POPSCENE - ポップシーン
POPSCENE - ポップシーン
スキマスイッチ、約3年ぶりのオリジナルアルバム『新空間アルゴリズム』インタビュー

スキマスイッチ、約3年ぶりのオリジナルアルバム『新空間アルゴリズム』インタビュー

March 12, 2018 19:30

スキマスイッチ

0
シェア LINE

ここのところ、アルバムを引っさげていないライヴ【POPMAN’S CARNIVAL】や、他のアーティストプロデュースによるコンセプトアルバム『re:Action』のリリースなど挑戦を重ねてきたスキマスイッチが、約3年ぶりにオリジナルアルバム『新空間アルゴリズム』を3月14日にリリース。漢字とカタカナを組み合わせたタイトルは初期からのファンには懐かしささえ覚えるだろう。原点回帰をテーマにしたという今作は、曲もシンプルでストレートなアプローチが多い。デビュー15周年イヤーの2018年、原点回帰を意識した理由(わけ)や、楽曲について色々と伺ってみた。


ー 今作『新空間アルゴリズム』はどの曲も素敵で、スキマスイッチさんらしさをしっかりと感じつつ、よりストレートな楽曲が多い印象を受けました。

大橋・常田:ありがとうございます!


ー オリジナルアルバムとしては『スキマスイッチ』から約3年ぶりですね。

常田:途中、10周年もありましたがシングルをリリースした後にアルバムをリリースしてツアーに挑むという、同じようなルーティーンを繰り返しながら作品を作ってきた集大成…というか結論のようなものが『スキマスイッチ』でした。かなり色々なことを考えながら緻密に作り、これが今出来る最大限ということであのタイトルにしたんですが、そこで納得出来る作品を作り終えてこれから何をしようかと考えた時に、アルバムを引っさげていない【POPMAN’S CARNIVAL】や、コンセプトアルバム『re:Action』、カヴァーライヴ【THE PLAYLIST】など、外からの因子として求めて活動してきました。そこで受けた新しい刺激を今回のアルバムにぶつけてみたいと思ったんです。そこが今迄と大きく違う部分だと思います。


ー 確かに色々な挑戦で楽しませて頂きました。

大橋:『スキマスイッチ』を作り終わっても、次にどういう作品を作るかすぐにはなかなか考えられない中で、色々な活動から刺激を受けるインプット期間があり、オリジナル・アルバムとしては3年4ヶ月くらい空いてしまいました。そういう中でよく二人が話したのは「原点回帰をキーワードに作ってみようか」ということ。三部作として作ったデビュー当時のアルバム(『夏雲ノイズ』『空創クリップ』『夕風ブレンド』)の頃って、そんなにテクニックも知識もない中でとにかく自分たちが作りたいと思うものをがむしゃらに作っていました。やり方も分からない中で…。でも衝動的に曲へ向かいながら『スキマスイッチ』というアルバムに至るまでに、当然テクニックは身につけました。ただ、テクニックや経験値で曲を作れるようになっていくにつれ、その衝動的な部分が外に向けてというよりは、内向きになっているのかなという印象が自分たち自身あったんです。


ー 内向きというのは、自分たちがやりたいことの追求ということですか?

大橋:そうですね。歌詞についても「違う言い回しでこういうことが表現出来ないだろうか?」と考えた時、テクニックで作品に落とし込めるようになってきている分、少し難解な方向へ向かってしまっているというか、ある部分ではお客さんを少し置き去りにしている部分があったかもしれない。でも『スキマスイッチ』を作った時は、それがやりたいことだったし、それでこそ今のスキマスイッチだという感覚だったんです。


ー そういう経験を踏まえての原点回帰。

大橋:ええ。とは言え昔とは同じにならないと分かっていたので、その当時のマインドだけ持っていれば良いアルバムが出来そうだと思えたんです。先程言ってくださったストレートな印象というのは、歌詞も含めてあえてそういう言葉を選んだからかもしれません。

常田:作っていても、ストレートに伝わらなければいけないものがあるだろうと感じていましたし、以前なら曲順も違っていたと思うんです。『スキマスイッチ』の頃は、こうは捉えて欲しくないという想いも強くてコントロールしていた部分があったかも。でも卓弥の言うように、デビュー当時はそんなことを考えもしないし、やり方も分からない。難解な作品を作りたければ作るだけだったし、シンプルな作品を作りたければ作るだけだったし。


ー キャリアを積んでこその原点回帰は、新たな面白さもありますからね。

大橋:そう思います。


ー デビュー15周年イヤー突入ですね。おめでとうございます!

大橋・常田:ありがとうございます|


ー 以前、10周年記念シングル 『Hello Especially』の取材をさせて頂いた時に、制作面で10年を意識することはあっても、それ以外で10周年を意識したことはないとおっしゃられていましたが、15周年イヤー突入も同じような感じですか?

常田:「15」という数字に関して意識することはないけれど、長いことやらせて頂いているなという感覚はありますね。というのも、最近お仕事する方に「小学校の頃に聴いていました。」と言われることも結構あって、“ああ、そんなになるんだ”という気持ちにはなります。


ー それは卓弥さんも同じですか?

大橋:“もう15年か…”とは思います。10周年の時も同じですが、最初は10年、15年やれるとは思っていなかった…もっと言うと、10周年や15周年に向かって頑張っていこうと思ってやっていたらもう少し意識はしたかもしれませんね。でも、ただひたすら一生懸命に走っていたら周りから「15周年だね。」「おめでとう!」と言ってもらえるようになっていたというか。


ー 先程卓弥さんが「原点回帰とは言え、昔とは同じにならないと分かっていた」と言われましたが、逆に自分にしろ相手にしろ当時と変わらないと思う点はどういうところでしょう?

常田:やっぱり今も昔も卓弥は歌というものを意識しているなと感じますね。作詞作曲して歌って、一人ならシンガー・ソングライターになるんでしょうが、スキマスイッチとして、特に歌への意識の高さは感じます。傍らで見ていると、それこそ二人でカラオケに行っていた頃から(笑)そうでしたね。勿論昔より今の方がずっと強いと思うけど、変わらないまま、どんどん強く大きくなっているんじゃないかな。


ー シンタさんご自身は?

常田:何でしょうね…チマチマしているところ?(笑)

大橋:(笑)。

常田:デモを作った時も含めて、卓弥に聴かせる時には「いいね!直すところ全然ないよ。」と唸らせたいとずっと思っているけど、なかなかそういう日は訪れないです(笑)。でもいつかは僕も卓弥も納得して「OKだよ!」となるものを作ることが永遠のテーマです。勿論好き嫌いもありますから、なかなかそうならないことは分かっていますけど、いつかは作りたいですね。


ー 卓弥さんは?

大橋:シンタくんの変わらない点は、昔から曲をすごく丁寧に作ること。「ここはこれでいいんじゃない?」って妥協するシンタくんを僕は見たことがないですし、細部に至るまで色々なことを何度もチェックします。そういう意味では僕の方が少しズボラな部分があるでしょうね(笑)。ズボラというかシンタくんに任せるというか。