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SUKIMASWITCH 15th Anniversary Special at YOKOHAMA ARENA ~Reversible~ Day 2 ライヴレポート

November 19, 2018 19:00

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SUKIMASWITCH 15th Anniversary Special at YOKOHAMA ARENA ~Reversible~ Day 2 ライヴレポート

「なにか面白いことをやりたい」楽曲制作においてもライヴにおいても、いつもそう言い続けていたスキマスイッチが今年デビュー15週年を迎え、11月10日(土)・11日(日)の二日間、横浜アリーナにて【SUKIMASWITCH 15th Anniversary Special at YOKOHAMA ARENA ~Reversible~ Presented by The PREMIUM MALT'S】を開催した。バンドメンバーの村石雅行(Dr)、種子田健(B)、石成正人(G)、浦清英(Key)、 松本智也(Per)、田中充(Tp)、村瀬和広(Sax)に加え、弦一徹ストリングスもスキマスイッチの15周年に花を添えた。

二分割された映像。扉から少女が飛び出す。それぞれ右と左からとらえた風景はどこかで見たような…そうだ、過去のジャケットデザインだ。ギミックは映像だけではない。ライヴタイトル「Reversible」になぞられた彼ららしい<演出(あそび)>はそこここに散りばめられている。例えばセットリスト。両日同セットリストではないが、同じ曲に関しては逆から演奏している。つまり筆者が観た11日の公演は前日のラストであり、通常のライヴでも後半に持ってくることの多い“全力少年”からスタートしているのだ。オープニングでこの曲を聴く新鮮さからだろうか。歌声、演奏にはキャリアの長さからくる、こなれ感など全くなく、むしろ瑞々しささえ感じられた。大橋がアコギでデビュー曲“view”のイントロを掻き鳴らすと横浜アリーナに歓声が響き渡り、ホーンと大橋のブルースハープはアグレッシブに熱を放つ。シンセのイントロが印象的な“蝶々ノコナ”、会場に広がるレーザービームと、3D眼鏡で見るようなブレた怪しげな色彩が脳みそをダイレクトに刺激する。そして拍手は間を置くことなくクラップへ変わり“パラボラヴァ”へ。歌詞に合わせ両手を目一杯広げるオーディエンスの笑顔が輝いていた。

「今日もいっぱいです。ありがとうございます!」両日とも指定席のチケットが完売。大橋も常田も立ち見まで出た会場を嬉しそうに見回す。意外にも、横浜アリーナでの単独公演は初。今回は15周年のお祭りとあってライヴ全編、携帯による撮影・録画OKという異例の試み。「しんみりしたバラードの時にカッシャ(シャッター音)というのはやめようね。」とモラルについて笑いを交えながらも、来れなかった人たちへお土産として、記念として持ち帰って欲しいと説明した。ここで弦一徹ストリングスがステージ後方からせり上がり登場。スポットライトがそっと常田とストリングスを照らし、丁寧な大橋の歌声と繊細なストリングスの音色が優しく響く“未来花(ミライカ)for Anniversary”へ。愛情満ち溢れる楽曲の世界にオーディエンスは魅了された。

珍しいのは、上手下手に分かれて大橋と常田がアリーナ花道を歩きながらのMC。「なかなか常田真太郎が花道を歩くことはない」 大橋の言葉通りだ。ましてや今回は撮影が出来るとあってオーディエンスも興奮気味に携帯を構える。「昨日もそうだけど、曲中に撮らずに喋っている時に撮るんだね。音楽撮らずに(笑)。(大橋)」「“シンタくん!”って、すっごく呼ばれています。(常田)」「マル秘くじ」の当たり(大橋と常田の写真がプリントされた抱き枕)を見せるファンや、懐かしいツアータオルを掲げるファン、似顔絵を見せるファンなど、思い思いのアプローチにお礼を言ったりツッコミを入れたりしながら、二人はゆっくりゆっくり花道を歩いた。ステージに戻ると「これだけの人に知ってもらっている天下の大橋卓弥が…(笑)」と、大橋は思い出したように、タクシー3台連続で止まってもらえなかったエピソードを話し始めると、常田との絶妙なコンビネーションで会場を笑いの渦に包み込む。椅子に身を委ねてすっかりリラックスムードの大橋だが、最初のオーガスタキャンプでホテルが同部屋だった話に。「えー、二人一緒の部屋なんだ…というよりは、ちょちょっ!これ見てシンタくん、カーテンが電動で動く!風呂もめっちゃ広い!」と、当時のホテルでの思い出を心底楽しそうに話す。

ここからはアコースティックコーナー。“飲みに来ないか”、“僕と傘と日曜日”、“life×life×life”を披露。その中で筆者が特に面白みを感じたのは“僕と傘と日曜日”。イントロ、Aメロの特徴的なリズムを弦一徹カルテットが担い、デジタル音の代わりにパーカッションやギター、キーボードで切なくも眩いサウンドの広がりを持たせている。やはり彼らのライヴアレンジは面白い。

再び映像が流れると、それまでの真っ赤なジャケットだった大橋は白のジャケットに着替え登場。“奏(かなで)”のイントロ、拍手が降り注ぎ、そのオーセンティックな世界観をインプットした大橋が、自らのエネルギーを淀みなき歌声として力強くアウトプットする。かと思えば続く“藍”では、なんと深く優しいアコギの音色なんだろう。歌声もそうだ。大橋の表現力を今更ながらに感じた。

「それでは後半戦行きますよ。準備はいいかい!?ヨコハマー!」それまで静かに聴き入っていたオーディエンスは大橋の掛け声に合わせ一気に立ち上がる。ドラマ『おっさんずラブ』の主題歌として話題を呼んだ“Revival”。この曲で改めてスキマスイッチの他の楽曲に触れた人も多いのではないだろうか。続く“螺旋(らせん)”、常田のブルージーなイントロのピアノだけでもシビれるが、グルーヴィーなホーンにスイングするヴォーカルライン。大きな歓声と拍手が湧き上がり、息つく暇なくその拍手をパーカッションがクラップへ変え“トラベラーズ・ハイ”へ。ボルテージが上がる。演奏の熱が、オーディエンスの熱が一体となる。だがその一体感をも破壊するような音と映像から溢れ出す“ゲノム”の攻撃性は、それでも繋がりたいと思わせる魅力しかなかった。

「まだまだいくよー!元気残ってるかー!」大橋とバスドラの煽りに負けないオーディエンスのクラップ。金テープが発射し、花道まで進んだ大橋がセンターエリアへ乱入すると会場のボルテージも最高潮!何度も「ありがとう」を繰り返す大橋。興奮のうちに本編は終了した。

「綺麗!綺麗だね。すごい。すごい景色だね。」アンコール中、オーディエンスの携帯ライトが煌めく中、大橋、常田、バンドメンバーが再び登場。思わず大橋もスマホを取り出し撮影。本編で入っていたTBSの生放送も無事終了し、あまりにリラックスした大橋に常田も声を上げて笑う。「デビュー15周年のスペシャルライヴということもあるので、この曲を感謝の気持ちを込めて演ってみたいと思います。」イントロ、常田のピアニカが温かい“Hello Especially”。「3650日分のメロディーと…♬」の部分にくると「ちょちょちょ…ちょっと待って!」と大橋は演奏を止めた。「3650日だと10年。僕ら今年15周年。365×15?」オーディエンスもワクワクしながら歓声をあげた。そこで常田が「聞いちゃう?オーケー、みーつる。」と、どこかで聞いたことのあるようなフレーズで365×15の答えを田中…もとい!みーつるに訊くと、うるう年もきちんと計算に入れ、デビュー日からこの日まで=5,604日と回答。大橋は譜割りを考えながら「3650日分のメロディー」を「5,604日(正確には五千六百とんで四日)」と歌い直す。「なんか予定にないことばっかりやってる(大橋)」「すぐ遊びたがる(常田)」笑いながら更にアドリブで「横浜アリーナ、初の単独公演だぜぇ〜」と歌い出し「シンタくんもなんか歌って〜」と無茶ぶり。そんなおふざけをしながらもきっちり“ガラナ”へ繋げ、オーディエンスも急な変化に驚きながらもテンションを上げた。

「本当にライヴは楽しいねぇ。」心の底から感慨深げな大橋。15年という月日を考え「正直に正直にやってきて、今これだけの人たちがここに居てくれるっていうことが本当に心から嬉しいです。色々なことに挑戦していきたいと思っています。」様々な仕掛けを作った今ライヴ。2日間通して気づく点もあるだろうが、気づかなくてもそれはそれで構わないと大橋は言う。「ただただ大声で騒いでるだけじゃなくて音楽で遊びたいなって。それはシンタくんともいつも話してることです。」と。

常田は、すでに音楽の世界から退いている先輩が言っていた「続けることが一番難しい」という言葉の重みに触れた。時代や聴く人の移り変わりがある中で、支えてくれる人、応援してくれる人、自分たち全員が同じ気持ちを持っていないと続かないと言われたそれが毎年すごく重い言葉になっていると語る。実際この2日間で来場した28,000人だけでなく、会場の外には来たくても来れなかったファンがたくさんいる。

「僕らの気持ちはもちろん大事なんですが、そういうみんなの気持ちが同じ方向に向いてないと15年なんか続かないと思うし。」みんなが同じ方向…確かにそれは難しいことだと思う。ただそういう中でスキマスイッチが15年、第一線を走り続けているのも真実だ。音楽でそうやって繋がっていることに常田は「本当に嬉しくて何度も泣けてこのまま弾けなくなると思ったけど、それくらい昨日今日はとっても感動しています。ありがとうございます!」真摯な常田の言葉に感動の拍手が贈られた。更に大橋が、曲を書くごとに才能という壺に入っている水が減っていっているかもしれない。これが最後の一曲だったんじゃないかなと思うことがあると言えば「俺(常田)が入れてやるよ。」とキメ台詞。会場を沸かせると大橋は“Revival”を口ずさみ、常田は『おっさんずラブ』のワンシーンを思わせる台詞を…あぁ、感動的な場面はやっぱり笑いに変えるんだと、思わず笑ってしまうがそれもスキマスイッチらしい。

だが今度は真剣な口調で「その壺にもし水が残ってないとしても、シンタくんが言ったように二人で力を合わせたら、まだまだ曲が書ける気がするので。まだ15年。20年があって25年があって30年。僕らが学生時代に聴いていた先輩たちが25周年や30周年やったりしているのを見ると、やっぱり僕らもそこまで走っていきたいなと思います。だから…だから、みんな是非これからもよろしくお願いします!今日は本当にどうもありがとうございました!」そう挨拶すると最後は“リアライズ”。

一瞬のアカペラはものすごい存在感を放った。歌詞の説得力。メロディの説得力。『新空間アルゴリズム』のインタビューでこの曲について大橋は「デビューした当時では絶対にこういう歌詞は書かないだろうなと思います。やはりキャリアと経験から出てきた歌詞」と語っていた。そして一緒に歌声を響かせるオーディエンスの後ろには、ずっと一緒に歩んできたスタッフたちがモニタやステージを見守っている。

「この光景は一生忘れません。本当にありがとうございました。みんなの声も忘れないよ!」そう言う大橋は涙を拭っているように見えた。常田は「凄かった…やってて良かったし、やって良かった。」本当にしみじみそう言った。確かに続けることは難しい。才能も無限ではないかもしれない。しかしスキマスイッチはこれからもきっと面白い裏切りでたくさん楽しませてくれるだろう。

2日間に及ぶ横浜アリーナでの【SUKIMASWITCH 15th Anniversary Special at YOKOHAMA ARENA ~Reversible~ Presented by The PREMIUM MALT'S】は28,000人を魅了し、幕を閉じた。


Photo:岩佐篤樹・古賀恒雄
Text:秋山雅美(@ps_masayan



■ セットリスト

□ 10日

M1. Ah Yeah!!
M2. ユリーカ
M3. ゲノム
M4.トラベラーズ・ハイ
M5. 螺旋(らせん)
M6. Revival
M7. 藍
M8. 奏(かなで)
M9. 双星プロローグ
M10. 冬の口笛
M11.life×life×life
M12. 未来花(ミライカ)for Anniversary
M13. ボクノート
M14. パラボラヴァ
M15. 蝶々ノコナ 
M16. SL9
M17. view 
M18. 全力少年

En1. Hello Especially
En2. 虹のレシピ
En3. ただそれだけの風景

□ 11日
M1. 全力少年
M2. view
M3. SL9
M4. 蝶々ノコナ
M5. パラボラヴァ
M6. ボクノート
M7. 未来花(ミライカ)for Anniversary
M8. 飲みに来ないか
M9. 僕と傘と日曜日
M10. life×life×life
M11. 奏(かなで)
M12. 藍
M13. Revival
M14. 螺旋(らせん)
M15. トラベラーズ・ハイ
M16. ゲノム
M17. ユリーカ
M18. Ah Yeah!!

En1. Hello Especially
En2. ガラナ
En3. リアライズ


■ スキマスイッチ オフィシャルサイト
http://www.office-augusta.com/sukimaswitch/

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