に配信リリースすることも発表され、2021年もNulbarichの音楽が鳴り響くだろう。

【Nulbarich Live Streaming 2020 (null)】は12月28日(月)23:59までアーカイブ配信されるので、まだ観ていない人は是非Nulbarichのグルーヴに酔いしれて欲しい。

Photo: Victor Nomoto
Text:Masami Akiyama(@ps_masayan



□ SET LIST
1. Long Session
2. On and On
3. Get Ready
4. Zero Gravity
5. It's Who We Are
6. Spread Butter On My Bread
7. Together feat. BASI
8. NEW ERA
9. VOICE
10. ASH feat. Vaundy
11. Twilight
12. Super Sonic
13. LUCK
14. Sweet and Sour
15. TOKYO 



■ Nulbarich Live Streaming 2020 (null)
視聴券販売期間:販売中 / 12月28日(月)19:00まで
視聴期間:生配信より12月28日(月)23:59まで

Mobile会員「Hometown」限定 Nulbarichオリジナルスマホステッカー付視聴券:¥3,500
一般視聴券:¥3,500-(税込み)

■ 視聴券購入
https://nulbarich.com/feature/livestreaming_2020

■ オフィシャルサイト
http://nulbarich.com/

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