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磯貝サイモン、デビュー10周年記念ライブに豪華ミュージシャン・アーティストが集結!

November 29, 2016 14:00

磯貝サイモン

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磯貝サイモン、デビュー10周年記念ライブに豪華ミュージシャン・アーティストが集結!

シンガーソングライターとして、楽曲提供・プロデューサーとして、サポート・ミュージシャンとして、愛され続けた10年間に感謝をこめて。“磯貝サイモン デビュー10周年記念SPECIAL LIVE~今日は1日予測不能~”が、2016年11月22日、東京・TSUTAYA O-EASTで開催された。

18時40分、5人編成のバンドが奏でる♪ハッピーバースデー10年♪のメロディに乗せ、ラインストーンをあしらった白のドレスシャツ、黒のクロップドパンツ、赤いソックスでお洒落に決めたサイモン登場。1曲目は「君はゆける」だ。10年前の今日、11月22日にリリースされたデビュー曲を、あの頃と変わらない柔らかく伸びやかな歌声で、キーボードを弾きながら笑顔で歌う。続けて、セカンド・シングル「初恋に捧ぐ歌」。さわやかな明るさの中に、メランコリックなメロディと純情な思いを詰め込んだ、初期サイモンの代表曲連発に、フロアを埋めたオーディエンスもみんなニコニコ。会場全体がお祝いムードいっぱいの、華やかなショーの幕開けだ。

「僕より楽しんでくれる自信ありますか? 僕がこの中で一番楽しむ自信があります!」

アコースティック・ギターに持ち替え、明るくポジティブな人生応援歌「30」では、決めどころの手拍子もばっちり揃った。みんなサイモンの曲を隅から隅まで知っている。笑って一緒に年を取ろう。明るい曲だが、リアルな歌詞が胸に沁みる。続いてはエレクトリック・ギターを手にして、Kyleeに提供した「CRAZY FOR YOU」のセルフ・カバー。ロックな曲調で、ラウドに疾走するサイモンもいい感じだ。

ここで本日一組目のゲスト。Kが登場すると、華やかなライブが一層明るさを増す。同い年の音楽仲間ならではの、軽妙、饒舌、ユーモラスな語り口に、笑い声が絶える暇がない。曲は、昨年のKの10周年記念ソングとしてふたりが共作し、サイモンの10周年でも一緒に歌おうと約束していたという「Years」。Kのソウルフルな歌声と、サイモンの声とのハーモニーが見事に決まる。

続いてのゲストは、寺岡呼人。デビュー当初から共演も多いふたりだが、今まで一緒に曲を作ったことはなかった。のだが、今日は念願かなっての共作曲「time」の初披露だ。“緊張して手が震える!”と言いながら、ビートの効いたバラード調の美しいメロディを、真剣なまなざしで歌うサイモン。彼がこれから30代、40代、50代と歌っていく中で気づくであろうことをメッセージとして埋め込んだ、寺岡呼人の書いた歌詞がいい。この曲は、2017年1月11日にリリースが決まったニューアルバム『sponge-like』の中でも、特に大切な1曲になるはずだ。

せっかくだから3人でやりましょう。と、再びKを呼び込み、歌うは寺岡呼人のオリジナル曲「バトン」。うれしそうにギターソロを弾きまくるサイモン。“僕は再来年で30周年。まだまだ青いぜ!”と、サイモンにエールを送る寺岡。世代を超え、音楽で結ばれた絆の強さを感じるいいシーン。

ふたりを送り出し、バンドもステージを下り、ひとり残ったサイモンがキーボードの前に座る。しっとりと、弾き語りで披露したのは「この映画館を出たら」。ちょっとオクテの、夢見る少年の、現実と空想の間を描くような、ロマンチックなラブストーリー。サイモンが持ち続けるピュアな少年性が、きゅんとするメロディに素直に溶ける。広い空間を、声とピアノだけが優しく漂ってゆく。

スキマスイッチ、ナオト・インティライミ、GAKU-MC、大塚愛、KARAのヨンジ、Skoop On Somebody、DREAM、佐藤竹善。前半から後半へ、セットチェンジの間に流された“10周年お祝いムービー”の顔ぶれと、サイモンへの惜しみない賛辞が、この10年間の活動の広さと深さを物語る。みんなサイモンが大好きなんだ。

20時5分。チェックのベストに赤いネクタイ、服を着替えたサイモンが、本日3組目のゲストとして迎え入れたのは椎名慶治。デビュー当初に同じ事務所に所属し、現在もSHINAMON’Sとして気ままな活動を続けるふたりの関係の深さは、サイモンいわく“長くなるのでインターネットで調べてください”。と言いつつ、どちらも負けず劣らず、ツッコミタイプのしゃべり上手。爆笑トークの連発でぐいぐい盛り上げ、ニューアルバム『sponge-like』に収録される共作曲「後戻り出来ないあみだくじ」でさらにヒートアップ。そのまま続けて、椎名のSURFACE時代の代表曲「さぁ」を、オーディエンスと共に大合唱。椎名は再来年でデビュー20周年。良き先達に守られ煽られ、サイモンの歌にもいつも以上に気迫がこもる。

さぁ、いよいよ、4組目のゲスト。サイモンがツアーメンバーとして参加しているflumpoolからギターの阪井一生、同じくツアーメンバーのヴァイオリン・吉田翔平、そしてレミオロメンからドラム・神宮司治。世代の近いミュージシャン、仲良し同士ゆえ、トークは自然体でリラックスしたムードだが、演奏が始まるとがらりとムードが一変。アルバム『sponge-like』収録予定の新曲「不感症クリニック」は、阪井一生と磯貝サイモンの共作曲で、一生いわく“サイモンさんが歌わなさそうな曲をあえて作った”という、猛烈にへヴィなロック・チューン。神宮司が重いビートを叩き出し、サイモンと一生のツイン・リードがうなりをあげる。なんともびっくりの挑戦だが、歌詞の世界、キャッチーなメロディはあくまでもサイモン流。同世代の後押しで、新境地に挑む姿が頼もしく、かっこいい。

一生が来れば、もちろん彼も来る。flumpoolのボーカル・山村隆太。“楽屋でみんなしゃべりすぎ”と、にぎやかな舞台裏を暴露しつつ、ツアーメンバーとしてのサイモンの存在に心からの感謝を述べる、その言葉はとても誠実だ。曲はサイモンのリクエストで、大好きな曲だというflumpoolの「Hydrangea」。隆太が一番を、サイモンが二番を歌う。サビでは、センターマイクにサイモンと隆太が寄り添って歌声を合わせる。なんていいシーンだろう。

「後半戦、盛り上がる準備はできてますか! 一緒に楽しんでいきましょう!」

3人のホーン・セクションを迎え入れると、ここからはアッパーな曲を連ねて一気に駆け抜ける。さわやか&ファンキーなサマー・チューン「恋するフィッシュ」ではミラーボールがきらきら回り、「ホータイ」は全員でタオルをぐるぐる回す。♪10周年ありがとう、と歌うと、♪10周年おめでとう、と返す、コール&レスポンスもばっちり決まった。「ホントのハジマリ」では、電飾を仕込んだサイモンのエレクトリック・ギターがド派手に輝き、「welcome to my party」は、♪ようこそ渋谷O-EASTへ、と歌詞を変えて盛り上げる。曲の途中で曲をストップ、腕を上げたままのオーディエンスをいじる演出もお約束だ。そして17曲目、本編ラストを飾ったのは、おなじみ超ポップなドタバタ大慌て等身大ソング「あ・く・せ・く」。ハンドマイクでステージ狭しと動き、歌い、飛び跳ねるサイモン。ワクワクしようぜ。ドキドキしようぜ。シンプルなメッセージが、アニバーサリー・ライブを力強く締めくくる。

時計を見るとそろそろ21時半、だがパーティはまだ終わらない。サイモンと共にアンコールのステージに上がったのは、名古屋テレビ(メ~テレ)のキャラクター、心優しきオオカミのウルフィくん。彼のために作ったテーマ曲「サンキューウルフィ」に乗ってレッツ・シング&ダンス。未CD化曲だが、サイモンらしさ満開の明るくせつなくキュートなポップ・チューン。知らない方は今すぐチェックを。

ルルル、ルルル。不意に鳴り響く電話の着信音。サイモンがケータイを取り出す。“もしもし”“もしもし。今どこ? 岩沢だけど” 次の瞬間、電話を手にしたゆず・岩沢厚治がステージに現れると、湧き上がる拍手、歓声、嬌声、どよめき、その他もろもろ。サイモンがゆずのツアーサポートをつとめている縁で実現した、スペシャル・シークレット・ゲストだ。“10年前の僕に教えてあげたい。夢のステージです”と、興奮を隠せないサイモン。岩沢のハーモニカとコーラスを添え、よりハートフルな輝きを増した「low battery’s song」を、笑顔で聴き入るオーディエンス。世代を超えた音楽の絆が生み出す、これもまた美しい名場面。

「10周年のお祭りの締めくくりとして、これからの所信表明として。11年目のスタートの合図に、この曲をお届けします」

最後の最後、万感の思いを込めて歌い上げたのは、新曲「重々承知のハイジャンプ」だ。ヴァイオリンには吉田翔平。夢なんてかなわなくてもいい。それより大事なのは、夢を追いかけ続けること。そんなふうに歌いかける、ハートウォームなポップ・チューン。シンプルな言葉の中に、音楽という夢にすべてを賭けてきたサイモンの思いが深くにじむ。これもニューアルバム『sponge-like』に収録予定。どうやら、本当の名作になりそうだ。

メンバーと共に挨拶を終え、ひとり残るサイモン。ここを去るのが惜しいかのように、マイクに向かって今の思いを語る。アーティストとしてかっこよく締めくくるよりも、ひとりの人間としてみんなと同じ場にいたい。そんな思いを感じる、サイモンらしい終わり方。

「今日のみんなの笑顔、声、ハートを受け取って、力をもらってまた走り出します。これからもよろしく。ありがとう」

ナオト・インティライミは“天才です”と言った。山村隆太は“サイモンさんが入ってflumpoolは本当に変わった”と言った。岩沢厚治は“僕らよりもゆずの曲に詳しい”と言った。多くのミュージシャンに頼りにされる男。そして多くのファンに愛される男。磯貝サイモンの人間と音楽が凝縮された、素晴らしい3時間半に大きな拍手を送りたい。こちらこそありがとう。そしてこれからもよろしく。


Text:宮本英夫
Photo:小川舞



■ 磯貝サイモンオフィシャルホームページ
http://isogaisimon.net/

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