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堂珍嘉邦インタビュー!表現者としての想いと、向き合うことで見えてくる真実。

堂珍嘉邦インタビュー!表現者としての想いと、向き合うことで見えてくる真実。

November 15, 2023 17:00

堂珍嘉邦

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ー 堂珍さんと真城さんの声の質の違いが心地良いんですよね。

真城さんの歌声って一度味わっちゃうと抜けられなくて。


ー 言い方がちょっとアレですが……(笑)。

アハハ(笑)。でも本当に素晴らしいボーカリストです。


ー 昨年はソロデビュー10周年ということもあり、ご自身の活動やお気持ちを振り返ることが多かったと思うのですが、MCやインタビューなどで「30代はアーティストとして生きるか死ぬか」ということも言われていましたね。

ソロになり独立した時は夢を追いかけている分、第二の人生が始まると言っても過言ではないくらいの心持ちだったんです。自分にとってソロとはそれくらい大きな決断で。だからこそ一段も踏み外したくないというか……。ひたむきさはあったけど、良い意味でも悪い意味でも肩に力が入っていたと思うので、あの頃関わってくれた人たちにはファンキーだとかぶっ飛んでるだとかよく言われていました。最近知った方にはちょっと想像もつかないかもでしょうけど(笑)。


ー いえいえ(笑)。これは個人的な印象ですが、ソロになったばかりの堂珍さんは尖っているようにも見えましたし、例えばCHEMISTRYの曲は歌わないといった決意のようなものも感じていました。

あぁ、なるほど。きっと変わろう、変わろうと必死だったんでしょうね。そういう意味でのエネルギーがあったかもしれないし。


ー でも今はソロでもCHEMISTRYの曲を取り入れることを含め、どこか自然体というか自由になったように感じます。

そうかもしれません。


ー 何か変化するきっかけがあったんですか?

多分、CHEMISTRYを復帰した2017年頃がひとつの分岐点だったと思います。実は、CHEMISTRYを復帰する直前にうちの親父が亡くなったんです。


ー そうだったんですか……。

僕はアメリカにグラミー賞を観に行っていて、アデルの曲を聴いている時に危篤の連絡を受けて、途中で抜けてすぐ帰ったんですけど。振り返るとその頃は、生死だけではなく色々な別れがありました。事務所のスタッフの入れ替わりもそうですし、復帰することでバンドメンバーと一緒に出来なくなったりもしました。でもそれはある意味、仕方のないことなんです。CHEMISTRYに関して言うと、ソロ活動をするにあたり結果的には僕からレコード会社や事務所を離れた形になったので、色々な経験を積んで大きくなって戻ってきますとは言っても、僕からCHEMISTRYを再始動しようとは言えないんですよ。でもそういう中、タイミングだったのかCHEMISTRY再始動の話があったので、復帰することになりました。要も僕もお互いソロでの活動を続けながら、CHEMISTRYを再始動し、皆さんに二人の歌声を届けることが出来るのは嬉しいですね。


ー 今はいかがですか?

今は楽しく生きることを大切に考えられるようになったかな……。どういう選択をしてどういう音楽をやるべきなのか。良いことも悪いことも、達成感を得られたこともやりそびれたことも沢山ある中で、自分はどこに戻るのか色々考えました。と言っても別に居場所を探しているわけではないんですよ。人って自分の居場所を求めがちだけど、それはきっと後からついてくるものだと思っているし。僕であれば、演者としての自分と向き合ってみたり、歌い手としての自分と向き合ってみたり、曲の中の言葉と向き合ってみたり、たまに弾くギターと向き合ってみたり、お客さんと向き合ってみたり、一個人としての自分に向き合ってみたり。


ー 向かい合うことによって見つかる真実があるのかもしれないと。

そうなんです。ソロをスタートさせた頃は実際やたら尖っていた部分もあっただろうし、理想や妄想みたいなものがあったかもしれませんが、CHEMISTRYや舞台、その他難しいことへのチャレンジを繰り返しながら個人に戻った時、個人の活動をする上で大切なものは何だろうって見返してみたんです。僕は表現者としての欲求に対して、上を目指すことを辞めたくないんです。それは当時のただ闇雲に尖っていた頃の感覚とは違って、現状維持や小さな目標だけを掲げることに甘んじていたくないというか。


ー だからこそ10周年を経てなお、新たな“堂珍嘉邦”をみせてくれるんですね。


例えるなら10周年は色々味わえるような幕の内弁当で。


ー 幕の内弁当?

2017年から再始動したCHEMISTRY、それからソロ活動や舞台など色々な“堂珍嘉邦”がいます。


ー 確かに幕の内弁当っぽいです(笑)。

でしょ(笑)。でもこれからは、そこに少しずつ新しいおかずを入れていくようなものなので、自分でもワクワクしています。


ー ファンクラブメンバー向けの定期的なトークライブも観させていただきましたが、リラックスムードのトークも楽しいですし、ライブは堂珍さん自身も楽しんでいるように感じられました。

実際楽しいです。今年8月にはDrunkboat(ファンクラブ名)もリニューアルしたし、引き続き、磨いていくのでよろしくっす!という感じです!


ー 今年は年11月18日(土)・19日(日)に『堂珍嘉邦 LIVE 2023 “Now What Can I see ? ~Drunk Garden~”』が開催されますね。

今回は新しい曲をライブ発信で考えています。ライブとして聴きたい曲と新しいおかずになる新曲&カバー。そうやって、<欲しいもの>と<新しいもの>をきちんと味わえるように考えています。僕自身、飽き性なのでただ同じことをやっていると飽きちゃうんですよ(笑)。


ー なるほど(笑)。

結果、新たなチャレンジになるので、それなりの苦労もありますが、面白いと思ってもらえるライブを作れるのは何より楽しいし、そうなれるよう頑張ります。


ー 12月15日(金)、16日(土)には『堂珍嘉邦 LIVE 2023 “”Now What Can I see ? ”〜Holy Garden〜』も開催。こちらはどういうライブになりそうですか?

今回はストリングスを入れて、よりクリスマスに特化したムーディーな雰囲気になるよう考えていますので『“Now What Can I see ? ~Drunk Garden~”』とは全然違うライブになると思います。オーケストラでのコンサートは経験がありますが、ソロでストリングスが入ることはあまり経験がなくて。オーケストラの壮大な感じも良いですが、少ない編成の弦だと、アレンジの引き算が出来るのが面白いですよね。あと会場の有楽町 I’M A SHOWってちょっと映画館っぽいんですよ。音響的な面で言うと、反響が少ないデッドで舞台的な感じだと思うので、デッドでも映える曲も面白いんじゃないかなって思っています。来年はCHEMISTRYのホールツアーもありますが、その前に是非ソロとしてのライブで皆さんにお会いしたいです。


ー ありがとうございました。


インタビュアー:秋山雅美(@ps_masayan


■ 堂珍嘉邦 オフィシャルサイト
https://dohchin.com/

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