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高橋優 全国ホール&アリーナツアー 2016-2017「来し方行く末」横浜アリーナ ライヴレポート

高橋優 全国ホール&アリーナツアー 2016-2017「来し方行く末」横浜アリーナ ライヴレポート

April 20, 2017 18:00

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時代は巡る。かつて日本にフォーク・ロックブーム旋風が巻き起こっていた60年代、70年代、岡林信康が時代の歪みを歌い、吉田拓郎が若者たちにムーブメントを起こしたように、高橋優というシンガーソングライターは「今」を歌う。

昨年11月にリリースしたニューアルバム『来し方行く末』を引っさげた【高橋優 全国ホール&アリーナツアー 2016-2017「来し方行く末」】が同年12月よりスタートし、今年4月16日(日)、大阪・大阪城ホールにてファイナルを迎えた。筆者が目にした4月2日(日)横浜アリーナ2DAYSの2日目は、ちょっと忘れがたいステージだった。

ステージに『来し方行く末』の「来」と「末」を象ったフォントが光を放つ中、バックライトを浴びて高橋が登場。割れんばかりの拍手と歓声を浴びながら“TOKYO DREAM”でライヴがスタートすると、“(Where’s)THE SILENT MAJORITY?”、“太陽と花”と、しょっぱなからヒリつくようなボルテージを見せつける。

「会いたかったよー、横浜アリーナ!」

横浜アリーナという大舞台で2日間もステージに立てることへ感謝する高橋は笑顔で挨拶。 今まで歩いてきた道とこれから歩いてゆく道という意味を持つアルバムタイトルでもありツアータイトルでもある「 来し方行く末」。高橋優としてソロ活動をしている中、今まで歩いてきた道を振り返ると、どう切り取っても「自分」になりがちだったと言う。しかし今回のアルバムは、自分と繋がり、自分の歌を聴いてくれる人たちと共に歩んでいけるこれからを想像して制作し、ツアーも回ったと続ける。

「昨日も横浜アリーナで演りました。でも昨日は昨日。今日またここで演らせて頂くからには、昨日をはじめ今まで演ってきたどんなライヴよりも最高の時間を今日ここで過ごすことが、これから先の繋がりになっていくんじゃないかと思うわけです!今日この横浜アリーナに集まってくれた皆さん、一緒に熱い時間を過ごしてくれますか!?」熱の帯びた高橋のMCはセンター、アリーナ、スタンドへと繋がり、大きな歓声へと変わった。

Uyokohama_0419.jpgオーディエンスの動きを止めた“拒む君の手を握る”。けだる気な歌声とアンニュイなメロディ、臆病な内面を映す歌詞は二人を囲む街のにおいさえ感じそうだ。ポツリと呟く高橋の「愛してる」。気がつくとショートムービーの中に入り込んでいるような錯覚にさえ陥っていた。続く“Cockroach”のサビで見せる開放感は、横浜アリーナのスタンドの更に上空まで弾け飛び、ベースのビートがうねる、セルフカバーの“象”ではイントロから大歓声が沸き起こりヒートアップ。関係者席からも「カッコいい!」の声が飛ぶステージに筆者はふと、高橋が『ロードムービー』の取材時、歌のクオリティを少しでも上げたい、表現力を増やしたいという気持ちから禁酒をしていると言っていたことを思い出していた。実際、アッパーなロックだろうがミディアムテンポのバラードだろうが、キャリアを重ねたという理由だけではない表現力の豊かさが言葉ひとつひとつに宿っていた。ほぼデビュー当時から彼のライヴを観て来た筆者としては、かなりの感動を覚えた。

10年前、横浜アリーナ近くのライヴハウスで3人くらいのお客さんを前にライヴをし、悔しい気持ちになった高橋は、記念に行った横浜中華街で恋人同士がひとつの肉まんを分け合っているのを見ながら、ひとりでひとつの肉まんを食べたという自虐話を前日のMCでしたらしく、この日はリベンジとして楽屋に肉まんが用意されたとのこと。…が「30歳過ぎた男6人がたったひとつの肉まんをシェアしたという話で。」と、まったく何のリベンジにもなっていない話に会場大爆笑!今ツアーは訪れたことのない土地もあった為、イベンター協力のもと、各地グルメコーナーと称して楽屋に色々なお菓子や食べ物を用意してもらうという何やら楽し気なことをしていたらしい。そこで、ここ横浜でも用意してもらった様々なお菓子の名前を次々に発表。(ちなみにすべて食べたようだ)なんだこのアットホームさは!つい横浜アリーナということを忘れそうになってしまう(笑)。

ピアノの美しいメロディと、胸を打つヴァイオリンが印象的な“さくらのうた”。桜色の映像に包まれながらめずらしくギターを持っていない高橋の両手は、溜め込んだ感情をそっと吐き出すように揺らす。あまりにも美しく切ないメロディと歌声にオーディエンスはじっと聴き入っていた。<来し方ソング>と題し、 前日からの今ツアーアリーナ篇では、ファンからリクエストを募っていた。<来し方ソング>とは高橋自身がその曲を作ったことで自分の表現の幅が少し変わった、この曲を書いたことで、もしかしたら一歩前に進むことが出来たかもしれないという楽曲。前日のリクエストでは”8月6日”と”素晴らしき日常”を披露。そしてこの日は“少年であれ”と“現実という名の怪物と戦う者たち”を披露した。 “少年であれ”の伸びやかな歌声は、孤独や苦しみで凍った心を温かく溶かしてくれるようで、あちこちから涙を拭う姿が見えた。その涙を乾かすようにイントロから歓声が湧いた“現実という名の怪物と戦う者たち”。笑顔とクラップが広がっている。 「もしもいま生まれた新しい命というのが、いつか僕らみたいに言葉を覚えて話すようになった時、自分のことを生んでくれた父親や母親に対してこういうことを話していたら、それはもしかしたら幸せな未来という風に表現出来るのかなと。」 最近、出産の報告を受けることが多くなった高橋は、そんなことを想像しながら“産まれた理由”を書いたと語り、丁寧に歌い上げた。

「ここからは冒頭にもお話させて頂いた通り、今日限りの、今夜だけの、あなたと私だけの、熱く激しく…アァ(何故か吐息。笑)エロティックな…(笑)、ごめん、笑っちゃった…ひとときを一緒に過ごしたいんですけど、横浜の皆さん、まだ元気は残っていますでしょうか?!ここからは暴れるぞ!」そう言うと、先ほどの空気とは打って変わって“BE RIGHT”、“パイオニア”でテンションアップ!自伝のタイトルにもなっている“Mr.Complex Man”ではパンキッシュなアニメーションと畳み掛けるリズムでオーディエンスの歌声もボルテージも上がる。「もっと出るんじゃないですか?叫べー!いいぞいいぞ、届いてるぞ!横浜一緒に歌おう!」それでも高橋はこれでもかと煽る。更に“明日はきっといい日になる”で銀テープが音を立てて発射すると、笑顔とクラップ、歌声が横浜アリーナを包み込んだ。

重厚感あるメンバーソロから「“泣ぐ子はいねが”!」という高橋のタイトルコールを合図に、ゆっくりと巨大なまはげがステージの背後を押開く。(シングル曲ではないのに、この曲に関してはどんどんステージ装飾が大規模になっていくのが面白い!)

Uyokohama_0671.jpgそして何と高橋はアリーナの通路まで出て行くとスタンドにも降り、競り上がるセカンドステージで恒例の、どんどん意味不明になる(笑)コール&レスポンスで盛り上げたり笑わせたりで会場のテンションもMAX!

横浜アリーナでの2DAYS公演、始まるまでは不安だったが、日が近づくにつれてどんどん楽しみになってきたと言う高橋。夜も眠れなくなるくらい楽しみだと語ると「今ツアーがあと一本で終わるのは、正直寂しい気持ちになったりもするんだけど、でもまた皆さんに会える時まで、自分のこの想いが皆さんの傍に音楽という形で居続けることが出来ますようにという願いを書かせてもらった曲を今日、最後に歌わせて頂きたいと思います。本当にどうもありがとうございました!」と、改めてお礼を延べ、“BEAUTIFUL”で本編を終了した。

「アンコールどうもありがとう!もう一曲歌っても良いですか!?」アンコールで登場した高橋、「カッコいい!」という声を受けて、あえてカッコいい表情を。…が、徐々に歓声が笑いに変わると「カッコいい人にはカッコいいとは叫ばないんだって、何回言えば分かるんだ(笑)」と、いつもの秋田訛りでボソッとつぶやき、更に笑わせる。ステージだろうが取材の時だろうが変わらない裏表のなさ。彼のそういうナチュラルな人柄が多くの人に愛されるのだろう。

「このアリーナ編で初めて演る曲をお届けしてもよろしいですかー!」そう言うと、『映画クレヨンしんちゃん 襲来!! 宇宙人シリリ』の主題歌として書き下ろした“ロードムービー”を初披露。ツアー中に楽曲制作に取り組んだ今作、「今がたとえゴール地点じゃないとしても、ゴール地点よりも価値があるような瞬間っていうのは、今ここにもあるんじゃないかなということを考えながら書かせて頂きました。」と想いを語った。高橋らしい温かい力強さを備えた曲に、目を輝かせて聴き入るオーディエンス。 “福笑い”では広がる沢山の笑顔と歌声に高橋も満面の笑み。幸せしか存在しない空間に叫び割れんばかりの拍手が響いた。

「もう一曲、一緒に歌いませんか?横浜!」そう言うとライヴ最後に選んだ曲は“リーマンズロック”。明日への原動力となるような力強いリズムと歌詞、高橋の「明日からまた頑張ろうぜー!」という言葉に、横浜アリーナが完全に一体となった。

バンドメンバーが退場すると、高橋ライヴでは恒例のSE(今回からは“明日はきっといい日になる”)大合唱。高橋が退場した後に映し出された直筆のメッセージ。3時間弱、パワフルに突っ走った横浜アリーナ2日目。筆者が今まで観た高橋優のライヴでこの日が一番と言えるだろう。興奮と笑顔を胸に横浜アリーナを後にした。

text:秋山昌未


□ セットリスト

M1. TOKYO DREAM
M2. (Where’s)THE SILENT MAJORITY?
M3. 太陽と花
M4. アイアンハート
M5. 拒む君の手を握る
M6. Cockroach
M7. 象
M8. 君の背景
M9. 花のように
M10. 運命の人
M11. さくらのうた
M12. 少年であれ(リクエスト)
M13. 現実という名の怪物と戦う者たち(リクエスト)
M14. 光の破片
M15. 産まれた理由
M16. BE RIGHT
M17. パイオニア
M18. Mr.Complex Man
M19. 明日はきっといい日になる
M20. 泣ぐ子はいねが
M21. BEAUTIFUL

Encore
En1. ロードムービー
En2. 福笑い
En3. リーマンズロック

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