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矢井田 瞳 20th Anniversary Release Live『Sharing』ライヴレポート

矢井田 瞳 20th Anniversary Release Live『Sharing』ライヴレポート

November 2, 2020 21:00

矢井田 瞳

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「Hello Tokyo!Whoooo!」

オープニング、「いつまでも続くブルー」のイントロで挨拶した矢井田は、目の前にオーディエンスがいることが本当に嬉くてたまらないように軽く笑う。発売されたばかりのニューアルバム『Sharing』を携え、新旧織り交ぜたベスト選曲のバンドステージ【矢井田 瞳 20th Anniversary Release Live『Sharing』】が10月31日(土)Zepp DiverCity(TOKYO)にて有観客+生配信のハイブリッド形式にて開催された。矢井田にとって有観客と配信の融合は初の試みだが、配信を意識したカメラワークやエフェクトなど、ならではの演出も施されている。筆者は今回配信を観ながらこのライヴレポートを書いているが、やはり会場にも行きたかった。でも配信も良い……あっ、会場に行ってから配信で観れば良かったのか!などと思いを巡らせてしまうが(笑)、アーカイブは11月9日(月)23:59まで配信される為、セットリスト含めネタバレを避けたい方は、是非ライヴを観た後でこのライヴレポートを読んで頂きたい。
Yaiko Bandのメンバーは西川進(G)、FIRE(Ba)、水野雅昭(Dr)、鶴谷崇(Key)。

「いつまでも続くブルー」で清々しく伸び上がる矢井田の歌声とメロディは何と心地よいことだろう。「Buzzstyle」のリズムに合わせ矢井田のスカートが揺らぐ。西川と向かい合いながらギターを掻き鳴らすとメンバーのサウンドに最高の笑顔を見せる。続く「Dizzy Dive」ではスタンドからマイクをはずし、クラップしながらメンバーと共にカメラに目線を送ったり歓声を聞くように耳に手を当てたりしながらステージ狭しと動き回る。眼の前のオーディエンスと、画面ごしのオーディエンスの両方を意識するのは正直神経を使うだろう。しかし矢井田のアグレッシブな動きはそれさえ楽しんでいるように見えた。ポップなテロップも可愛い。

「わぁ〜〜(笑)。うれしー!」

矢井田に向けて手を振るオーディエンスを観ながら、矢井田も無邪気な笑顔でオーディエンスに手を振ると、今度は胸に手を当てながら「嬉しいなぁ…。やっと会えたね。やっと会えた。」と、待ち焦がれた有観客の風景にしみじみとした口調。矢井田はこの大変な状況化でライヴを作り上げることが出来たことを奇跡と言うと「最後まであっついあっつい夜にしようね!」と再び笑顔を見せ、関西限定シングルとしてリリース後、『Sharing』にも収録された大阪愛を関西弁で歌った「ネオンの朝」へ。

シンセのリフから上昇するようなイントロが特徴的な「MOON」では、バンドと矢井田のアコギの巧みなサウンドバランスを感じ、切ない歌詞を可視化するような満月の映像を観ながら曲の世界に浸った。ダリダリ旋風で一世風靡した「My Sweet Darlin’」ではカラフルなライトが旋回。会場のオーディエンスのテンションは言わずもがな上がっているだろうが、目まぐるしく変化するカメラワークにもテンションが上がる。矢井田 瞳はシンガーソングライターだが、やはりバンドの人でもある。特にエレキを弾く矢井田は格好良い。


ここで一気に空気が変わる。西川のギタータッピングで作り上げられるアンビエントな世界観と美しい旋律のピアノ。矢井田は歌の世界に身を委ねるように深い青の中で「Over The Distance」を丁寧に歌い上げた。すべてを今の状況に置き換えるのもどうかとは思うが、それでもやはり感じてしまう。“何にもいらない あなたに触れたい”、“繋がっていたい”という歌詞の尊さ。

「やっぱり生身の人間が目の前にいるのは良いですね。…言い方が上手じゃなかったかもしれないけど(笑)。」生身の人間という言葉に自分で思わず笑ってしまった矢井田の茶目っ気が可愛らしい。
「みんなが送ってくれてるパワーっていうのかな、エネルギーみたいなのがすっごいビンビンに感じています。どうもありがとう!」感染予防および拡散防止の為、マスク着用で歓声を上げることは出来ないが、それでも感じるオーディエンスのエネルギー。更に配信のオーディエンスに向けても「飲んでますかー?私も飲みたーい(笑)」と笑う。デビューした20年前とは音楽を取り巻く環境が変わったが、「20周年という大切な年にね、すごく納得のいく一生懸命作ったものをリリース出来たっていうことが本当に嬉しく思います。」と、記念の年に納得のいく作品を届けられた喜びを語った。

『Sharing』のリリース前から、そのタイトルでファンをざわつかせた「かまってちゃん。」を西川のアコギと共に披露。更にここ一年半、一緒にライヴや音作りをしてきたアコースティックヴォーカルデュオ 高高-takataka-のカヴァー「It’s too late?」では水野のマレットが力強さを演出。ポップシーンにて『Sharing』のインタビューをさせて頂いた際、「一曲通してゆっくり高揚していく方がきっと今の私の声や年齢に合っているんじゃないかと思った」と語ってくれたことを思い出す。オリジナルとは違うが、心が熱くなった。


荘厳なイントロアレンジされた「B’coz I Love You」でエンジンをかけると「アンダンテ」で再びステージを動き回りオーディエンスを煽る。 ドラムのリズムに合わせ瞬くライトやギターソロ。声は出せなくともボルテージが上がっているのが分かるフロアを「ママとテディ」で更に熱くした。アウトロで終わったかと思わせて再び始まるドラムに楽しそうに声を上げて笑う矢井田。全身でライヴが出来る喜びを味わっている笑顔やコミュニケーションばっちりのメンバーとのこのやり取りは、楽しくてつい何度も見返してしまった。

「今日はほんまにありがとー!なんかもう…感無量です!ありがとうございます。皆さんが発してくれてるエネルギーやラブのパワーが会場中に渦巻いていて、むっちゃ受け取っています。」
ライヴも新しい形を模索していかなくてはいけないし、大変な日常はまだ続いているが「希望の光だけはどんな時でも持っていて欲しいなと思います。今日は本当にありがとうございました。」お礼と共にそう言うと、オーディエンスひとりひとりを示すように手を広げ曲紹介。本編をこの「あなたのSTORY」で締めくくった。配信では矢井田直筆の歌詞が出たが、この歌詞をみながら筆者は何故か歌うオーディエンスを感じた。これが矢井田が言うオーディエンスのパワーだろうか。

「音楽最高ーーー!」アウトロでそういう矢井田に大きな拍手が降り注ぎ、本編は終了。

「アンコールありがとうー!」

アンコールで再び登場した矢井田とバンドメンバー。アンコール1曲目は肩肘張らない日常を歌った『Sharing』収録の「きっとJust fine」。オリジナルアルバムで矢井田以外が作曲を手掛けるのは初だが、メロディラインもアイリッシュっぽさも矢井田のことを十二分に分かっているGAKUの作曲だからこそ矢井田も伸びやかに歌う。

「みんな声は出せへんかもしれないけど、みんなの元気なお手々を是非見せてください。OK? Are You Ready?」そういうと「Look Back Again」で腕を振り上げるオーディエンスの姿が映し出され、頭を振り乱してのドラムソロに楽しそうな矢井田の笑い声が聞こえる。湯気が上がりそうな程ボルテージが上がった会場の雰囲気を、まるでそこにいるかのような感じた。

初の試みのライヴにやはりドキドキしたという矢井田。だが「今すっごい心がホクホクです。満たされています。本当にありがとうございます!皆さんの心も音楽でどうか満たされていますように。」そう言うと、遠くのオーディエンスまで見渡すように手でひさしを作り「ほんと、また会おうね。うんうん。その時はどうか笑顔で会えますようにという願いを込めてー」と言いながらアンコールの最後は「はだしのダイアリー」。波の映像に矢井田が奏でるティン・ホイッスルの音色。音源とは違う魅力に溢れている。初の有観客&生配信ライヴ【矢井田 瞳 20th Anniversary Release Live『Sharing』】は盛況のうちに幕を閉じ、配信ではエンドロールの後、矢井田の直筆メッセージで締めくくられた。最後に見せた矢井田の笑顔はまさに感無量といった表情は忘れがたく、21年目を歩みだす矢井田 瞳からまだまだ目が離せない。

Photo:スエヨシリョウタ
Text:秋山雅美(@ps_masayan


□ セットリスト
M1「いつまでも続くブルー」
M2「I’m here saying nothing」
M3「Buzzstyle」
M4「Dizzy Dive」
M5「ネオンの朝」
M6「未完成のメロディ」
M7「MOON」
M8「Chapter02」
M9「My Sweet Darlin’」
M10「Over The Distance」
M11「fast car」
M12「かまってちゃん。」
M13「It’s too late?」
M14「B’coz I Love You」
M15「アンダンテ」
M16「ママとテディ」
M17「あなたのSTORY」
EN1「きっとJust fine」
EN2「Look Back Again」
EN3「はだしのダイアリー」


□ 配信
Thumva:https://thumva.com/

□ アーカイブ配信期間
2020年11月9日(月)23:59まで

□ 視聴チケット
3,500円(税込)

□ 視聴チケット販売期間
2020年11月8日(日)21:00まで

〈販売プレイガイド〉
Thumva:https://thumva.com/events/cU0HpLcu4wMx8iP
チケットぴあ:https://w.pia.jp/t/hitomiyaida20th/
TICKET DELI:http://ticket.deli-a.jp/

□ ライブ詳細
https://yaiko.jp/event/330617

□ お問合せ
ソーゴー東京:03-3405-9999(月~金 12:00~13:00 / 16:00~19:00 ※土日・祝日を除く)
http://sogotokyo.com/

※ライブ配信サービスに関して
https://info.thumva.com/html/help.html


■ 矢井田 瞳 オフィシャルサイト
https://yaiko.jp/

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Release

矢井田 瞳 11th Album
「Sharing」

2020年10月14日発売

-収録曲-

□ CD
01. いつまでも続くブルー(Yaiko Band ver.) ~日本テレビ系「スッキリ」2019年9月度エンディングテーマ~
02. あなたのSTORY ~産経新聞社プロジェクト「#コロナの先で」希望のSTORY~歌のチカラ~ソング~
03. It’s too late? ~高高-takataka-カバー曲~
04. Gradation
05. かまってちゃん。
06. ネオンの朝 ~関西限定シングル~
07. はだしのダイアリー
08. きっとJust fine ~GAKU作曲~
-BONUS TRACK-
09. あなたのSTORY(Yaiko Band ver.)

□ DVD
1. My Sweet Darlin'(Live at 大阪市中央公会堂, 2020.2.23)
2. MOON(Live at 大阪市中央公会堂, 2020.2.23)
3. あなたのSTORY(Music Video)
4. ネオンの朝(Lyric Video)
5. Go my way(Music Video)
6. B'coz I love you(Music Video)
-秘蔵映像-
7. DARLING, DARLING(Live at LONDON, 2001.4.25)

※BONUS TRACKに「あなたのSTORY(Yaiko Band ver.)」を収録

■ ダウンロード・アルバム
収録曲:全8曲収録
01.いつまでも続くブルー(Yaiko Band ver.) ~日本テレビ系「スッキリ」2019年9月度エンディングテーマ~
02.あなたのSTORY ~産経新聞社プロジェクト「#コロナの先で」希望のSTORY~歌のチカラ~ソング~
03.It’s too late? ~高高-takataka-カバー曲~
04.Gradation
05.かまってちゃん。
06.ネオンの朝 ~関西限定シングル~
07.はだしのダイアリー
08.きっとJust fine ~GAKU作曲~

Sharing

限定盤(CD+DVD)

ZLCP-0399 / 3,454円+税

Sharing

通常盤(CD)

ZLCP-0400 / 2,272円+税