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【編集長コラム】真心ブラザーズ、世代を超え愛される「サマーヌード」

August 11, 2021 21:30

コラム

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【編集長コラム】真心ブラザーズ、世代を超え愛される「サマーヌード」

夏になると聴きたくなる曲がある。真心ブラザーズの「サマーヌード」だ。筆者は今年5月から音声メディアstand.fmで拙い喋りを晒している。そこで『好き過ぎ曲シリーズ』という、筆者が愛してやまない曲を紹介するシリーズを設けているが、最新(#62)の『好き過ぎ曲シリーズ』で紹介したのがこの「サマーヌード」。

YO-KINGは当時この曲を歌うのに抵抗があったらしいが、無邪気さとロマンと甘酸っぱさが、ロック魂を持つYO-KINGの歌声で、何とも言えぬ味わいを出す。
彼らが<THE 真心ブラザーズ>から現在の<真心ブラザーズ>へ改名した1995年、日清カップヌードルの夏季限定商品“サマーヌードル”タイアップ曲としてこの曲がリリースされた。

さて、日清カップヌードルの“サマーヌードル”だが、トムヤムクン味の流行にはいささか時期尚早だったようで、2017年に「日清の黒歴史トリオ」(カップヌードル サマーヌードル/どん兵衛 だし天茶うどん/焼そば熱帯U.F.O.)という自虐的ネーミングで再販売された。

この“サマーヌードル”が発売当初売れなかったように、この曲も週間オリコン81位、95年度の年間オリコンチャートでは509位と、当時は決して大ヒットと呼べない結果に終わった。が、しかし、Van McCoy and the Soul City Symphonyの「The Hustle」の印象的なフルートのフレーズを織り交ぜ、桜井秀俊は夏の煌めきと切なさを絶妙なバランスでメロディに落とし込み、毎年夏になるとラジオから流れ、2013年には「SUMMER NUDE ’13」というタイトルで山下智久氏がカヴァー。このカヴァーは山下氏が主演も務めたドラマ『SUMMER NUDE』のエンディングテーマにもなり、初めてこの曲を知った人や改めてこの曲に触れた人も多かったはずだ。(残念ながら筆者はこのドラマを観ていなかったが…)

そうやって、この「サマーヌード」は決して記憶から消されることなく、長いスパンで愛される曲となったのだ。もしかすると筆者自身、J-POPの中で1、2位を争う程好きな曲かもしれない。

「ENDLESS SUMMER NUDE」というタイトルで1997年にセルフカヴァーされたヴァージョンは、プロデューサーCHOKKAKU氏の手により、ストリングスのパートをブラスセッションへ置き換えるなど、サウンドの様相をよりディスコティックに変えた。特に鍵盤を使った間奏のクールさは、それだけでご飯三膳食べられる。

無論、「サマーヌード」の他にも夏の歌は沢山あり、どれもが照り返す日差しや、暑さの中に感じる風、切なさ、お祭りや花火のにおいを感じさせてくれる。立秋も過ぎた今、夏の曲について語るのはいささか機会損失ではあるが、帰省や夏のレジャーを十二分に味わえないこの状況下、筆者の「サマーヌード」愛に加えて、夏ソングのプレイリストで夏の楽しみを延長してもらえれば幸いだ。

文:秋山雅美(@ps_masayan

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