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2019年期待のアーティスト「大橋ちっぽけ」

2019年期待のアーティスト「大橋ちっぽけ」

January 26, 2019 20:30

大橋ちっぽけ

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シンガーソングライター(以下:SSW)大橋ちっぽけの歌声を初めてラジオで聴いた時、思わずボリュームを上げた。音楽には様々な作用がある。例えば変わり映えのしない毎日に彩りを与えてくれたり、例えばあと一歩の勇気を振り絞れたり。大橋ちっぽけの音楽もそのひとつだろう。筆者は以前、大橋ちっぽけの『僕と青』について別媒体で執筆したことがあった。アルバムには繊細さと疾走感がバランスよく混在し、心動かす歌声とギターの音色からは10代の持つ葛藤を瑞々しく感じた。

2016年、【未確認フェスティバル2016】のセミファイナルに進出。テレビ東京系『水曜夜のエンターテイメントバトルエンタX』内のオーディション企画に登場し優勝。昨年の【J-WAVE TOKYO GUITAR JAMBOREE~YOUNG BLOOD~】ではオープニングアクトとして異例の抜擢。1万1000人のオーディエンスに向けてその歌声を響かせた。謙遜の意味も含めて「ちっぽけ」という名前を付けたそうだが、全然ちっぽけではない。すごい活躍だ。


大橋ちっぽけが音楽に興味を持ったのは小学6年生。隣の席の女の子からニコニコ動画で流行していた「歌ってみた」動画の存在を教えてもらったことがきっかけ。<素人がカリスマ的な存在になっている世界>に憧れ、中学1年生になると実際に歌ってみた動画を投稿。そこから弾き語りに興味を持っていった大橋ちっぽけは中学2年生のとき親にギターを買ってもらい、ニコニコ生放送やツイキャスなどで弾き語りカバー配信をするようになった。そうやって一歩一歩音楽の世界を歩んでいく大橋ちっぽけは自身のTwitterで「ハチ(米津玄師)は僕のネットでの音楽スタートの原点。」と呟く。だが特定のアーティストを頻繁に聴くことがなかったせいか、SSWとしての原点になりうるアーティストは曖昧らしい。ただその中でも「自分の音楽性に影響を与えたアーティストを1つ挙げるならGalileo Galileiだと思います。」そう語る。

Galileo Galileiの「ウェンズデイ」のミュージックビデオに衝撃を受け、彼らが海外のインディーズバンドに影響を受けていることを知れば自らも洋楽を聴くようになり、Galileo Galileiが海外アーティストの曲のカバー動画を投稿すれば、そのアーティストの音楽も聴く。以前、筆者がよくGalileo Galileiのインタビューをしていた頃、彼らの口からDeath Cab for Cutie、Oasis、Radioheadなどの名前があがっていたことや、洋楽インディーズが好きだと話していたことを思い出した。大橋ちっぽけにとって洋楽との出会いを作ってくれた大切なバンドについて「彼らはいまBird Bear Hare and Fish というバンドで活動していますが、このバンドもすごく良いのでぜひ聴いてほしいです。」そう続けた。

そんな大橋ちっぽけは1月15日に「ルビー」を配信リリース。歌詞への想いとタイトルについて「当たり前に過ごす時間が何より大切で、どんなに苦しい瞬間が訪れても何度でもまた愛し合えたら良いな、という気持ちを込めて書きました。大きな愛をテーマに書いた曲ですが、タイトルはあまり直接的な表現にしたくなかったので、<仁愛>を石言葉に持つルビーをタイトルにしました。」と語ってくれた。この曲は人気アニメ・ゲーム「なむあみだ仏っ!-蓮台 UTENA-」のタイアップ曲。初のタイアップということもあり、いつもと違う意識をしながら曲を書くのが大変だったようだ。

サウンドについては「前作『僕と青』にはなかったようなエレクトロな要素も味わえる曲になっていると思います。曲のラストのバンドインはとてもエモーショナルで聴きごたえがあるんじゃないかなと思います。」 と語る通り、躍動感あるエレクトロのリズムに柔らかなアコースティックラインが大橋ちっぽけの新たな扉を開いたのではないだろうか。また前作は、弾き語り音源をアレンジャーが編曲していたのに対し、今作からは自ら打ち込みをしてデモ音源を作った上でアレンジャーと編曲の方向性を一緒に考えたらしく、前作以上にイメージ通りのサウンドに仕上がったと言う。更に筆者が注目したのは歌の表現力。大橋ちっぽけの歌声はそれだけで人を引きつけるものがある。だが声という<素材>の魅力だけでなく、飛躍的に伸びた表現力が歌詞やメロディをより一層引き立てている。

昨年、テレビやラジオ、フェスなど新人とは思えぬ活躍を見せた大橋だが「2019年はそれらを活かしながら、より多くの人に自分の音楽を届けられるような年にしたいと思います。また、もっといろんな知識を学び、音楽家として更に成長できるように頑張りたいです。」と意気込みも新たに語ってくれた。

3月13日(水)にはメジャーデビューアルバムの発売も決定。「ルビー」の他に、AORテイストの「テイクイットイージー」、疾走感あるバンドサウンドが心地よい「アージ」、「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」的アレンジが郷愁をそそる「マツヤマ」、オルタナティブロックの影響を強く感じる「ダイバー」、ソングライティングの進化を証明する「夢の中で」など全10曲が収録予定。

まだまだ伸び代を感じそうな大橋ちっぽけの今後に注目したい!


TEXT:秋山雅美(@ps_masayan


■ 大橋ちっぽけ オフィシャルHP
https://chippoke.themedia.jp/

■ 大橋ちっぽけ Twitter
https://twitter.com/chippokeuta

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