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けいちゃんインタビュー!ピアニストとして原点に還ったミニアルバム『Echoes』の魅力。

けいちゃんインタビュー!ピアニストとして原点に還ったミニアルバム『Echoes』の魅力。

February 13, 2025 18:30

けいちゃん

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YouTubeのチャンネル登録者数は100万人を超え、総再生回数は3億8千万回を超える、フリースタイルピアニストとして高い人気を得る、けいちゃん。TBS系朝の情報番組「THE TIME,」に毎週火曜日レギュラー出演の他、映画主題歌を手がけるなどピアノを軸とした音楽総合表現者として活躍しているが、そんなけいちゃんが、1月29日(水)にミニアルバム『Echoes』(読み:エコーズ)をリリース。約1年2ヶ月振りとなる待望の今作は、複数の経験や感情が長く続く、または様々な要素が共鳴し合うことを示すニュアンスがあり、過去の出来事や感情が現在に影響を与えているという意味を示しており、今回の作品たちは過去作ってきた楽曲達の血を引き継ぎ、さらに進化したけいちゃんが産み出した渾身の作品となっている。今回は『Echoes』について、更に役者デビュー作の映画『REQUIEM~ある作曲家の物語~』(2月28日(金)より全国公開)について伺ってみた。


ー 1月29日(水)にミニアルバム『Echoes』をリリース。今回の作品たちは過去作ってきた楽曲達の血を引き継ぎ、さらに進化させたとのことですが、改めてアルバムコンセプトや仕上がりについて教えてください。

今まで培ってきた経験や知識などの“過去”があってこその“今”という部分を表現したくて、この1枚に詰め込みました。現時点で僕の集大成です。僕は歌モノ、その他色々と書いてきましたが、やはりピアニストとしてもう一度原点に還って、ピアノでの僕の音楽を極限まで表現したかったんです。だからそういった部分を意識しながら、ピアノの持つ可能性を引き出せるように作っていきました。


ー 『Echoes』の紹介に、“過去の出来事や感情が現在に影響を与えているという意味を示している”とありましたが、けいちゃんの現在に影響を与えていると思える過去の出来事や感情は?

本当に僕は小さい頃からピアノがずっと好きで、やめたいなんて思ったことは一度もないんですよ。


ー それがすごいですよね。

まぁ練習は大変だから辛い時もありましたけどね(笑)。それでもやはりピアノという楽器がずっと大好きで、その想いはピアニストとして仕事になった今も変わらないので、ピアノに対する愛みたいなものはどんどん積み重なっている気がします。今まで色々な場所や人の前でピアノを弾いたり曲を作ってきましたが、ピアノや音楽が好きだと改めて実感する場面が多かったので、やはり僕にとって影響を与えているものはピアノですね。


ー では楽曲についてですが、1曲目の「HELLO…」は、大げさですが世界の始まりというか、母親の胎内にいる感覚になりました。クジラの声や様々な音が交差して不思議な感覚にもなりましたし。

この曲はおっしゃる通り、世界の始まりをイメージしました。「HELLO…」というタイトル自体もそういう部分から来ていて。生命の起源である水や宇宙などをテーマに音作りをし、サウンドにはとてもこだわりました。僕は環境音やノイズなどを音楽の一部として取り入れたい思いが昔からあって。日常生活の中でも様々な音が鳴ってるじゃないですか。


ー ええ。

そういうのも結構音楽として捉えてることが多いんです。例えばトイレ。


ー トイレ?

商業施設だったかな……どこかのトイレに入った時に、電気モーターかなんかが鳴っていて、それがDでレの音だったんですよ。周りに誰もいなかったので、僕はその5度上のラの音をハミングしたらすごく完璧な和音が出来て、気持ち良いなぁ〜ってひとりで楽しんでいました(笑)。


ー それ、急に誰か入ってきたらビックリするやつ(笑)。

大丈夫、ちゃんと確認したので(笑)。でもそんな風に日常には音が溢れてるので、そういう様々な音をふんだんに詰め込んで作りました。


ー 『殻落箱』(2021年)に「√Future」という曲がありましたが、今作の「√ Advent」とは「√」の意味が違うとか。

このルートシリーズってタイトルの意味付けが抽象的なんです。「√」は本来、平方根を意味しますが、今回は道筋みたいな意味付けにしています。「Advent」は到来とか出現、始まりみたいな意味があるので、訳すと「出現に対する道のり」。日本語にするとよく分かんないですが(笑)、僕はその抽象的な意味を織り交ぜてこのタイトルにしたかったんです。


ー なるほど。この曲は、ピアノリフの格好良さに加え、ベースやドラムとのアグレッシブなプレイが印象的で、手に汗握りました!

ベースは二家本亮介さん、ドラムは山本真央樹さんなんですが、本当にお二人とも一流のプレイヤーですし彼らの楽器に対する熱量もすごいので、その熱量が僕の演奏とうまく噛み合って素晴らしい作品になりました。


ー そのアグレッシブさから一転、静かで全く違う雰囲気になりました。けいちゃんが得意とすることだと思いますが。

あれは完全に種まきというか、伏線をばら撒いてるんです。大サビのメロディーを転調させて静かに弾いたのがあのメロディーなんです。この後に大サビが来ますよという伏線なんですが、歌詞がない分すごく自由に発想出来ました。


ー それでも、けいちゃんの頭の中でどう発想が生み出されるのかいつも驚かされるばかりです。

日頃から色々な音楽を聴いて、そういう曲たちからインプットすることはしています。あとは何だろう……僕は熟考してアイデアを練っていくより瞬間的に閃くことが多くて、その瞬間瞬間のアイデアで作業していくタイプなんです。それは作曲する時も同じで、この曲の種まきみたいなシーンもそういう感覚で出てきたアイデアです。


ー 瞬間に出た発想が別の瞬間に変わったりとかは?

結構あります。だから1度作ったものを全て壊したりよくしますね。


ー 続く「YAKVTA」ですが、最初読めなくてそのまま調べたら<焼き板>とか出てきちゃいました(笑)。

読めないですよね(笑)。この曲はお化けの曲なので、ちょっとしたいたずら心的に真ん中の「A」をひっくり返してみました。


ー ホラー感もちょっとコメディタッチですし「動き出すラボラトリー」(『殻落箱』収録)のような楽しさを感じました。

「動き出すラボラトリー」って昔からファンの間で人気だし、ストリートピアノとかでこの曲を弾いてくれる人に出会うこともすごい多くて、あぁこういう曲みんな好きなんだなって昔から思っていたんです。今回は今までの作品の兄弟みたいなものを作りたいと考えていたので「動き出すラボラトリー」の兄弟を作ってみました。僕の母はこの曲が一番好きだと言ってました。


ー そうなんですね。でもこのアルバムの中でどの曲が1番好きか聞かれたらすごく悩みますね。ただ「Savage-404」は、最初からすごく気になった曲でした。

「Savage-404」は作るのに一番時間を費やしたんです。この曲は過去作の兄弟ではなく、今の自分が出来ることを表現してみようと思ったんですが、コード進行が最初から最後まで割と一緒で。だからこそ、いかにサウンドと演奏でグルーヴを出していくかがポイントでした。ちょっと洋楽的でグルーヴ勝負な感じの曲を仕上げたくて。この曲、実は100トラックぐらいあるんですが……


ー 100トラック?!

そう。結構こだわって色々な音を使ったので、その作業が大変でしたね。先程環境音を音楽に取り入れたいという話をしましたが、この曲ではウィンカー音のサンプリングが入っているんですよ。僕、ウインカーの音がすごい好きでウインカーを出すたびに指でリズムを取っちゃう癖があるから(笑)ウインカーの音は入れたかったんですよね。パンを振ったり切り貼りしたり、ガガガガガガってすごい早くしたり、色々とやりました。


ー そういうことお話は面白いです。“Savage”はクールで大胆、不敵な行動を称賛する際に使われる英語のスラングで、悪びれない姿勢がかっこいいというニュアンスがあるそうですが、実はけいちゃんのことかなと。

まぁ、そうですね。僕もそう思っていました。


ー 否定しない!(笑)いや実際、人懐っこさやユーモアを持ちつつ格好良いと思っていますが。

アハハ!基本的に自信に満ちあふれているので(笑)。


ー では、けいちゃんがSavageだと思う人は?

うーん……自分にしておきます。大胆に生きた方が格好良いので。


ー けいちゃんの凄いとことは、こういうことを言い切っても全然嫌味がないし、何なら納得させられちゃうところですよね。

いやいや(笑)。


ー 先程ウインカーの話がありましたが、けいちゃんは車に乗ることが多いんですか?

はい。ほとんど車移動です。


ー 車の中で音楽は聴きますか?例えばご自身の曲とか。

自分の曲を車ではあまり聴かないですね。作りたての曲をずっと流していることはありますが、ある程度時間が経ったら他のアーティストの曲を聴いてます。車内で音楽はずっと流しているし。