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海蔵亮太、レコード大賞新人賞を受賞した「愛のカタチ」から生まれた、亡き祖父への想いと慰問ライヴでの出会い

海蔵亮太、レコード大賞新人賞を受賞した「愛のカタチ」から生まれた、亡き祖父への想いと慰問ライヴでの出会い

December 30, 2019 10:00

海蔵亮太

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2016年と2017年に、Karaoke World Championships(KWC)のチャンピオンの座に二年連続で輝いた実力派シンガー、海蔵亮太。テレビ東京系列「THE カラオケ★バトル」、テレビ朝日系列「今夜、誕生! 音楽チャンプ」等の音楽番組へも定期的に出演していることから、特にカラオケファンでその名を知らない人はいないだろう。
2008年、シンガーソングライターの中村つよし氏が発表した「愛のカタチ」。10年経った2018年、海蔵のデビューシングルとしてリリースされた。その翌年にはカップリング曲を変え、プレミアム盤、スペシャル盤として再びこの曲をリイシューリリース。丁寧に、長い時間をかけこの曲と向き合ってきた結果、今年「第61回 輝く!日本レコード大賞」の新人賞を受賞。海蔵は驚きつつも、今まで応援してくれたファンの人たちへ形として結果を残せたことを喜んでいる。「愛のカタチ」リイシューリリースでのインタビュー(https://popscene.jp/feature/043138.html)の時もそうだったが、常に海蔵の口から出るのは応援してくれた人たちへの感謝。

kaizo_ps2019122601.jpg「新人賞という名誉ある賞を受賞し、12月30日にあの様な素晴らしいステージに立たせて頂けるのは、僕だけの力ではなく支えてくれた色々な人たちのお陰なんです。そいう人たちへの感謝の気持ちを一番に歌に乗せて届けたいです。」

12月30日(月)17:30から放送されるTBSテレビ「第61回 輝く!日本レコード大賞」では、そういう気持ちを大切に歌いたいと語ってくれた。

この「愛のカタチ」は、認知症の女性とその家族の愛をテーマにしたバラード曲。実際、この曲を歌っていく最中、海蔵のお祖父様も認知症を発症し施設で生活するも今年4月に他界した。この経験を経て、デビュー1周年を迎えた6月頃から海蔵は病院や施設での慰問ライヴをするようになった。

「祖父が認知症で施設に入り、お見舞いに行った時に音楽がないことに気づいたんです。」

音楽に囲まれ、音楽の素晴らしさをファンの人たちに教えてもらっていた海蔵にとって、生活に音楽がないことは違和感を覚えたと言う。お祖父様が亡くなり、デビュー1周年を迎え、何か新しいことに挑戦してみようと考えていた時期、慰問ライヴはもしかすると当たり前の流れかもしれない。
しかし通常のライヴハウスとは訳が違う。


「最初は“誰だ?”という目で見られることもありました(笑)。」だって、自分はその人たちからよそ者だからと、いつもの屈託ない笑顔を見せながら「ただ僕は、音楽の素晴らしさを知っていたので。」とまっすぐな瞳で続けた。自分を、歌を、信じて歌い続けるうちに聴く人たちの反応も変わってきたようだ。徐々に打ち解け、海蔵の歌は、翌日に手術を控えた人や、生まれた時から病気で寝たきりの人など、様々な病気や怪我と戦っている人たちの明日への活力となっていった。

「認知症という病気がどうやって発症して進行していくのか誰にも分からないし、未だに特効薬がない悲しい病気ではあるんですが、その中で認知症を通しておじいちゃんって、おばあちゃんのことが大好きだったんだなとわかったし、おじいちゃんが人前で泣く姿を今まで見たことがなかったので、変な言い方だけど、この人も人間だったんだって、おじいちゃんが亡くなる前に人間味みたいなものに気付かされたので、決してネガティブなことばかりではなかったです。」未だ特効薬がない認知症。だが人はこうやって何かしらの障害や問題の中から光を見出していくのだ。

音楽に話を戻すと、2020年3月14日(土)仙台・誰も知らない劇場を皮切りに、全国4都市を巡るツアー【LIVE DAM Ai presents 海蔵亮太 ワンマンLIVE 2020】をスタート。前ツアーもすべてSOLD OUTだった為、今回も期待が高まる。
「結構チケットが少なくなっていることが聞きましたね。本当にありがたいです。」
海蔵は、まるで目の前にお客さんがいるかのように裏表のない真摯な口調で感謝を述べた。

kaizo_ps2019122602.jpg2018年5月に渋谷・duo MUSIC EXCHANGEで開催されたライブ・コンベンション&ファンクラブ決起集会で初めて「愛のカタチ」を生で聴いた。伸びやかで柔らかく、切なさと愛情が入り交じる歌声は歌の技術も相まって、より一層胸に響いた。お祖父様の死、慰問ライヴ、多くのファンとのふれあい……そんな様々な経験を経て歌う「愛のカタチ」はデビュー当時と違うのではないだろうか?

「デビュー当時から僕のことを応援してくださる人から話を伺うと、『愛のカタチ』の聴こえ方が毎回違うらしいんです。僕自身は分からないんですが…。なので、デビュー当時の『愛のカタチ』と、今の『愛のカタチ』は違うだろうし、もっと細かく言うとデビュー日の『愛のカタチ』と、次の日の『愛のカタチ』も多分違うと思うんです。ただ良い意味で、曲と自分との距離感が縮まっている感覚を僕の中でも持っています。」

海蔵はそう答えてくれた。これから先、当然「愛のカタチ」以外の曲も沢山歌っていく。その中で今以上に海蔵の“代表曲”となる作品と出会うかもしれない。それでもこの曲が、海蔵をはじめ、多くの人にとって特別な作品であり続けることは間違いない。2020年も、海蔵亮太の更なる活躍に期待したい。




取材・文・写真 / 秋山雅美(@ps_masayan


■ 海蔵亮太 オフィシャルHP
https://www.ryota-kaizo.com

Information

Release

海蔵亮太 Reissue Single
「愛のカタチ」

2019年6月5日発売

-収録曲-

□ プレミアム盤
DISC1(CDS)
1. 愛のカタチ
2. Just a friend
3. コーヒーカップ
4. 愛のカタチ(Original Karaoke)
DISC2(DVD)
LIVE DAM STADIUM presents 海蔵亮太 LIVE 2019「Communication」FINAL @名古屋ボトムライン
・渡良瀬橋
・巡恋慕
・銀の龍の背に乗って
・Story
・接吻
・On My Way
・君と僕の挽歌

□ スペシャル盤(CDS)
1. 愛のカタチ
2. イッショケンメイ
3. Stripes
4. 愛のカタチ(Original Karaoke)

愛のカタチ

プレミアム盤(CDS+DVD)

CRCP-10430 / ¥1,852+税

愛のカタチ

スペシャル盤(CDS)

CRCP-10431 / ¥1,111+税

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