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けいちゃんインタビュー!ピアニストとして原点に還ったミニアルバム『Echoes』の魅力。

けいちゃんインタビュー!ピアニストとして原点に還ったミニアルバム『Echoes』の魅力。

February 13, 2025 18:30

けいちゃん

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ー 例えば最近よく聴いているのは?

ALVA NOTOが坂本龍一さんとコラボレーションしたアルバムかな。「戦場のメリークリスマス」を再構築した曲(「Ax Mr.L.」)が特に好きです。ノイズをふんだんに使ってる曲なんですが、すごく良いですよ。


ー 聴いてみます!5曲目の「Nocturne」は今作で唯一、良い意味でギミックなしの王道曲。こういう曲とサンプリングを多用したギミックのある曲ではどちらが作る上で難しいんでしょうか。

こういう曲の方が若干難しいかもしれません。表現したい音をその楽器1つで出さなければならないので、技術量が試されるというか。特に音色や情景をありのままに表現出来ないところが難しいですね。


ー なるほど。通常ノクターンといえば夜想曲ですが、今回は夕暮れをテーマにしているとか。

具体的な映像が頭に浮かんできたんです。夕暮れに14歳の男の子が、割と緑が多めの田舎道を1人でとぼとぼと帰っている。そんな映像だったんですが、それを表現したかったんです。その男の子に何があったかまでは読み取れなかったんですが、きっと何かがあったんだろうなというのは感じられて。


ー そうやってけいちゃんの頭の中にある映像をMVで観てみたいです。

うんうん。映像化するとよりわかりやすいですよね!


ー ちなみにけいちゃんが14歳の頃は?

多分人生のピークくらい、ピアノの練習を頑張ってた時期ですね。1日6時間とか。夏休みとかは7、8時間練習する日もありました。


ー それはすごいですね!楽曲の話とはズレますが、昨年開催された第2回横浜国際映画祭のクロージング作品『REQUIEM』が、映画『REQUIEM~ある作曲家の物語~』として、今年2月28日(金)より全国公開。先行して観させていただきました!

ありがとうございます!


ー その中でけいちゃんは、神野慎吾役に挑戦。役者としては初の作品となりますが、いかがでしたか?

今までふざけた演技はYouTubeでよくやっていたんですが……(笑)


ー ふざけた演技(笑)。

こういうきちんとした演技は初めてだったので、緊張もしましたがすごく楽しかったです。表現をするという意味においては、演技も音楽も芸術の括りなので、すごい似ているところがあるんですよね。どうやって表現したら良いかとか、どういう間で喋ったら良いかとか。主演の平岡祐太さんの演技を間近で見させてもらったんですが、やはりキャリアの長い一流の俳優って一言一言のセリフがすごいんですよ。自分では表現出来ないような方法がいっぱいあって、とても勉強になりました。平岡さん演じる城島に対して怒るシーンがあるんですが、怒る演技のコツみたいなものを教えてもらいましたし。


ー 公開前なのであまり詳しくは語れませんが、どういうシーンが1番大変だったですか?

海に入るシーンかな。


ー あれって映像ではないんですね。確かに水には入っているように見えましたが、映像かと思っていました。

あれ本当に入ってるんですよ!しかもあのシーンが僕の1番最初の撮影で。真冬だったのでカットがかかったと同時に「寒ーーーい!!」って(笑)。それにただ入るだけではなかったので、怖かったですね。


ー それは大変でしたね。この映画は、作曲・編曲家であり音楽プロデューサーの菅野祐悟さんが監督。菅野さんとは色々とお話されましたか?

すごく仲良くさせてもらいました。「監督って楽しいよ。けいちゃんもやりたくなったでしょう」みたいな話もしましたし、映像のこだわりも聞かせてもらいました。僕もたまに映像を作るので、カットの入れ方など勉強になりました。それとこの映画のサントラでピアノを担当させてもらったので、レコーディングでスタジオにもお邪魔させてもらって、音楽についての話を色々しました。というか、主に僕が菅野さんの音楽を「本当にすごいです!」って称賛する感じだったんですが(笑)。音楽に関しても映像に関しても本当にすごい人で、まさにアーティスト!あ、菅野さんって絵も描くんですよね。


ー それは知らなかったです!

芸術が全て出来ちゃうマルチプレイヤーな人です。今回の映画もアートのようですよね。


ー ええ。アートのような感じで前衛的というか、キューブリック作品のような空気感を感じました。あまり日本ではないような。でもストーリーはしっかりあって。

そんな菅野さんの作品に携われて嬉しかったです。


ー では曲の話に戻りますが、アルバム最後の曲「Fortuna’s Call」は圧巻で、聴くたびに「ブラボー!」ってスタンディングオベーションしたくなる曲でした。

最後にブラボー!と言いたくなるとおっしゃってくれましたが、まさにそうしたかったんです。スタンディングオベーションしながらブラボーと叫ぶ文化って、クラシック独特な気がしていて。だからこの曲はクラシックの、ザ・ブラボーひき出しフィニッシュ(笑)みたいなものを連想して作ったんです。


ー ザ・ブラボーひき出しフィニッシュ(笑)。

いわゆるブラボーをひき出しがちなフィニッシュの仕方を色々と考察して、ラフマニノフのピアノコンチェルトとかも参考にしながら作ったので、そう感じてもらえて良かったです。この曲は「From Impulse」の兄弟みたいなイメージで作ったのでコード進行やフレーズも随所に散りばめて兄弟感を出しました。


ー それはとても感じました。

フォルトゥーナはローマ神話の運命の女神なんですが、その運命の女神フォルトゥーナの呼び声を直訳し「Fortuna’s Call」というタイトルとしました。その運命の女神が降臨していくさまをイメージしたんですが、この曲も僕が得意とする、1曲の中でストーリー展開を作り、場面転換が多い曲の1つです。BPMとかも無視して急にテンポや曲調が変わる方法を使用しました。


ー けいちゃん先生質問です!

(先生っぽく)はい!なんでしょう。


ー この曲のMVに「拡張ピアノ五重奏」とありましたが、拡張ピアノとはピアノ内部の弦を直接叩いたり物を挟んだりする手法で合っていますか?

意味としては合っています。でも僕はピアノに拡張をつけたのではなく、ピアノ五重奏という単語に拡張を付けたんです。だからそこは意味合いが違くて。この曲はピアノ5重奏+ドラムとベースの構成ですが、その構成を表す言葉が多分なくて。トリオ+ピアノ五重奏という言い方はあるけれど、1つの単語では言えないからどうしようか考えた時に、ピアノ五重奏に“拡張”を付けることで、ドラムとベースの入った新しいピアノ五重奏を表現出来るかなと思って、拡張ピアノ五重奏としました。


ー すっきりしました!あのMVでは、けいちゃんがまるで指揮者のように見えました。

まさに弾きぶりが指揮者のように見せたくてあのストリングスの配置にしたんですよ。円を描くように、よりアンサンブル感が伝わる映像にしたくて、ああやって椅子を並べて撮影したので、指揮者に見えるのは本当に大正解です!


ー 2025年にけいちゃんが挑戦したいことを教えてください。

挑戦という意味ではランニングかな。今年の僕のテーマは知識と健康です!あとは挑戦というか目標になるんですが、パソコンを新しく購入したんですよ。


ー それは良いですね。

はい。だからDTMの環境も今までより良いものになりそうで、自分でもワクワクしています。今年はDTMの技術を更に上げたいんです。今後も僕が音作りした作品が世に出ると思うので、『Echoes』を聴きながら(笑)技術アップした作品を楽しみに待っていて欲しいです。


ー ありがとうございました。


インタビュー:秋山雅美(@ps_masayan


■「√Advent」MV
https://youtu.be/udCQXtXsdy4?si=DvxynWLGBDJuzFGI

■ けいちゃん Official HP
https://keichanpiano.com/s/n146/?ima=0933

Release

MINI ALBUM
「Echoes」

2025年1月29日(水)発売

-収録曲-

[CD]
1. HELLO…
2. √Advent
3. YAKVTA
4. Savage-404-
5. Nocturne
6. Fortuna’s Call

[M-CARD]
「√Advent」MUSIC VIDEO
「√Advent」MAKING VIDEO

Echoes

初回限定盤(CD+M-CARD)

TKCA-75257 / ¥3,900(税込)

Echoes

通常盤(CD)

TKCA-75258 / ¥2,500(税込)

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