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松室政哉が目指した「映像が浮かぶ音楽」とは?コンセプトミニアルバム『Touch』インタビュー

松室政哉が目指した「映像が浮かぶ音楽」とは?コンセプトミニアルバム『Touch』インタビュー

April 1, 2021 00:00

松室政哉

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ー そこから更に「Cube」で物語が進んで…。

どーんと深く沈んでいきます。歌詞中の「アイ」をカタカナで書いてあるのもアルバム通しての関連性です。


ー「Cube」は曲調も今までの松室くんの中では珍しい気がしたんだけど。

あまりなかったですよね。打ち込みでちょっと冷たい感じをイメージしました。人の温かみを感じない作りというか。だからこそ「PUZZLE」の後に流れた時、主人公が突き放されるような世界観を作れたと思います。


ー 先行配信の第三弾「Eternal」は、色々な感情や経験を経てさよならした時特有の清々しさみたいなのを感じました。

僕の好きな映画はハッピーエンドなんですよ。でも恋愛映画で言えば、別れてヨリを戻すことだけがハッピーエンドではないと思っていて。だから「Eternal」もめちゃくちゃハッピーエンドだと思っています。この先、二人でずっと一緒にいることが本当に幸せかどうかなんて分からないし、違う道を進み出すこともハッピーエンドだと思うんです。大切なのはその先がちゃんと想像出来るかどうか。そういう映画が、そういうストーリーが、僕は好きです。それと、こういうタイプのバラードは今まで僕的にはあまりなくて。「きっと愛は不公平」や「海月」、「ハジマリノ鐘」など、今までのバラードは、何ていうのかな……粘着力強め?


ー 粘着力って(笑)。

(笑)。まぁ意識的にそうしていたし、そういうのが好きなんだけど、この曲はどちらかというと良い意味でサラッとしているというか、アレンジ的にもテンポ感的にもスーッと心地よく流れていくバラードになりました。


ー 初めからそういうバラードにしようと?

いえ、そういうイメージではなかったんです。だからこそ出来上がった時は僕の中でも新鮮でしたね。


ー 松室くんのプロフィールに「ポップスに選ばれた男」とある通り、今までの楽曲も今作の楽曲もポピュラリティの高さをすごく感じるけど、「Touch」はちょっと他とは違って聴こえました。他の曲も好きだけど、個人的にはこの曲が今作で一番好きかもしれない…。

ああ、嬉しいです。何か肌感が違うんですよね。それは作っている時から僕自身感じていたんです。勿論今までの曲でも多重コーラスや打ち込み、アコギがずっと鳴っている曲は色々ありましたけど、“じゃあ何が違うんだろう?”ってずっと考えて考えて……。これは結果論ですが、やはり世の中に漂っている今の空気なんですよね。コロナは僕の中で、表面的にも潜在的にも影響がありました。歌詞はいつも最後に作るんですが、この曲は珍しく曲を作っている段階から“Touch”という言葉がずっと頭の中にあって、そういうところだと思うんです。自分の中で意識的に変えようとしなくても変わって聴こえるとか、自分自身が感じた違いって。


ー 今作は全曲セルフプロデュースですが、最近は河野圭さんはじめ色々なアレンジャーさんと曲作りすることも多かったですよね。

はい。アレンジャーさんと一緒に曲作りをさせて頂いたことで勉強になったことはめちゃくちゃありました。だからそういう経験がなかった頃のセルフプロデュースと、今のセルフプロデュースでは全然レベルが変わったと思います。今作はバンドっぽさがテーマのひとつにはあったので一緒に喋りながら進めていくことも多かったんですが、例えばレコーディングに参加して下さったミュージシャンの方々への伝え方も変わったし、特に一人でアレンジを作っていく過程は全然違いますね。昔だったら思いつかない発想がいくつも出てきました。


ー 今作でいうと例えば具体的にどういうところ?

「ai」のBメロのリフっぽさなんて、昔なら絶対にやっていなかっただろうし、「PUZZLE」のAメロのリフもそうですね。メインのメロディに対して後ろに入ってくる色々な楽器のフレーズが、アレンジャーさん達との経験によって変化してきました。僕、普段はデモ音源にいくつかのフレーズをいれて、とりあえず音だけ渡して「それを弾いてください」っていう感じなんです。勿論レコーディング時に提案をしたり聞いたりはしますが。


ー ええ。

それに対して今回は、譜面にめちゃくちゃ書きました。必要なフレーズは全部。だから(植松)慎之介に言われましたもん。「松室さんの譜面でこんなの初めて見た。」って。


ー 慎之介くんはインディーズの頃から松室くんの作品でずっとベース弾いていたからね。

そうなんですよね。それだけ今回はこだわりました。今後更にこの『Touch』を、視覚的にも広げたいと思っています。今回、マスタリングが終わってアルバム通して聴いた時、本当に1本の映画を観た感覚で、心地よい疲労感に襲われたんですよ。


ー 映画観るとそうなりますよね。その世界に入り込むから。

そうそう。その感覚になって、また頭に映像が浮かんだんです。どういう映像が浮かぶかは聴いてくれた人それぞれでしょうが、それだって映像化のひとつだと思うんです。今回先行配信した3曲はすでにリリックビデオという形でも映像化していますし、『Touch』はまだ第一弾だから、次もどんどん良い作品を出していきたいです。でも多分僕、ルールを決めて発想したり制作することが性格に合っているんでしょうね。ルールがあるからこそ深く掘っていけるのですごく楽しかったです。


ー 今後のMusicalize Projectとしての夢は?

作品が1本の映画になることですね。まぁそこまではなかなか遠い道のりかもしれないし、実際映画化されればされたで携わる人数がかなり増えるから大変でしょうけど。


ー デビュー前に手掛けた『CR 仄暗い水の底から』のサウンドトラックでも感じたけど、松室くんは劇伴の書き下ろしも得意そうだし。

大変だけどそういうの好きですね。現在ひかりTVで配信中のオリジナルドラマ『ボーダレス』の劇中音楽を担当させてもらったんですが、初めてのことだらけでめちゃくちゃ良い経験でした。総合演出は、オフィスオーガスタが制作したショートフィルム『ボクと君』でご一緒させて頂いた金井紘さんなんですが、まだ映像が出来ていなかったので金井監督から音楽の方向性などお話を聞いたり脚本を読んだりしながら制作に入りました。今回はミステリアスなサスペンスドラマなのでそういうイメージで10曲以上作りましたけど、すごく楽しかったし、良い作品が出来たと思っています。


ー DVD には、昨年メジャーデビュー記念日の11月1日に開催された配信ライヴ映像から全曲収録。昨年はデビュー3年でしたね。

ええ。デビュー日は毎年ライヴをやっていますが、昨年はストリングスカルテットを交えて配信でお届けしました。『Touch』で僕のことを初めて知ってくれた人たちにも、“松室政哉には他にこういう曲があるんだ”って分かってもらえるようなセットリストだと思いますので、是非そちらも観てもらいたいです。


ー 先程の話じゃないけれど、今作は本当に全曲通して聴いた後に主人公に感情移入している自分がいて、物語の中に引き込まれたので今後のMusicalize Projectもすごく楽しみです。

ありがとうございます。まずは『Touch』を皆さんに聴いてもらいたいですし、出来上がったものをどう広げていくかがこのプロジェクト最大のテーマかもしれません。どれだけ時間がかかるか分からないですが、色々な形で視覚的にも表現出来たら最高だし、これからも面白いことは続けていきたいです。


ー ありがとうございました!

インタビュアー:秋山雅美(@ps_masayan


■ 松室政哉 Office Augusta
http://matsumuroseiya.com/

■ 松室政哉 AUGUSTA RECORDS
https://www.universal-music.co.jp/matsumuro-seiya/

Information

Release

CONCEPT MINI ALBUM
「Touch」

2021年3月31日発売

-収録曲-

□ CD
1. ai
2. hanbunko
3. PUZZLE
4. Cube
5. Eternal
6. Touch

□ DVD
Matsumuro Seiya Anniversary Live 2020 “with Quartetto” Online
2020.11.1 東京・STUDIO E-RA
・今夜もHi-Fi
・Fade out
・海月
・どんな名前つけよう
・hanbunko
・ラブソング。
・マーマレードジャム
・主題歌
・Hello innocence
・ハジマリノ鐘
・毎秒、君に恋してる
・今夜もHi-Fi

□「Touch」予約
https://umj.lnk.to/SeiyaMatsumuro_Touch

Touch

CD+DVD

UMCA-10081 / ¥2,800+税

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