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長澤知之、バンドサウンド・ミニアルバム『SLASH』インタビュー

長澤知之、バンドサウンド・ミニアルバム『SLASH』インタビュー

October 8, 2019 11:30

長澤知之

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ー しかも女性からすると「今日が多い日だろうと」って、随分リアルな歌詞だなと思って。ああいうのって女性の友人やスタッフと歌詞のリアルさを話し合ったりするのもなの?

いや、そういうことはしないかな。完全に「ムー」と一緒で、あくまでも自分の中で考えた物語ですね。


ー でもこの曲の最後の歌詞はある意味、ホラーより怖い!

アハハ。サイコに近い怖さかも。


ー 確かに(笑)。それと「Back to the Past」は楽器それぞれの音の粒が立っていて心地よい曲でした。長澤くんの歌い方も今まであったような、なかったような。

僕、この曲のレコーディング時に鼻声になっちゃって(笑)。だからそれを打開するために何度か歌い直したんです。ただなるべく優しく歌いたかったから、オンマイクで歌いたい旨をエンジニアにも伝えて。それだけじゃなく、僕が作ったデモテープを渡してリズムトラックやコーラスワークのイメージを伝えたり、例えば「ドラムは○○っていうバンドのこの曲みたいな音が良いかもしれない。」って、常にエンジニアと意識を共有は大切にしました。それによってマイクの選び方から変わるし。


ー 確かに。

だから今回はレコーディングエンジニアを担当してくれた田中くんにMIXもお願いしたんです。そういう意識共有が最初からうまくいって、最後までどういう方向で行くか分かっていたから、それが部分が音として表れたのかもしれません。


ー「世界は変わる」(先行配信第2弾)は実際、今回のオーガスタキャンプでも歌ったけど、今年のオーガスタキャンプでは長澤くんがすごく楽しそう…というか、気負いがなかったなと思って。

オーガスタキャンプは実際楽しかったですね。今回は<個>がテーマだったから、それなら完全に自分のステージにしようと思って。コラボレーションがオーガスタキャンプの特徴でもあり、例年そこに重きをおいたステージも多くて楽しいけど、僕自身は自分のステージにしっかり向かい合える<個>というのも大好き。だから<ワンマンライヴの時の自分>でいようという気持ちでステージに出て行きましたね。なのであのノリはワンマンライヴの時の僕と同じような感じだと思う。


ー まさにそんな感じ。それこそこの「世界は変わる」の“楽しめるなら楽しめたほうがいいしさ”という歌詞みたいだと感じていました。

良かった、そう感じてもらえて。


ー 個人的に「シュガー」のサビの“ビターな歌はどうだい 口に合わないかい”部分が大好きで!心救われるというか、なんて気持ちに寄り添ってくれる歌詞なんだって。

嬉しい。根本的には人が好きだからこういう歌詞を書くんだと思うけど、結構歌詞全体を通してみると救いがないんですよね(笑)。書いてることと言ったら、また陽は昇るんだよっていうことだけ。そういうことって今までも歌ってきたけど、ある意味普遍的なことだからこそ歌い続けるものなんだだろうな。結構辛辣な言葉を明るく歌ったり、とても優しいメロディで歌ったりすると、凹んでいる気持ちを少し良いものにしてくれるんじゃないかなと思って。音楽ってそういう力があると思うんです。


ー 多分私自身も音楽に救いがあると思っているから、歌詞全体で見た時に救いがなくても、こういうサビの歌詞やメロディに救われるのかもしれない。

僕自身、普段自分が凹んでいる時ってすごいアッパーな曲は耳に入らなくなっちゃって。アッパーだとしてもちょっと自分に寄り添ってくれる曲の方が気持ちが癒えるから、自分が曲を書く時は自分がそういう状態の時に聴きたい曲になるんでしょうね。


ー 長澤くんのビターな歌は?

そのままかもしれないけど、The Verveの「Bitter Sweet Symphony」。あの曲も相当ビターですよね。かなりの要訳だけど、“人生なんてビター・スイートなシンフォニーさ。金を稼いで金の為に生きて頑張って暮らして最後は死ぬだけ”って。


ー うわ、ビターだ…(笑)。

でしょ(笑)。でも言ってることは「シュガー」もそんなには違わなくて。<だけど陽は昇る。また明日はあるよ>ってね。そんな教訓めいたことも歌ってないし、そんな大したことは言えてないけど、ただ自分が思っているビターとシュガーを歌った感じかな。


ー 今作は本当に好きな曲が多くて、「戦士は夢の中」もそのひとつ。 歌詞の内容そのものっていうより、長澤くん自身がこういう歌詞を書く起点は何だったんだろうって思って。例えば実際「ツツジ」を目にしていたんだろうか?とかね。

楽曲をリリースしたら聴く人のものになるから、僕はこう解釈して欲しいということはないけれど、この曲を作っていた頃、実際僕はツツジを見ていたし、あるモチーフがあってそのことを歌っています。


ー そうか。やっぱりツツジは見ていたんだね。アーティストによって、長澤くんのように歌詞の解釈は聴く人に委ねる人もいれば、歌詞の意味やエピソードを語る人もいて。でも長澤くん…つまり曲を作った人もツツジを見ていたんだということが分かるだけで、聴く側にひとつの新たなインスピレーションを生む気がしますね。

まったくその通りだと思います。そんなに詳しくはないけれど、趣味で絵を観に行くんです。その絵の中になにかワンポイントあった時、その意味を考えるし、今おっしゃったようにそこからインスピレーションが湧いて自分なりの解釈が出来る面白さがある。抽象的なものばかりというのもひとつの手だけど、パッと想像出来る何かから意味がなされてくることって確かにありますよね。


ー そうそう。造り手がその色や音を選んだ理由を共有出来るっていうことは素晴らしく幸せなことだから。

確かに。そういうのって普段会話している時よりも、より共感度が増すというか。自分と他人は全く別のものだけど、ある時、音楽という同じ窓を見るようになってひとつになれる。でも同じ窓を観ていても、その先にある風景はそれぞれ違うところを観ていたり。その人その人の解釈があって、共感と違いが同時に楽しめるっていうのが音楽の良いところですよね。


ー そうですよね。今回、amazon購入特典の未発表新録曲「夏休み」は特にそういう意味でも聴き手の想像力が広がりつつ、どこか造り手である長澤くんとも共感を出来そうな曲に思えました。

ありがとうございます!


ー 長澤くんは夏休みの宿題ってきちんとやってた?

やるわけがない!(笑)


ー うわ、言い切った!(笑)

アハハ!


ー 好きな宿題しか手をつけないとか。

あー、そうかも。好きなものへの偏りはありますね。夏休みとは関係ないけど、例えばポテトサラダが好き!となれば、ポテトサラダしか食べない時期もあったし、好きになったらそればっかりやっちゃう。リリースする為の曲を仕上げなきゃいけないのに、絶対にリリース出来ないような言葉しか使ってないアホみたいな曲ばっかり書いてディレクターから「あの曲出来た?」って催促されたり(笑)。


ー なにそれ(笑)。

だから、“そうだよね そうだよね。じゃなきゃ僕いないよってマイギター。”(「夏休み」歌詞)なんだよ。


ー アハハ、ちゃんと繋がった(笑)。一方、TOWER RECORDS購入特典の未発表新録曲「老いパンク」はどちらかというと飲み屋で喋っている絵が浮かんで。

うんうん。


ー しかも最初、タイトルだけ見たら「ダジャレ?」と思ったのに、すごく格好良い曲だし!

アハハ!たまには完全に特定的な人のことを書いている時もあるけど、多くの場合はそこに自分を投影させて自身のことも書いてみたり、全く関係ないテレビの向こう側の人のことも書いてみたりするから、誰かであって誰でもないような人物が出来上がるんですうよね。この「老いパンク」もそうだし。


ー 面白いね。フィクションとノンフィクションがそういう形で混在しているって。

本当にそう。フィクションであっても、その気持ちについて歌っていることは完全なるノンフィクションだったりするから。フェイクとかリアルっていう言い方はあんまり好きじゃないんだけど、でもそういうものなのかなって思っています。


ー 12月から始まるツアーも楽しみにしています!

はい!是非遊びに来てください。今作、面白い作品に仕上がったと思うので、多くの人にも来て欲しいですね。


ー ありがとうございました。


インタビュー:秋山雅美(@ps_masayan


■ 長澤知之 オフィシャルサイト
http://www.office-augusta.com/nagasawa/

Information

Release

バンドサウンド・ミニアルバム
「SLASH」

2019年10月2日発売

-収録曲-

M1. ムー ※先行配信第3弾好評配信中‼︎
M2. Back to the Past
M3. 90’s Sky
M4. KYOTON ※先行配信第1弾好評配信中‼︎
M5. いつでもどうぞ
M6. 世界は変わる ※先行配信第2弾好評配信中‼︎
M7. シュガー
M8. 戦士は夢の中

10月2日(水)発売 長澤知之NEWミニアルバム「SLASH」購入者オリジナル特典決定!
・TOWER RECORDS(オンライン含む):未発表新録曲「老いパンク」CD
・AMAZON:未発表新録曲「夏休み」CD
※CD特典は無くなり次第終了になります。

SLASH

CD

POCS-1830 / ¥2,530(税込)

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