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海蔵亮太、『Anniversary Every Week Project』インタビュー!デジタルシングル連続配信世界記録達成を振り返って

海蔵亮太、『Anniversary Every Week Project』インタビュー!デジタルシングル連続配信世界記録達成を振り返って

June 26, 2024 17:00

海蔵亮太

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“Anniversary Every Week Project 週刊海蔵”と銘打ち、昨年4月から毎週楽曲配信していた海蔵亮太。遂にデジタルシングル連続配信世界記録を達成!その記録は更新中だが、6月26日に全64曲収録の配信アルバム『Anniversary Every Week Project』をリリース。筆者が、これからこのプロジェクトに挑むことを教えてもらったのは昨年2月にリリースされた『Communication 2 ~ Covers』のインタビュー後。この前人未到の挑戦と、そこで海蔵が歌ってきた新曲やカバー曲について伺ってみた。


ー まずは世界記録達成おめでとうございます!

ありがとうございます!


ー 改めて、何故デジタルシングル連続配信世界記録に挑もうと思ったのですか?

プロジェクトをスタートした2023年はデビュー5周年でしたし、せっかく皆さんに5年間も応援していただいたので、皆さんにも楽しんでもらいつつ僕も楽しめる企画がないか考えていたんです。そんな中、毎週連続配信リリースの世界記録があることを知り挑戦したくなって。調べたら現行では54曲連続だったので、それならデビュー5周年の“5”にかけて55曲配信したいと思ったのがきっかけでした。


ー 継続することの大変さだけでなくジャンルも幅広い!YOASOBIから森昌子さんまで。

そうそう(笑)。このプロジェクトではジャンルや世代問わずチャレンジしましたね。でもやはり自分が生まれる前にリリースされた曲は歌う上で苦労しました。だってリアルタイムでその歌を愛していた方々がいるわけですから、時代の空気感やその音楽が生まれた背景など、その時代をちゃんと知らないと歌えないと思って調べたりもしました。当時は学生運動が流行っていたからこういう表現なのかとか、高度経済成長だからこそこういう前向きな歌詞が出てたんだなとか。だからそういう部分を感じながら歌っていました。


ー 逆に一番楽しかった、もしくは嬉しかった点は?

自分が小さい頃、毎週家族で一緒にカラオケに行っていたので、その思い出とリンクする曲をカバー出来たのはめちゃくちゃ楽しかったですね。例えば「アンバランスなKissをして」。この曲は『幽☆遊☆白書』のエンディングテーマだったんですが、兄弟みんな大好きで!『幽☆遊☆白書』といえばオープニングテーマの「微笑みの爆弾」が有名ですが、海蔵ファミリーはどちらかというと天邪鬼というか(笑)。それでもこの曲は本当によくカラオケで兄弟揃って歌っていたので、時を経て今回歌えたのはすごい嬉しかったですね。


ー ちなみに選曲って初めから決めていたんですか?

(小声で)それが全然決めてなくて……


ー そんなバツ悪そうに(笑)

曲決めもレコーディングも、すべてが見切り発車みたいな感じで進んだので(苦笑)、僕だけでなくプロジェクトに関わったスタッフ全員が毎日時間との戦いでした。だから決まったらすぐレコーディングをして少しでも録り溜めていこうって言ってたんですが、皆さんそれぞれ他のお仕事もありますし、僕も昨年は全国で色々なイベントに参加させていただいたので、自転車操業みたいな感じで時間調整や準備に追われていました(笑)。


ー 毎週リリースだけでなく、ミュージックビデオも出されていましたもんね。

もう本当にそう!!シバタくん(マネージャー)からも言っておいた方が良いんじゃないの?

<マネージャー>寝た記憶がないで……

ちょ、ダメダメ!労基が立ち上がっちゃうから(笑)。それは寝るのも忘れるくらい楽しかったんだよね。

<マネージャー>あ、そうです。寝るのも忘れるくらい楽しかったです(笑)。


ー アハハ!ではそういうことにしておきましょう(笑)。でもそんな苦労を経て最初にリリースされたのは、「明日への手紙」(オリジナル:手嶌葵)。どうしてこの曲を最初に?

僕がこの曲を第一弾にしたかったんです。僕自身デビューして色々なイベントなどでファンの方と実際にお会いして、お話したりお手紙をもらうことが多くなったんです。今の時代はSNSで繋がれるけど、その人を感じられる手紙とかが僕はすごい好きで。皆さんから毎日頂くお手紙のように僕も毎週皆さんに、音楽という手紙を届けたかったんです。この「明日への手紙」はそういう自分自身の気持ちや、皆さんと一緒にこのプロジェクトを作り上げていきたいという想いが重なったので、最初の曲にしました。


ー 本当にスタートとしてはピッタリの曲ですね。それと「さよなら人類」(オリジナル:たま)や「WOW WAR TONIGHT ~時には起こせよムーヴメント~」(オリジナル:H Jungle with t)。特に「WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント~」ではアレンジの可能性をすごく感じました。そう来たか!って。

オリジナルとはかなりイメージを変えましたからね。まだ子供でしたが僕もこの曲はリアルタイムで聴いていました。でも社会人として働き出して改めてこの曲の歌詞を見た時、すごく響いたんです。その上で自分が表現するならこういうアレンジが良いなと思って、実際一緒に曲を作ってくださる方たちとも相談しながらガラッと変えました。


ー アレンジに関しては皆さんと話し合って都度決める感じですか?

そうですね。例えばギターを弾きながら「あ、ちょっとニュアンス違ったね」とか、実際に僕が歌ってみて「そうやって歌うならアレンジはこうしてみようか」とか、本当にその場その場で作り上げていくのが、このプロジェクトでのレコーディングだった気がします。


ー そういう中で意見が合わなくなったり、海蔵さん自身が煮詰まったりしたことはなかったんですか?

意見が合わないことはそんなになかったかな。今回は歌をシンプルに届けたかったので、
アコースティックが軸であったんです。曲ごとの歌詞や世界観が好きで僕はカバーさせていただいているので、皆さんにもそれを聴いて欲しくて。だから意見が合わないというより、音作りの着地点はどこが正解かという話し合いはよくしました。あ、でも僕自身が煮詰まるというか、聴くのと歌うのでは全然違うんだなと思ったのは、ビートたけしさんの「浅草キッド」でした。



ー あぁ、この曲は意外でした。

ちょうどこの時期にNetflixで「浅草キッド」のストーリーをモチーフにした同名映画が配信されるのを知って、それを観た人がこの曲も良いなと思って聴いていただけたら僕も嬉しいと思いチャレンジしたんですが……いやぁ〜難しかったですね。基本的にカバーする時はオリジナルを何度も聴くんですが、なにせオリジナルがビートたけしさんじゃないですか。自分が歩んできた音楽や歌の概念とは違うところに魅力があるので、まずそこを理解するのがすごく大変で。かと言ってただ真似するのも違うかなと思って、自分が歌う上でどういう風に折り合いをつけようか、すごく悩みながら歌いました。


ー 逆にタイトルを見ただけで納得だったのは「楽園」(オリジナル:平井 堅)や、「ひとり」(オリジナル:ゴスペラーズ)でした。特に「ひとり」は海蔵さんのひとりゴスペラーズ!

そうですよ。ゴスペラーズさんは5人で「ひとり」を歌ってるのに、僕は一人で「ひとり」を歌っていますから!


ー 頭が混乱してきた(笑)。でも初めて聴いた時は思わず拍手しちゃいました。

あー、嬉しい!アカペラ経験者からしたら、ゴスペラーズさんの楽譜ってすごく難しいんですよ、普通なら行くであろう音階に行かないから。ただ僕もアカペラをやっていたのでコーラスはすごく好きなんです!そういう意味では学生時代に戻りながらレコーディングが出来ました。


ー 「楽園」も、やはりコーラスの厚さに聴き応えがありました。

ありがとうございます。でもこの曲は大変でした。この日、既に3、4曲くらい録っていたので「楽園」のレコーディングが深夜になってしまって、めちゃくちゃ睡魔と闘いながら制作した記憶があります。でもそう考えると本当に全部に思い出がありますね。

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ー そうですよね。「虎」(オリジナル:ハンバート ハンバート)の女性っぽい声も海蔵さんが歌っていると知ったときは驚きました。というか知らないと女性が歌っているのかと思うかも。

これ、実は僕も完成後に聴いた時、時間帯によっては自分の声に聴こえないなと思ったんです。なんか優しくて可愛らしい声の女性だなって(笑)。


ー アハハ!でも本当にそんな感じでしたよ。あの女性パートの表現は女の子っぽさを意識したんですか?

歌詞が歌詞だったので、意識しましたね。


ー エンジニアの力(笑)で可愛らしく変えたわけでは……

ないです(笑)。そこはナチュラルに。お酒で酔いつぶれているパートナーに対して、コラコラって温かく優しく叱ってくれる、普段は頼れるけど可愛らしいところもあってインテリアにこだわっている女性……みたいな設定を自分の中で立てて歌いましたね。本当は女性アーティストの方とのフューチャリングも考えたんですが、世界記録として認められなくなる可能性があったら困るなと思って。


ー 他の人が入っているから認められませんって?

そうそう(笑)。初の試みなので本当に分からないから、それなら全部自分で歌ってみようと思ったんです。


ー でも余す所なく、海蔵さんの歌声を堪能出来るという意味では嬉しいかも。

アイスのファミリーパックみたいに、どれを出しても海蔵亮太しか出てこないみたいなお得感(笑)。


ー アイスのファミリーパックって(笑)。

でも僕も良かったです。今回のアルバムではオリジナル曲もありますが、基本的にはカバーなので僕自身も勉強になりましたし、歌がもっと好きになりました。まぁスケジュール的にはずっと追い詰められていましたが(笑)、自分がこの期間に進んだ道を振り返ると、あぁやっておいて良かったと思えるし、今後さらに面白く歌で表現出来るに違いないと確信出来ます。


ー フィジカルもメンタルも鍛えられた感じですね。

今回のプロジェクト、スケジュールは勿論大変でしたが何が一番大変かって、体調を崩せないことなんですよ!僕、季節の変わり目で絶対体調を崩す人間なので、逆に生活習慣を見直せましたね(笑)。元々は社会人として働いていたので朝早く起きていましたが、この世界に入ってからは夜人間になっていて。だからちゃんと朝起きて、太陽の光を浴びる生活を心がけました。


ー 素晴らしい!そういえば「ベイビー・アイラブユー」のMVでは、多機能型就労支援施設のミライ堂さんで撮影されていましたね。

はい。ミライ堂さんはハンデキャップを背負った人でも社会で輝けることを念頭に活動されている団体なんですが、音楽を通して出会ったのがきっかけで施設にもお邪魔をさせていただき、改めて辛かったり苦しかったり、それを乗り越えたお話を色々と伺ったんです。そういう方々が自分の音楽で元気になったり喜んでもらえる姿を間近で観られたのは僕にとって貴重な経験でしたし、その思い出や記憶をこのプロジェクトで残せたのは良かったです。