井上音生、歌手デビュー曲「あなたに恋をしている」インタビュー。俳優として、初の歌手として体感したこととは。
October 9, 2024 12:00
井上音生
2016年、第8回「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞と集英社賞(りぼん賞)を受賞し、芸能界入りした井上音生(いのうえ ねお)。2018年には、長澤まさみと高橋一生のW主演映画『嘘を愛する女』にて、吉田鋼太郎の娘役として女優デビュー。同年『井上音生のNEOラジ』(RNB 南海放送)にて、RNB最年少ラジオプレゼンターとなり、2021年には、ミュージカル『魔女の宅急便』でキキ役を演じ、トンボ役の那須雄登と共にミュージカル初挑戦でありながら初主演を務めた。役者として着実にキャリアを積んでいく中、10月9日にファーストシングル「あなたに恋をしている」で歌手デビュー。すでに配信スタートしたタイトル曲は、井上と同世代の主人公をモデルにした、恋のはじまりを歌ったラブソング。クールなルックスとは裏腹に可愛らしさを兼ね備えた透明感溢れる歌声と、80年代歌謡曲を彷彿とさせるメロディは、幅広い世代に愛されるであろう。今回はそんな井上音生が芸能界入りしたきっかけや演じた役について、そして歌手デビューや初のオリジナル楽曲「あなたに恋をしている」への想いなどを伺ってみた。
ー 8月18日で20歳を迎えましたが、20歳らしいお祝いはしましたか?
ビールとレモンスカッシュを混ぜたシャンディガフ的なものを、お父さんに飲ませてもらいました。これは、誕生日の直前に『井上音生のNEOラジ』というラジオでリスナーさんにオススメしてもらったお酒なので、折角ならと思い飲んでみました。
ー 酔っぱらったりはしませんでしたか?
1杯だけだったので大丈夫でした。最初なので控えめに(笑)。それにレモンスカッシュでビールの苦さが中和されて飲みやすかったです。
ー 良いですね!井上さんは2016年、第8回「東宝シンデレラ」オーディションで 審査員特別賞&りぼん賞(集英社賞)をW受賞。オーディションに応募したきっかけは?
両親がオーディションのチラシを見つけてきてくれたことがきっかけでした。以前から芸能界に憧れがあったんですが具体的に俳優を目指していたわけではなく、テレビっ子だったのでテレビに出たいという漠然とした憧れがあったんです。それをずっと両親に伝えていたし、元々両親の前で歌ったり踊ったりするのがすごく好きな子だったので応募しました。今もすごく応援してくれています。
ー 漠然とした憧れから、俳優の道を意識し始めたのはいつですか?
「東宝シンデレラ」のオーディション中です。1次審査から合宿審査を経て最終審査という結構長い期間だったんです。合宿審査では同世代の子たちと一緒にワークショップで色々学んでいき、最後に審査員の方たちに披露する形だったんですが、そこで初めて監督やプロの俳優さんに演技をご指導していただいて、演技って面白いと思ったんです。
ー 受賞時は12歳。高校入学と同時に上京されたとのことですが、寂しくはなかったですか?
上京して高校を卒業するまでは、母と飼い猫のあんちゃんも一緒に上京してくれたので寂しさはなかったです。それに中学生の頃は土日に東京でレッスンがあり、休日は東京で過ごしていたので、逆に愛媛と東京の往復がなくなった楽さはありましたね(笑)。だからこそ愛媛に帰省した時は落ち着きます。愛媛は東京に比べると高い建物があまりないので、空が広いし土地の持つ穏やかな雰囲気や自然、何ということない景色でさえ、すごく良いなと感じています。
ー オフの日は何をされているんですか?
NETFLIXを観ながら家で過ごすことが多いですね。実は自分が結構インドア派ということを一人暮らしを始めてから気づいて(笑)。母といる時は母がどこかに連れて行ってくれたり一緒に美術館へ行ったりしたんです。勿論一人で近くのカフェに出かけたりもしますが、計画を立てて外に出ることはあまりしないですね。
ー でもNETFLIXで映画やドラマを観るのも、役者としてはひとつの勉強ですしね。
あぁ……そうですね…
ー あれ?もしかしてそういう感じではなかった?
好きな作品を見ると、やっぱり物語にのめり込んでしまい(笑)。
ー アハハ、でもそれはそれで正解かもしれないですね(笑)。ところで、“音生”という名前は本名ですか?
そうなんです。
ー お名前に音が入ってるって素敵ですよね。
ありがとうございます。歌手デビューすることで、インタビューでも名前に触れていただくことが多くなりました。自分でも珍しい名前だと思うんですが、父が大学で音楽の先生をしているので、娘の名前に“音”を入れたかったようです。それと、“ねお”という響きは、ギリシャ語で“新しい”を意味するので、そういう由来もあるようです。
ー お話を伺えば伺うほど素敵ですね!そして今回、10月9日にファーストシングル「あなたに恋をしている」で歌手デビュー。ミュージカルで歌うことはあるでしょうが、歌手としてオリジナル曲を出すことを知った時はどう感じましたか?
もうびっくりしました!自分の曲って何だろう?って。その時はまだタイトルもどういう曲なのかも決まっていなかったので、どんな曲になるんだろうってワクワクしていました。ミュージカルでの歌い方とは全然違うので不安もありましたが、レコード会社のディレクターの方が、私がラジオで話している声を気に入ってくださったのがきっかけだったので、それはすごく嬉しかったです。
ー 改めてどういう曲に仕上がったか教えていただけますか。
この曲はタイトル通り恋する乙女の曲で、主人公は鎌倉に住む19歳の女の子です。この曲をレコーディングした時もMVを撮った時も私自身19歳だったので、同世代として背伸びせず歌えました。特に歌詞のフレーズ感を大切にするよう指導して頂いたので、そういう点を心がけました。私自身は人見知りだし恥ずかしがり屋なので、こんなにストレートに想いを伝えたことはないですが、曲の主人公になりきって、恋する相手に告白する気持ちを想像して大切に歌いました。皆さんにも恋をしている時のような幸せいっぱいの気持ちになって欲しいです。
ー MVも鎌倉での撮影だったんですよね。
そうなんです。穏やかな雰囲気の鎌倉の風景や海辺での撮影は、恋する主人公の気持ちになれた気がします。
ー 80年代の歌謡曲を感じさせるサウンドですが、私のようにリアルタイム世代にとっては懐かしさを感じました。でもリアルタイムでない井上さんにとって、こういうメロディはどう感じられましたか?
すごく新鮮でした。まさに80年代の歌謡曲がテーマなんですが、初めて聴いた時はもうイントロからすごく素敵だと感じて!鎌倉の海を想像できるような夏感溢れる爽やかなメロディーですし、フレーズの覚えやすさも昔の曲っぽいなと思って。でも自分にとっては新鮮だからこそ、他の方が聴いた時にどう感じられるか不安もありました。私が歌ってきちんと80年代歌謡曲っぽく聴こえるのかなって。でも今、80年代の歌謡曲を感じたと言ってくださったので安心しました。
ー 初めてこの曲を聴かせていただいた時、クールビューティーな井上さんのイメージとは違う、可愛らしさと透明感を感じて惹き込まれました。
ありがとうございます!
ー 普段はどういう音楽を聴いてるんですか?
ジャンルレスで色々聴きますが、独特な世界観を持ってるアーティストさんが好きです。一番好きなのは椎名林檎さん。椎名林檎さんはご自身で作詞作曲もされるし、私には想像出来ないような発想を持っていらっしゃるのでやっぱり憧れますね。なんでこんな歌詞を書けるんだろうって。
ー ではカラオケでも椎名林檎さんを歌われるんですか?
そうですね。でも大人っぽい曲も多いので、例えば「幸福論」や、東京事変の「透明人間」など、少し明るめの曲をよく歌っています。
ー 先ほど、歌詞のフレーズ感を大切にすることを心がけたとおっしゃっていましたが、初のレコーディングはいかがでしたか?
印象に残っているのは、最初の仮レコーディングでヘッドホンを通して初めて生のオーケストラ演奏を聴いた時の感動です。生演奏を聴きながら歌うってすごく贅沢なことだなって。でも本当に綺麗な音色だったのでつい聴き入ってしまって、自分のリズムがめちゃめちゃ崩れてしまって……(笑)。
ー それは焦りますね(笑)。
焦りました!でもレコーディングの時は、渡辺なつみ先生(「あなたに恋をしている」作詞)や、たかはしごう先生(c/w「ラジオパーソナリティー」作詞作曲)が来てくださり、鎌倉の海の写真を見せてくれながら「ここで主人公は暮らしているんだよ」って曲のイメージを教えてくださいました。その他、色々なアドバイスをいただいたり、渡辺なつみ先生とは恋バナで盛り上がったりしました(笑)。
ー 楽しそうですね!
ええ。すごく楽しかったし歌いやすかったです。たかはしごう先生は、私がレコーディングをしている目の前に来て、(手を上げてリズムを取る仕草)こうやって盛り上げて緊張を解してくれたり(笑)。私は緊張しいなので、声が震えたり出なかったりすることもあるので、本当にありがたかったです。