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山崎まさよし 25th Anniversary Special マネージャー 向井康太郎氏インタビュー

山崎まさよし 25th Anniversary Special マネージャー 向井康太郎氏インタビュー

February 21, 2020 18:30

山崎まさよし

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ー 以前、映画『影踏み』で初めて山崎さんにインタビュー(https://popscene.jp/feature/044594)させて頂きましたが、確かにそんなに笑顔を見せるタイプの方ではなかったです。映画の作風がシリアスだったせいもありますが。

ええ。だからカメラマンに「笑ってください。」と言われると困りますよね。反対側で僕が変な顔するしかないから(笑)。でも難しいです。多分スキマスイッチの二人ならすごく柔軟にこなすだろうし。まぁ二人組ということもあるでしょうが。


ー それは常田(真太郎)さんも言っていました。インタビューも二人組だからうまく出来ると思うって。

やっぱり。たまに言いますもん。「俺もグループだったらなぁ。」って。「俺が喋らなくても誰かが喋ってくれるだろう。」とか「俺の人形を作ってくれへんかな。」とか(笑)。


ー それはグループっていうより…(笑)。

ただ休みたいだけでしょってね(笑)。


ー その映画『影踏み』ですが、山崎さんはどう演じられていましたか?

本読み段階からずっと立ち会っていましたが、全部頭に入れて臨むタイプではないんです。直前まで台本を読んでいるし、覚えていないこともあるけど、『月とキャベツ』や『8月のクリスマス』をやってきた経験も山崎にはあって、ミュージシャンモードではなく、役者モードにならなければいけないことも本人は分かっているし、何より自分の作品ではなく監督のものだという意識なので、気持ちの持っていき方は違いましたよね。プロモーションもそうです。映画のためならやるスタンスでしたし。

mukai20200221.jpgー 実際、普段山崎さんとはカラーが違うTV番組にも色々出演されていましたね。 正直ちょっと驚きました。

凄かったでしょう。あの頃、山崎に「映画の宣伝になる?」って必ず聞かれましたから。


ー でも『Quarter Note』のプロモーションも正直もっとしたかったんじゃないですか?

そこが大変でした。映画のプロモーションで出演した番組は、基本的に映画の告知しか出来ないんですよ。当然レコード会社はアルバムの告知も入れたいので、僕もその間に立ってバランスが大変でした。映画のプロモーションチームとアルバムのプロモーションチームで山崎のスケジュールの取り合いだし。でもそれだけ映画を大切にしていたんですよね。勿論アルバムだって大切だけど、歌番組に出て「影踏み」を歌う時も「主演映画の」って必ず言っていましたし。ちょっと話は逸れましたが、映画の撮影中も篠原監督やプロデューサー含め『月とキャベツ』のスタッフが多かったので懐かしみながらも、やっぱり共演者が凄い人たちだったのでずっと緊張の中にいたと思います。普段の顔と違いますからね。


ー 撮影期間で特に印象深かったことは?

二日間くらい撮影の休息日があったので一旦東京に帰ったんですが、撮影再開の前夜に現場に戻ったら、撮影チームたちがちょうどバーベキューをしていて。それまでは当然、<役者・山崎まさよし>として接していますが、その時はギターを持っていたので、<ミュージシャン・山崎まさよし>が其処にいたんです。そこで「セロリ」を歌ったり、監督と一緒に歌ったり。山崎まさよしファンの男性スタッフもいて、リクエストに応えて歌ったりもしました。撮影の真ん中くらいで、みんな疲れていた時に役者ではなく本来の仕事の顔で行って、みんなと酔っ払って歌って。そこから2段くらいギアが上がったような気がしたし、スタッフさんとの距離感も縮みましたね。撮影中ってなかなか飲んだりできなかったですから。そうやって飲む機会を作れたことでどんどん良い方向に回っていった気がします。


ー『影踏み』は試写会を観させて頂いたんですが、面白くて結局公開後にプライベートで観に行っちゃいました。

本当ですか。嬉しい。4月にはもう商品化されますからね。


ー それは楽しみですね!更に昨年リリースされた『Quarter Note』は山崎さんらしさもありながら新しさも感じる、興味深いアルバムでした。

ありがとうございます。勿論今回書き下ろした曲もありますが、10年以上前のトラックを使っていたりもするんです。だからベーシストの中村キタローさんに「今回若くない?若くなったよね、曲が」って言われました。例えば「ロートルボクサー」は十数年前に、もうフルで出来ていたんですよ。


ー そうだったんですか!

メロディはハミングでしたし若干メロディラインは変わっていますが、ある程度のデモは出来ていて、それを引っ張り出してきて聴かせてくれたんです。「実は前にこういう曲を作っていたんだよね。」って。僕が「これ、完成させましょうよ!」って。山崎は恥ずかしがっていましたが凄く良かったので完成出来て嬉しいです。で、そういうトラックが他にもないか聴かせてもらったのが「愛にコリータ」。


ー あの曲大好きです!

ああ、そうですか!あと「Regression」と「インターバル」も昔のトラックなんです。


ー「Regression」も楽器の使い方が面白いですよね。

今、ドラムもベースもパーカッションも山崎一人でやっているんですよ。


ー ホームスタジオですよね。

ええ。だから僕が行けない時もエンジニアと二人で作業しているし。でも基本は一人でできちゃうから、家にあるカリンバをいれて「Regression」はああいう感じに仕上がりました。


ー あのリズムやメロディに対してカリンバって驚きましたもん!

カリンバスタートですからね(笑)。 普通ないですよね。あの曲は勿論ツアーでも演る予定です。もうツアーが始まるのが楽しみで仕方ないですもん。


ー この記事を掲載する頃にはツアーも始まっていると思いますが、手応えはいかがですか?

以前カルテットやトリオでのライヴは途中で休憩を入れたんですが、今回は休憩なし。アンコールを入れて2時間!その2時間で見応えのあるものを作りましょうという話にして、山崎もステージ袖に下がらないし、パーカッションセットもない。しかも今までのツアーではアルバム1枚まるまる演ったことがないんですが、せっかくの25周年だし鉄板曲も交えながら『Quarter Note』を全曲やってみるのはどうかと。


ー すごく楽しみですね!先程オーガスタキャンプに対しての変化を伺いましたが、他に向井さんが見たこの9年で感じる山崎さんの「変わった部分」と「変わらない部分」は?

僕と山崎まさよしという個人的な関係性だけで言うと、山崎がイベンターさんとかに「こいつ(向井)が忙しくするんだよ。」って冗談めかすんです、わざと(笑)。でも二人で飲んだりしていると「お前、色々やって欲しいんだろ?」とか「映画どう思った?今後やっていった方が良いかな。」とか言ってきて。で、僕が「色々やって欲しいですねぇ。」って言うと「まぁ……お前がやれって言うならやるよ。」って、ここ1、2年は言ってくれるようになりました。


ー「お前がやれって言うならやるよ。」って最高の言葉じゃないですか。

最高です!まあそれまで8年間くらいかけてひたすら説明しているんですけどね(笑)。だからこそ最近は特に細かく話し合いはするようにしていますし言うことは言う。それがこの8年かけて徐々に変わってきたことです。信頼って……自分で言うのもなんだけど、僕なりに築けたかなと思っています。変わっていないところは、“自分の色が出る曲を書く”。 これに関してはデビューからひとつも変わっていないし、今後も絶対に変わらないでしょうね。急にデジタルに特化した曲なんて書かないし、誰かに歌詞をお願いすることもないだろうし。ただ表現の仕方は変わってくるかもしれません。例えば今まで演ってこなかったカルテットもそうだし。今後…例えばビッグバンドで演ってみたり、トリオとカルテットという7人編成で演るかもしれない。そういう表現が変わることがあっても、軸の部分は決して変わらないはずなので、そこはファンクラブに入ってくれている人たちや、ずっと山崎まさよしの音楽を聴き続けてくれている人たちに対しても、ブレずにメッセージを送り続けると思います。


ー 勿論向井さんは仕事の上で山崎さんと一番親しい存在ですが、あえてデビュー25周年の山崎さんに、ポップシーンという媒体を通じて伝えたいことは?

今、ツアー中なんですが、実は制作に前向きモードなんですよ。アルバムを出したばかりですが曲を書こうかなという気持ちになっていて。無理にとは言わないけど、25周年の記念ソングみたいなものは欲しいと思っています。あ、それは僕が勝手にね。あの時こうだったと明確に分かる25周年のなにかを出して欲しいです。今まで周年の時って結構レゲェを出しているんです。15周年では「HOBO Walking」、20周年では「21世紀マン」。今回も「回想電車」でレゲェを取り入れているし。


ー それって何か理由があってのことなんでしょうか?

いや、山崎も意識していないらしいんですよ。だから多分根付いているんでしょうね。そういう風に、2020年に出したと分かる曲や、象徴になる活動をいっぱい一緒に作りたいし、そういうものが増える年にしていきたいですね。


ー ありがとうございました!


■ 山崎まさよし オフィシャルサイト
http://www.office-augusta.com/yama/

Information

Release

山崎まさよし
「Quarter Note」

2019年11月13日発売

-収録曲-

1.「Regression」
2.「愛にコリータ」
3.「Eyes On You」
4.「ロートルボクサー」
5.「知らんけど」
6.「アイムホーム」(テレビ東京系 金曜8時のドラマ「駐在刑事」主題歌 2018年放送
7.「回想電車」(近鉄TVCM「語りたくなる、伊勢志摩。(2019 春 伊勢神宮編)」/「語りたくなる、伊勢志摩。(2019秋 鳥羽・志摩編」曲)
8.「影踏み」(11月15日全国公開映画「影踏み」主題歌)
9.「プロフィール」
10.「インターバル」
11.「Find Song」

■ 初回盤ボーナスCD
<収録内容> 全8曲
映画『影踏み』オリジナルサウンドトラック

1. Theme of MAKABE -Piano-
2. Theme of MAKABE -All Instrumental-
3. Theme of HISAKO -Piano-
4. Theme of HISAKO -All Instrumental-
5. Theme of YOKO -Piano-
6. Theme of YOKO -All Instrumental-
7. Sun & Moon
8. Sun & Moon -Instrumental-

■ CD購入者特典
クリアファイル(アーティスト写真のアザーカットを使用)

Quarter Note

初回限定盤2CD

UPCH-29350/1 / ¥4,000+税

Quarter Note

通常盤CD

UPCH-20539 / ¥3,000+税

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