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10代の初期衝動と、20代の多様化していく音楽的興味。梅雨の合間のにゃんぞぬデシワールド!

June 15, 2019 14:20

にゃんぞぬデシ

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10代の初期衝動と、20代の多様化していく音楽的興味。梅雨の合間のにゃんぞぬデシワールド!

梅雨の晴れ間ならぬ曇り間。渋谷eggmanに足を運んだ。にゃんぞぬデシ、5ヶ月ぶりのワンマンだ。

1曲目はミニアルバム『魔法が使えたみたいだった』からの「スーパースター」。都会、とりわけ渋谷のことにも触れているナンバーで、“都会の孤独”のような、誰にでもあるナーバスな感情と、それを吹き飛ばすようなパワフルなバンドアンサンブル。そうそう、これこれ。続いての「偶然」は、恋する女のコのある種強引な感情、つまり“偶然”、“必然”、“運命”という、“自分勝手な解釈”をポップに聞かせていく。女子の脆さとそれに相反する芯の強さ、そのパラドックスが痛快だ。「Miss Merryが憂鬱」なんか、うってかわってアダルトかつジャジィなシャッフルナンバーだし、5日前に完成したという「愛のある言葉」はビートルズっぽくもあり、彼女の引き出しの多さを垣間見た気がする。

MCで触れていたが、彼女は普段アコギ1本で作曲することが多いらしい。弾き語りで披露された「ガール都営浅草線」は高校生の時に作ったという名曲(と言っていいんじゃないかな)で、その初期衝動が強く印象に残った。昭和フォークっぽい曲なのだが、サビは“まもなく終点西馬込〜”と強烈。何より“西馬込”っていうのが最高じゃないか。フォークと言えば「ららららら」。ごはんと味噌汁みたいに、我々日本人のDNAに染みわたるようだ。バラード「決まってる」も美しかった。ピアノとボーカル。いいバラードは、これでいい。

nyanzoudeshi2019061502.jpgメンバー紹介を挟んでライブは後半へ。ワウをかませたカッティングからなだれ込む「ネコの原理」は、ねこじゃらし片手に延々と続くコール&レスポンスが前回よりもパワーアップ。「同じ空の下どころか」は展開の激しいプログレッシブな楽曲なのだけど、楽しくノリ良く聞かせてくれる。切なさを湛えた「BTB海岸」、心揺さぶられるバラード「8月のカーニバル」まで、緩急織り交ぜたにゃんぞぬデシワールド。知らない間に、その沼にまんまと引きずり込まれていった。アンコールでは、7月スタートドラマ『Iターン』のオープニングテーマに抜擢されたという「勘違い心拍数」が初披露された。暴れるドラムにうねるベース……“ドキュンバキュン”という過激な詞も、デシならでは。これまでになくエッジィに仕上がっていて、この日一番のインパクトだった。

nyanzoudeshi2019061503.jpg後から知ったのだが、この日のセットリストの大半がまだ音源化されていない楽曲だったそうだ。にも関わらずあのライブハウス全体に流れていた一体感。次回のライブに向けて予習復習したいところだが、楽しみは次のライブにとっておこう。(次回8月4日、バースデイ・ライブが発表されたのでチェックしてみてほしい)10代の初期衝動と、20代の多様化していく音楽的興味。気まぐれな猫のようにそれらを行き来するバランス感覚。そのおいしいところがこの日のライブには出ていたように思う。

文・松本圭介
カメラマンクレジット:斉藤 明


□ セットリスト
1. スーパースター
2. 偶然
3. Miss Merryが憂鬱
4. 愛のある言葉
5. ガール都営浅草線
6. 知らない人
7. 決まってる
8. 気分予報士
9. ららららら
10. ネコの原理
11. 同じ空の下どころか
12. 泣く子も笑う
13. BTB海岸
14. 8月のカーニバル
EN1. 勘違い心拍数
EN2. 曲


■ にゃんぞぬデシ オフィシャルサイト
http://nyanzonudeshi.com/

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