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Sissy ✕ 常田真太郎(スキマスイッチ)インタビュー at サンシーロ・スタジオ

Sissy ✕ 常田真太郎(スキマスイッチ)インタビュー at サンシーロ・スタジオ

November 23, 2016 00:00

Sissy

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世の中がハロウィンで賑わう夜、Sissyは常田真太郎と共に常田氏のプライベートスタジオ「サンシーロ・スタジオ」にいた。ミキサールームからレコーディング中のメンバーを見つめる常田氏の背後では、すでにヴォーカル録りを終えた松田栄作がソファーに身を委ねている。今年5月からスタートしたSissyの8ヶ月連続シングルリリースもいよいよ終盤戦。現在は11月リリースの『ラブソング・フロム・リビング・エンド』をレコーディング中。タイトなスケジュールの中で進むレコーディングにおじゃまするのはいささか申し訳ない気持ちにもなるが、ここ数ヶ月で感じるSissyサウンドの変化と、インタビューやライヴを通じてスキマスイッチの活動を見て来た常田氏が「プロデューサー」の立場ではどういう存在になるのか、生で見てみたかった。「シメちゃん、4拍目をためて。」「今の感じ、良いんじゃない?」筆者もソファに腰掛け、指示を出す常田氏の背中を見ていた。独特な緊張感。しかし澱みや凍り付くような空気ではない。松田は鼻歌のように小さくヴォーカルラインを口ずさんでいた。レコーディングルームから原理史(G)、示村俊人(Ba)、佐藤公彦(Dr)がミキサールームへ戻ってくると、全員で今まさに録り終えたばかりの音を聴き直す。全体のバランスは悪くないか?個々のプレイが更によくなるためには?などメンバー同士が話し合っている時、プロデューサーは俯瞰した位置から見守りつつ、ここぞというタイミングで更なる別の案を提案。程よい距離感を保っている。録っては聴き、聴いては録るを何度か繰り返した頃、今回のプロジェクトへの想いを5人に伺った。


ー 常田さんが今回、Sissyの8ヶ月連続シングルリリースのプロデューサーのお話を受けた一番の要因は何だったんでしょう。

常田:やはりSissyの音楽を聴いて自分に出来そうなこと、関われそうなことがあると感じたんです。それと彼等の熱意も大きいですね。松田くんからお手紙を貰ったのも嬉しかった。あと自分の楽器は鍵盤なので、4リズムというものに対してすごくコンプレックスもあり、バンドへの憧れもあり。やはりフォーピースバンドって格好良いじゃないですか。J-POPにおいてもフォーピースバンドは、その塊でひとつになれる強さがあると思うので、個人的には憧れが強いんです。


ー そうだったんですか。

常田:そういう音楽を聴いて育ったということもあるので、常々そういうフォーピースバンドと携われたらと思ってますし、今回は長期にわたり関係性を築けるということでもあったのでお受けしました。今までもソロアーティストのアルバムでトータルプロデュースをしたことはありましたが、バンドで、しかも長期では今までなかったので興味もありましたし、スキマスイッチとは違う部分で得られることもとても多いんです。もちろん自身の活動を妨げないことを大前提としてそれをスキマスイッチにもしっかり還元しながら、お互いに成長出来れば面白いですよね。


ー 実際携わった第一弾シングル『僕らの確率論』の頃のSissyサウンドの印象は?

常田:元々メジャーで活動していたこともあって色々な力も備わっているし、同じフィールドに立っていたわけですから当然納得出来るものを作っていました。今までは色々な人が色々なことを担当してSissyというバンドを盛り上げていたんだろうなと思うんです。しかしある時点からメジャーを離れ、自分たちですべてこなさなくてはならなくなると、演奏以外の負担も増えるわけで、そういう部分でのちょっとした交通整理は必要だと感じました。あと僕の知っているエンジニアさんを紹介したいという気持ちも強かったし、今以上に音を追求していけばこのバンドは更に良くなる、そう感じたんです。曲作りもすべて自分たちで完結出来ていたので、その部分をきちんとやっていけばきっと面白いものになると思うけど、音ってなかなか難しいんですよね。気にしなければ気にしないで先に進むことも出来るし。


ー 正解がない分、難しいですよね。

常田:そうなんです。きっとSissyは出している音と録っている音が違うだろうなと思って「本当はこういう音で録りたいんでしょ?」ということは、一番最初に相談してみました。


ー Sissy全員やメンバーのインタビューでは何度か伺っていますが、ご本人を目の前に言いづらい部分もあるかもしれませんが(笑)、Sissyの4人から見た常田真太郎というプロデューサーはどういう存在ですか?

(常田、わざと険しい顔をする)

示村:シンタさん、顔、顔!(笑)

<一同爆笑>

:僕は今、シンタさんがお手本です。スキマスイッチでシンタさんが担っていることを僕がやらなきゃいけないんだろうと感じていますし、プロデュースとまではいかなくても、こうすればもっと良くなるという青写真を、自分がどんどん組み立てていける存在にならなければいけないなと。


ー ご自身の音を気にするだけでなくて?

:そうです。メロディや歌詞などヴォーカルひとりだけでは作れない世界にも、もっと気を遣いながらアドバイスやコメント出来るようになりたいです。


ー 佐藤さんはいかがですか?

佐藤:シンタさんにはプレイヤーとして、自分になかった引き出しをどんどん作ってもらいました。こうして携わらせて頂いたこともそうですし、スキマスイッチのライヴに伺ったこともそうですが、あらゆる場面で勉強になることが多くて。例えば昔とは全く違うフィルやリズム、強弱などをすごく研究することが出来ていて、「自分はまだまだドラマーとしていけるんだな」という気持ちです。

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ー プレイヤーとしての伸びしろを引き出してもらえるって大きいですよね。示村さんは?

示村:ちょうどシンタさんにプロデュースをして頂く頃って、ベースに関して以前より自由にプレイすることが怖くなっていた時期だったんです…。デビューして、色々な人が色々なことを言ってくれて勉強にはなったけど、自分が最初に頭に浮かんだフレーズを弾くと「それってベースっぽくないよ」と言われることがすごく多くて、それが怖くなっていた時期だったんです。でもシンタさんの前でそういうフレーズを弾いてみると、認めてくれたり「良いんだけど、この部分をこうする方法もあるけどどう?」と選択肢を増やしてくれるので、すごく楽になりました。錘を外されたというか。だから今は思うがまま自由に弾いています。

DSC_6924.jpgー いいですね。松田さんは?

佐藤:栄作、語りきれないでしょ(笑)。

松田:そうかもしれない(笑)。本当にシンタプロデュースが実現したと聞いてから最初の頃は毎日緊張で吐きそうでしたもん(笑)。

常田:何をいまさら(笑)

松田:どれだけスキマスイッチを聴いてきたか!どれだけスキマスイッチの曲をカヴァーしてきたことか!カラオケでも本当にいつも歌っているし。

原・佐藤・示村:確かに。

松田:メンバーも僕のスキマスイッチ愛はよく知っているけど「本当に一緒に音楽を作れるんだ…」って。『あいのま』のインタビューでもお話しましたが、シンタさんに「このままだとまだ歌詞になる手前で止まってる」と言われたんです。その他、歌い方についても最初にご指摘してくださって。勿論人前で歌っているのである程度自信はあったんですが、やはりまだまだなんだということを再確認させてもらいました。多分一作目とか酷かったと思うんです。最初に訳の分からない歌詞も送っていたし(笑)。

Information

CD

/ 800円