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長澤知之 特集 第一弾!初代マネージャー野澤由佳子氏インタビュー!

長澤知之 特集 第一弾!初代マネージャー野澤由佳子氏インタビュー!

March 23, 2017 20:00

長澤知之

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2006年、シングル『僕らの輝き』でメジャーデビューしたシンガーソングライター長澤知之。唯一無二のアシッドボイスと楽曲センスで根強い人気を博す彼は、昨年デビュー10周年を迎えた。更に今年4月12日、デビューからのリリースを総括するアンソロジー・アルバム『Archives #1』をリリース。今回は11年目を切り出した長澤知之を支えてきた人たちを中心に、4回にわたり大特集!第一回目は、長澤を発掘しデビューに導いた立役者、初代マネージャー野澤由佳子さんのメールインタビュー!


ー 初めて長澤さんのデモテープを聴いた時、どう感じましたか?

金縛りにあった感じ。動けなくなりました。びっくりしました。その時、土曜日の昼間で事務所には誰もいなかった。この感動を誰かに話したかったけど、誰もいませんでした。確かMDの1曲目は「あとの祭り」だったと思います。メロディと歌詞とサウンドの雰囲気、その中の声の存在感。絵本のような映像が頭に浮かんできて、胸がざわつきました。夢中になって何回も通して聴きました。それまでにデモテープを多分1000本くらい聴いていて、こんなことは初めてでした。何歳?何してる人??聴いたことがない声だ。凄く興味がわきました。プロフィールの写真はすごく若くて、もちろん年齢も若くて。更に驚きました。自宅や移動中も毎日、気づいたらずっと聴いていました。あっという間に中毒になっていたのです。


ー 初めて長澤さんに会った時の印象は?更に初めてライヴを見た印象は?

初めて会ったのは福岡です。別の仕事で福岡へ行き、仕事が終わってから会いました。電話では話したことがあったのでその印象から特別にシャイな人なんだろうとは思っていました。実際に、シャイで繊細なイメージ。でも、弱くない。不思議な生命力を感じました。素直さも、純粋さも。私も凄く緊張していました。2003年、福岡の照和でライブをやり始めて少しして、福岡へ出張して観に行きました。ギターを弾き始めて一瞬で長澤くんの世界になるのが感動でした。照和のステージ背後の壁に描かれた夜の街の風景がよく合っていました。

それと前後(照和にいったのが先かこちらが先か記憶が曖昧です)して、事務所のスタッフ全員が出席する定例会議の会議室の場で、彼の弾き語りを見せるというプレゼンの機会をつくりました(彼にとってはひどく緊張もしたし、とても嫌な思い出のようです)。その前日に福岡から飛行機で事務所へ来てもらい、スタジオでデモをレコーディングしました。なんて素敵なギターを弾くのだろう、なんだか弾き方も響きも独特です。このギターからこの音が?っていう。そして、声。一発で空気を支配しました。改めて素晴らしいと胸が踊りました。その後、福岡の照和、続いて四谷天窓でのライブが定期的になりました。


ー 長澤さんがオフィス オーガスタに所属するまでの経緯を教えてください。

2002年、確か夏にデモテープを聴いてすぐに電話をして、まずは他にも音源があれば、と聴かせてもらい、丁度オーガスタにインディーズレーベルを発足させた頃だったので、そこで出してみないかと話をしたと思います。それからデモのやり取りをして、2003年5月にスタッフ全員の前で実際に弾き語りをし、社内プレゼンの結果、レコーディングする企画が通りました。その後、中村キタローさんと音源を制作してミニアルバムを制作。実際の契約は、その後かと。確かそのような流れだったかと思います。


ー 野澤さんが長澤さんのマネージャーを担当されていた期間を教えてください。

いつからになるのか…。私は、2002年のデモテープを聴いた夏から2007年5月に私が事務所を退社するまでと思っています。


ー 担当されていた時期の、日常的な長澤さんとのやりとりや、想い出に残るエピソードを教えてください。

日常的には、なんでしょう?すごく優しかったです。気遣ってもらった覚えがあります。気を遣ってくれていたんでしょうね。だいぶ年上の私の方が大人気ないことがあり、諭されたこともあったような気がします。

リハから本番までの間がながーく空いたときによく2人でお茶していました。甘党で、コーヒーにものすごい量の砂糖を入れていて、猫舌なので氷もたくさん。それはアイスコーヒーなのではないか?と見ていました。

遅刻はしない。肩が凝っている(首から変な音がする)。散歩が好き。猫が好き。飛行機が嫌い。

一緒に同じものを食べた後、彼は福岡へ戻り、しばらくして用事があって連絡したら食中毒か胃腸炎で入院していたことがありました。その鳥レバー刺しでひどい目にあったようです。おいしいよ、と勧めて本当に悪かったと思いました。往々にして、身体的にだけでなく、このように私が敏感に察知する彼の様子に気づかなかったことが数々あったように思います。未だに申し訳ないと思っています。

レコーディングに関しては、曲に対しての全体のイメージが彼の中にしっかりあり、それを具現化するようなことが多かったです。


ー 野澤さんから見て「長澤知之」はどういうミュージシャンですか?

私は昔からブルーズが好きです。他にもルーツと言われる音楽が好きなんだと思います。土地や生活に密着した、オリジナリティある、必要にから生みだされた音楽に惹かれます。弾かなければ、歌わなければならない、という。心から湧き出る声を歌い、魂で奏でられる楽器の音色が好きです。心で感じられる、揺れ動かされる言葉や世界が好きです。

彼にもルーツはありますが、彼自体がもはやルーツみたいなものだと私は思っています。彼が吸収したあらゆる音楽や物事は消化されて変化し、オリジナルとなります。当たり前に聞こえるかもしれませんが、普通、物真似で止まってしまうケースはとても多いはずです。

これからも形に縛られずに、自由に変化して行って欲しいと思っています。いつでも、いつまでも、彼の表現が大好きで、楽しみです。素晴らしい才能と同じ時代に生きられることに喜びを感じます。


ー『Archives #1』収録曲の中で、野澤さんが一番好きな曲、または想い出深い曲を教えてください。好きな理由やエピソードも是非お願いいたします。

一番好きな曲は、「蜘蛛の糸」です。今回この機会をいただき、過去を振り返り1人感傷にひたっていた私を完全に打ちのめす、素晴らしい、本当に、素晴らしい曲です。今までの長澤くんから、また違うところへ旅に出る彼の後ろ姿を見た気がします。レコーディングも音も、ボーカルも、最高です。語り継がれるべき、名曲です。1人でも多くの方がこの曲に出会えますように。そして、更にこのアルバムに詰まった名曲の数々に触れて欲しいです。



更に11年目ということで「11」に因み、長澤愛用や大切にしている品を紹介。毎回その中から1つをポップシーン読者へプレゼント!

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■ 長澤知之 公式ウェブサイト
http://www.office-augusta.com/nagasawa/

■ 長澤知之 公式Facebook
https://www.facebook.com/nagasawa.official

■ 長澤知之 公式Twitter
https://twitter.com/t_nagasaw

Information

Release

長澤知之 アンソロジー・アルバム
「Archives #1」

2017年4月12日発売

-収録曲-

DISC 1
1. あんまり素敵じゃない世界
2. フラッシュバック瞬き
3. 夢先案内人
4. バベル
5. センチメンタルフリーク
6. スーパーマーケット・ブルース
7. STOP THE MUSIC
8. バニラ(2014 Acoustic)
9. MEDAMAYAKI
10. 誰より愛を込めて
11. 消防車
12. R.I.P.(新曲)
13. マンドラゴラの花
14. 犬の瞳
15. 享楽列車(2014 Live)
16. 三年間
17. 蜘蛛の糸(新曲)

DISC 2
1. P.S.S.O.S.
2. THE ROLE
3. JUNKLIFE
4. 狼青年
5. 片思い
6. 零
7. RED
8. ねぇ、アリス
9. 風を待つカーテン(2007 Demo)
10. EXISTAR
11. スリーフィンガー
12. 茜ヶ空
13. 明日のラストナイト
14. はぐれ雲けもの道ひとり旅
15. 回送
16. ベテルギウス
17. 僕らの輝き

Archives #1

CD

POCS-1552/3 / ¥3,056+税