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【コラム】オフィス オーガスタ特集 Vol.4 前編

【コラム】オフィス オーガスタ特集 Vol.4 前編

February 12, 2016 19:00

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ー 半田さんが「あぁ、やらかしちゃったな。」と思ったエピソードは?

シングル『ボクノート』を作っていた時ですかね…。昔から大橋も常田も歌詞をとことん詰めていくタイプなので『ボクノート』も例に漏れず、すごく悩んでいたんです。ありがたいことに世の中にスキマスイッチが認知され始めていた時期だったので、ちょっと異常なぐらいに忙しく、レコーディングもピンポイントで組み込まなくてはいけないというタイトなスケジュールで毎日動いていました。歌録りの当日…というか、歌いながらもまだ歌詞について彼らも僕も悩んでいました。でも仕上げなくちゃいけないから、「まずは録りましょう。」ということでレコーディングを続けてしまいました。だけどやっぱり何か違うと思い、録り終えた後に僕が「ここの歌詞を変えてみない?」的なことを言っちゃったんです。録り終わったのに。彼らはそういうギリギリの精神状態でレコーディングをしているわけですから、当然「何で今ごろ言うんだよ!」ってなるじゃないですか。その日からしばらくは、そりゃもう険悪な空気でしたよ。感じてたのは僕だけかもしれませんが…。見かねたマネージャーの樋口が珍しく飲みに誘ってくれたぐらいですから(笑)。


ー 最終的に歌詞はどうなったんですか?

結局、より良い作品にしたいという気持ちはみんな同じだったので、もう一度歌詞を練って録り直しました。その後、スキマスイッチに関してはアルバム『グレイテスト・ヒッツ』(2007年)まで担当し、大橋のソロアルバム『Drunk Monkeys』(2008年)にも携わりました。


ー そういう時期も経て今、半田さんからみたスキマスイッチはどういうアーティストですか?

「隣のお兄ちゃんでありたい。」これは昔から本人たちが言っていたことですが、嘘でも何でもなく本当にそうだと思うし、僕もそう思っているんです、今でも。トップアーティストになりましたし、昔より色々なしがらみもあって、もしかしたらやりにくい部分もあるかと思いますが、でもたまに事務所や現場で会って話をすると、やっぱり隣のお兄ちゃんなんですよね。それが彼らの音楽にも出ていると思うんです。勿論、アーティストとして昔に比べて遥かに成長していますが、根本にあるものは変わっていないなと。


ー 本当のトップアーティストの方って、気さくな対応をして下さる方が多いんですよね。偉そうにしたり斜に構えていたりしない。スキマスイッチさんもその一組で、インタビューやライヴ後の挨拶でも、いつも気さくに真っすぐに音楽の話をしてくれますし。

ああいうキャラクターだからこそ、小田(和正)さんや根本(要)さんに可愛がって頂けて、水野(良樹)くんのような後輩に慕われて、委員会バンドのような素敵な集まりにも呼んで頂けるんでしょうね。彼ら自身も昔から人との繋がりをとても大切にしているんです。ファンの方もそういう面を見ていてくださるから、見捨てないでいてくれるのかなと(笑)。


ー 見捨てないでって(笑)。

最近も大橋が事務所に来ていたんですが、僕のところに寄って来て「最近、松室は新曲ないの?あいつ良い曲書くよね。」ってポロッと言ったんです。これこそ隣のお兄ちゃんだって思いましたよ!


ー まさにそうですね!

普段、大橋ってあまりそういうことを言う人間ではないけど、実はちゃんと後輩を気にしてくれている。それが最近、嬉しかったことですね。


ー それは嬉しいですね。現在はスキマスイッチさんの制作からは離れましたが、最近の彼らの楽曲を聴いて感じることはありますか?

悔しいです。


ー 悔しい?

自分が関わっている時にそういうことをやってみたかったなと。例えば僕が関わっていた頃って、エレキギターの使用をほぼ封印していたんです。


ー ある時期からシンセも解禁しましたしね。

そうなんです。エレキやシンセの封印が解かれる度に「なんだよ、コレやりたかったなー!」って。『ゴールデンタイムラバー』を聴いた時は本当に悔しくて、その話を常田にしたら「ニヤリ」とされました(笑)。


ー アハハ!確かに以前、常田(真太郎)さんも『LINE』のインタビューで、「自分の中でシンセを取り入れるってちょっと怠けているイメージがあるんです。生音じゃないという意味で。」と言われていました。その道を突き詰めている人もいるし、 怠けているわけではないと理解された上でしたが。

サウンド面でもそうですし歌詞の部分も、偉そうなことは言えませんが確実に成長はしていて。書き方の成長もありますが、自分たちが年齢を重ね、年相応のことが今なら書ける、でも当時は書けなかったということも、近くに居たからこそ比べると感じる部分はあります。そういう変化を見るのは悔しくもありますが、楽しいです。僕はスタッフではありますが、深く関わっていた分、いざ離れてみるとファンの皆さんと近いかもしれないですね、スキマスイッチの音楽を聴く時は。


ー ありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。


取材・文・写真/秋山昌未
 

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半田悠さんプロフィール

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原盤制作ディレクター 兼 作家マネジメント 兼 タイアップ&キャスティングプロモーション
2002年入社。スキマスイッチやさかいゆう、新人、松室政哉の担当制作ディレクターを務める他、杏子、COIL、元ちとせなどの制作にも携わる。


■ オフィス オーガスタ オフィシャルサイト
http://www.office-augusta.com/

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